何だか最近、自分1人だけ置き去りにされてる気がする。

飛行艇から降りた先、トリックタワーのてっぺんで、はそんな事を思った。





既にヒソカの姿はない。恐らく隠し扉を見つけて下に降りたんだろう。

そしての姿もない。

これまたやっぱり隠し扉を見つけて、ひとりさっさと降りたんだろう。





「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ちくせう。」





俺を置いてくんじゃねーよ特に!!そりゃこれっくらいちょろアマだけどな!!

とか何とか、色々声を大にして喚きたかったがはグッと堪えて、カコンと静かに足元の扉を踏んだ。

そして、スタッと見事に着地する。

さてココは一体どんな道なんだろーな、と立ち上がれば。





「カタカタカタカタ」

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・すっごいイヤンな音がした。





思わず、ひきっ、と固まって。ぎぎぎぎぎぃ、と後ろを振り返ると。

(ぎゃあ!!マジにいたよ!!)

ナニが、と言えば。ハリセンボンかたかた星人が。





しかもそのハリセンボンは、にぬっと手錠を差し出してきた。

その片方は、既に彼の左手首に着けられている。

「・・・・・・・・・・・・えー、と」

すっごく顔を引き攣らせながらソレを見ていたら、今度は壁を指差され。

素直に目をやれば、何ともイヤンな事が書かれていた。





『二人三脚の道』

君達はココからゴールまでの道のりを、手錠で繋がれたまま力を合わせて、最後まで2人で進まなければならない。





何だコレ一体何の罰ゲームだ。

は泣きそうになった。





ずい、と手錠が押し付けられる。

は引き攣った顔のまま、かしゃん、と手錠を右の手首に嵌めた。

その瞬間、ごごごご、と扉が開く。奥に続くのは真っ暗な道。

ますます泣きそうになった。





の腕に手錠がしっかりと嵌った事を確認したハリセンボンは、の了解も得ないままにサクサク歩き出す。

溜息吐いて、も歩き出した。

道なりにそって真っ直ぐまっすぐ。暗くて狭い道をハリセンボンと。ホント一体何の罰ゲームだ。

黙々と足を動かす。足音だけが響く。イタイ。実にイタイ沈黙だ。





そんな状態が2時間ホド経った頃、だろうか。





ふ、とは目を眇めた。

一切の光が遮断された長い長い道。一寸先は闇で、壁すら見えない。





「――――――ちょっと待った」

ひと声掛けて、足を止める。

カタ、と。一歩先を歩いていたハリセンボンが止まって。

「ココから先、俺が先に歩く」

カタカタ、と。きっと何故、と聞いているんだろう。

「俺の後ろを。忠実に、絶対に。踏み外す事無く進んでくれ――――――罠だ」





腰から下げていたポーチから、小さなナイフを一本取り出して目の前の闇に向かって投げた。

すると何処からか、ひゅ、と空気を切る音がして。きぃん、とナイフの弾かれる音が続いた。

その音を聞いたハリセンボンは、何も言わずにの背後にひたりと下がる。





・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・後ろからブスリ、とかいかれたりしないだろーか。

いやいや『最後まで2人で』って書いてあったのだ。いわば運命共同体。

ドチラかが死ねばソコで失格。コイツは確かどーしてもライセンスが必要だったみたいだから、ソレはないだろう。





いささか、いやかなり不安を覚えながらも、は一歩を踏み出した。





ある時はスタスタとそのまま進み。またある時はぴょんと跳び越え。

大きく円を描く様に迂回したり、壁際に張り付いたり匍匐前進したり。

そうして、漸く目の前に明かりが射してきた。

コレまでに要したのは3時間弱。

沈黙と、黙々自分と同じ動きをして後を着いてくるハリセンボンが痛かった





胃に穴開きそーだ、むしろもう開いてるかも、と。

はそっと胃の辺りを押さえたのだった。




















 





 













パートナーはハリセンボンでした。
 





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