一時、試験内容から大いに外れたものの。

めげない受験者達は、我こそは!!とメンチにスシ≠持ってった。

けれど結局、合格、の言葉をもらえた者はおらず。





「二次試験後半の料理審査、合格者は3名よ!!」





高らかに宣言したメンチに、ざわりっ、と受験者達はざわめいた。

「はーい。3人って誰ですかー?」

「さっきの試験、誰も合格ーなんて言われてねーぜ?」

そんな中、手を上げたゴンとキルアが質問すれば。





「44番、406番、407番よ」





サラッと返ってきた答えに、一同しぃん・・・・・・と沈黙した。

当の本人達は、え?なんで合格?と首を傾げていたが。





「君達、スシ≠知ってたしこの試験の意図も解ってたでしょ」

そんな彼等に、口を開いたのはブハラだ。

「その上で、あえてスシ≠作らず他の料理を出した。・・・・・・作れない、って言ってたけど、君達ちゃんとスシ≠作れるでしょ?」





アレだけの腕だ。ほぼ完璧に近いスシ≠ェ作れる。

ソレはブハラでなく、メンチも勘付いていた事。

ソレに。





「407番が獲ってきた魚はレインボーフィッシュ。この森林公園のみに生息する魚で、しかもとても捕まえにくくてレアなんだ」

「そして406番と44番は調理中の会話から、合格を決めさせてもらったわ・・・・・・サラダも美味しかったし」

「え。食べたの?

「ええ。ブハラからこっそりもらったわよ当たり前じゃない





思わず聞いたヒソカの言葉に、メンチは悪びれも無くあっさり。

アレの作ったアレを食ったのか、と大半の受験者達が思うが。

――――――やっぱり納得出来ないヤツもいるもので。





ドゴオォンッッ!!





「納得いかねぇな。とてもハイそうですかと帰る気にはならねぇ」

調理台を破壊して、ずずいと前に出てきたのはレスラートードーだ。

「美食ハンター如きに合否を決められたくねーな!!」





その言葉に、言われたメンチは飄々と。

けれどハタで、かちん、とキた人物3人。





「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・今。如き、って言ったね?☆」

ゆぅらり、と。にこやかな顔でヒソカが一歩、歩を進めた。

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・聞き間違いかなぁ?如き、って?ナニが?誰が?」

続いてが、にぃっこり、笑いながら一歩踏み出す。

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・意味。ちゃんと解って使ってっか、お前?」

くつくつと、漏らしながらも零して。





その、一瞬後には。

ヒソカの手にしたトランプが、の手にしたナイフが。

トードーの、首筋にひたりと押し付けられた。





「ボクは純粋に、強い人が好きだ◇だから強い人には、ボクなりに敬意を表する☆」

にぃ、と歪められた口元。けれど目は暗く全く笑っておらず。

「ボクの今の動きも捉えられなかったキミが、捉えられてた彼女を。如き、と。見下せるのかい?◇」

トードーは、ゾッと背筋に悪寒が走るのを感じる。





「オタクさぁ。自分の好きなモノ、バカにされたらどー思うの。」

ヒソカの反対側で、柔らかいのに冷たい声。

「美食とか賞金首とかかんけーないでしょ。人が誇りを持ってやってるコト貶せるほど、オタクそんなエライの。」

綺麗に笑う顔は大輪の華の様で。けれど裡に潜むのは猛毒だ。





たらり、とトードーが冷たい汗を流した。

事の成り行きを見守っている受験者達も、固唾を呑んで見守る。





「――――――ちょっと、44番406番。手を出さないでよ」





張り詰めた空気。ソレを壊したのはメンチだった。

ひゅん、と4本の包丁をジャグリングの様に振り回しながらソファから立ち上がる。





「けど試験管、とヒソカが動かなかったらソイツ殺してたろ

「・・・・・・・・・・・・ふん、まーね

が苦笑混じりに言えば、不貞腐れた様に返事を返して。

「406番の言う通り、どのハンターを目指すとか関係ないのよ」

とヒソカがトードーの首から獲物を引く。





「アタシが知りたいのは、ソレにドレだけ情熱を注げるか!!ドレだけ未知のモノに挑戦しようとする気概を持てるかなのよ!!」





その言葉。その強さ。

受験者達は、気迫に呑まれて動けない。

ソコへ。





『ソレにしても、合格者3名はちと厳しすぎやせんか?』





遥か頭上から落ちてきた声に。

は、あーやっぱ原作通り、と人知れず息を吐いた。




















 





 













誇りを持って仕事する人アコガレるなぁ。
 





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