キルアはアホらし、と呟いた。 しかし一体ナニがアホらしいのか、と言うと。 「そーいや、染めてんだよな、ヒソカのコレ」 「うん。変?」 「や、似合う・・・・・・けど」 「けど、ナニ?」 「やっぱ元の色のが俺は好きだなー」 「ダイジョウブ試験終わったらすぐ戻すから」 視界の端でピエロを膝の上に座らせ彼の髪をいぢくる男と、その男に大人しくされるがままになっているピエロにである。 なんかイチャイチャとか擬音語が聞こえてきそうな気がするのは決して気の所為じゃない。 しかも周りに放っているのはハート形をした桃色な何かで、コレまたコンッと頭に当たりそうだ。 周囲の人間は壱重どころか弐重も参重も遠巻きにして、2人の姿が視界に入らない様にしている。 オレだって出来れば見たくなかったよ、とか思いながら、キルアはちらんとこのイヤンな空気の中ごーいんぐまいうぇいにのほほんを貫き通している赤毛の青年に視線を向ける。 「・・・・・・なあ、。アレナニ」 「ん?見てのとーりだしょ。」 「・・・・・・見ての通り、って・・・・・・」 「あ、じゃあ、ヒソカと仲直り出来たんだ!良かったねー」 「やっとかよ、って感じだけどねー。」 「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」 コソコソと赤毛の青年に近付いてこっそり聞いてみたらしらっと返されて。 しかもゴンがそんな事をのたまうモンだから、キルアはガックリ肩と一緒にでっかい溜息が落ちた。 そんな空気を漂わせたまま、彼等は次の試験のクジを引く事になる。 その最中もいちゃいちゃべたべたあまあまが聞こえたり、コンコンコンコン当たりたくもないハート形のピンクい何かが当たってきたりしてたのは・・・・・・仕方ないと思いたくないが仕方ないんだろう。 「ヒソカは何番引いたんだ?」 「ん?見る?はい」 「あ、俺じゃねぇ。ちなみに俺はコレな」 「あ、コレなら簡単だね。は?」 「・・・・・・んー。ソレなんだどもねー・・・・・・しけんかーん。」 いちゃいちゃしながら札の見せ合いっこしてたヒソカとがに向いた。 が、はビミョーな顔をしながらピッと手を上げて。 「何だね」 「自分の番号引いちゃった場合、どすればイイの?」 ぴらん、と。誰の目にも見える様にが翻した札には、確かにの胸に付いているプレートと同じ407番。 その大胆さには誰もが思わずポカンとせざるを得なかった。 しかも。 「―――そうだな。その場合、そのプレートは自分の持ち点としての3点とターゲットとしての3点を合わせ、合計6点となる」 「あ、そなんだ」 「ただし。そのプレートは他の受験者にとっても、1枚6点とする。自分のターゲットが見つからず、また自分のプレートを奪われ0点になったとしても。彼のプレートを奪えば、その者は6点分の点数となる」 ソレを聞いた途端、受験者達の眼の色は変わった。 マッドピエロは要注意だが、銀髪の連れはあの通り、おつむが弱そうなら力も弱そう。 そしてこの赤毛の青年も、何時でものほほんぽやぽや荒事は苦手なタイプだ。 誰が自分の獲物で、誰が自分を狙っているのかとんと解らない現時点。 アイツのプレートならさくっと手に入れられる、と誰もが思った。 トーゼン、周囲の受験者達の考えなんてのみならずヒソカももまるっとお見通しで。 「・・・・・・・・・・・・俺ならゼッテー手ぇ出さねぇけどな」 「・・・・・・・・・・・・って、そんなに・・・・・・・・・・・・?」 「おう。故郷じゃ『風の悪魔』とか『死神すら泣いて逃げる』とか『魔王すら顎で扱き使う』とか言われてっからな。俺なんか笑って転がされて踏まれるかんないっつも」 「・・・・・・・・・・・・」 冷や汗たらたら流しながらドコか遠い目をするに。 ・・・・・・・・・・・・薄々勘付いてはいたが、ヒトは見かけによらないモノである、なんてヒソカは遠い目をしたのだった。 |
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おねにーさまはバカ犬より強いよ。 | ||
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