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2時間、5時間と走って行く間に、どんどんと前へ前へと走っていって。 地上への階段が見えたところで、やっと世癒はあの子を見つけた。 しかも隣には、もうひとりの愛し子の姿。 世癒の口元が、また柔らかく緩む。 けど。 (今回はどーやってお近づきになろっかな。) 前はあの子の方から声を掛けてきた。 もう1人の子なんか、威嚇する子猫みたいに警戒バリバリで。 (んー。どー声掛けよっかなー。) 子供達の後ろまできて、考える。 ――――――と、その時。 「・・・・・・・・・・・・ぅぅぅぅぅぅうううう!!」 「・・・・・・ん?」 「うううううううううううううううううううううううう!!!!」 どっしーん!! 「「「ぅわっっ!?」」」 世癒の背中に衝撃と、3人の声。 こけそうになった世癒と、その世癒にイキナリ肩を掴まれた、世癒の目の前で走ってた2人の子供達の声だ。 走る足も止まってしまって、黒髪の子供は驚いた顔で、銀髪の子供はああん?てな顔で後ろを振り返る。 で。 思わずア然な顔になった。 何故か。 鮮やかな紅髪と金目をした綺麗な青年の背中に、おんぶお化け宜しく張り付いて銀髪金目の色男が泣いてたから。 しかも、えぐえぐイイ年して泣いているかと思えばその男。 よくよく見てみればさっき公衆の面前で痴情の縺れを披露した男ではないか。 更には。 「世癒ー!!あいつあいつ!!ゼンッゼン俺と目ぇ合わせてくんねー!!どころかちょっと近付いただけですっげ殺気で見るな寄 るな近付くな!!って!!どーしよう俺!?本格的に嫌われてる!!どーしよう世癒ー!!」 「うっさい耳元でがなるな!!」 思わず世癒が力いっぱい秋良をはたき落としても仕方ないだろう。 ずべしゃ!!と落ちた秋良は、ソレでもえぐえぐ泣きながらズルズルズル、と世癒に縋り付く。 「うぇぇえええ!!どぉしよおぉぉぉお!!」 べたーと腰に張り付かれて、抜き去る受験者達に変なモノを見る様な目で見られて。 固まってる子供達の前で、世癒はグリグリ秋良の頭に拳を押し付ける。 「だぁああっっもう!!たかが子供の反抗期でパニクってんじゃない!!」 ぴた、っと秋良が止まった。 「・・・・・・はんこうき?」 ヤケクソになって、世癒が吐き捨てる。 「反抗期だろっ」 沈黙。 ちんもく。 チンモク。 「はっ。そーか反抗期だったのかアイツ!!そーいや今までそんなのなかったよなとーとーきたのか反抗期!!何でもかんでも 反抗したくなるお年頃!!えってソレじゃアレか!?俺パパ汚いとかって冷たい目で見られんのか!?」 落ち着ける為に言ったハズなのに、何故か秋良はサッキ以上にうろたえ出した。 てゆーか、前も思ったけどこんなんが父親代わりだったとゆーあの青年に、世癒はすんごい同情したくなる。 「・・・・・・・・・・・・はぁ。秋良ちょっとおちつ」 「お風呂も一緒に入ってくれなくなんのか!?ヤダ!!そんなんヤだよ俺!!」 「・・・・・・・・・・・・・・・・・・だから、おち」 「パパ一緒に寝ないの?っていっつも上目遣いでちっちゃくカワイク言ってくれたのにもーソレも聞けなくなんの!?」 「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・うん解った。」 「何だよどーすりゃいーんだよ一体俺ぇぇええええっっ!?」 べりっ!!!!と。 世癒は秋良を引き剥がした。 そして再び走り出しながら、ぴっ、と秋良を指差して。 「取り敢えずお前今すぐ俺から離れろ。そして今後半径5メートル以内に近付くな。長い付き合いだ、かろうじて知り合いのポジにはおい といてやる。いいか。知り合いだ。ソレ以上じゃないからな。」 「え?は?何ソレ世癒まで俺を見捨てるってゆーのかー!?!?」 「うっさい親バカもソコまでいったら変態と変わりねーよ大嫌いって言われても仕方ねーよ!!」 「うわー!!何か解らんけどごめんあやまるから世癒まで俺を見捨てないでー!!」 泣いて縋ろうとする秋良に、世癒は容赦無くげしっと蹴りを入れた。 傍で同じ様に走りながら見ていた銀髪の子供が、「うーわーコイツ引くわー。」と呟く。 けれど。 世の中には恐れを知らないツワモノと呼ばれる人種が探せば、イヤ探さずともいるもので。 「?おにーさん、子供いるの?」 きょとん、と首を傾げてそんな声を掛けてきたのは、黒髪の子供。 そしてそんな子に、うろたえてた秋良はサックリ復活した。 「ん?息子が1人なー。すっげかわいーんだコレが。あ、聞きたい?聞く?仕方ねーなーよっしゃソコまで言うなら聞かせ・・・ふぐっっ!?」 みなまで言う前に秋良のドタマはたいて口を塞いだのはモチロン世癒である。 「イヤいい。知ってる。お前の子がハイパーミラクルワンダホーエクセレントらぶりーなのはもう聞いてるから。」 ドコか投げやりなのは、ココのとこずっとのろけを聞かされてきたからだ。 「スッペシャルが抜けてる!!あとスーパーも!!」 「あーはいはい解った解った。」 なのに付け足してきやがったおバカに、既に疲れていた世癒はもう秋良の言う事をまともに聞かない事にした。 そして、自分の横に並んで走る2人の子供に苦笑を向ける。 「・・・・・・さっきは悪かったね坊や達。怪我とかしてない?」 「あ、うん大丈夫!!」 「てゆーか、誰が坊やだよ」 予想通りというか何というか、返ってきたのはこの子達の性格を如実に表した返事。 変わらないなぁ、と世癒は嬉しくなる。 キッカケはアレだが、声を掛ける口実が出来た。 コレで、知り合いになれる。上々としとこう。キッカケはアレだが。 「オレ、ゴンっていうんだ!お兄さん達は?」 しかも向こうからもう一歩踏みこんできて下さった。 「ああ、俺は世癒。でコッチが・・・・・・」 世癒はニコヤカに自分の名前を名乗ったが、ちろん、と秋良を1度流し見。 ――――――コレを紹介するのはちょっと、と思ってしまった。 だから。 「・・・・・・・・・・・・えーと、うん。知り合いそのイチ。」 まあそんな事を言えば、ある程度この後の予想は付くモノで。 「って何ソレ何だよ世癒その知り合いそのいちってそのどーでも良さ気な紹介の仕方!!泣くぞ俺!?」 ホントに秋良は予想通りの反応をして下さって、そのままがーがー喚くもんだから世癒からも本日2度目のぷちんという音。 「うっさいお前が実は変態だったなんて俺の方が泣きたいわ!!」 「変態と親バカ一緒にすんな!!」 「「イヤ一緒だろ」」 「あ。セユさんとキルアがハモッた。」 黒髪少年――――――ゴンの指摘はちっちゃくて。 「だから俺は変態じゃぬぇぇぇええええっっっっ!!!!」 そんな秋良のでっかい主張に、「イヤ変態だろ」と聞いてた誰もが心の中でツッコム。 ――――――ちなみに。 このでっかい会話は最初から最後まで件の〝息子〟の耳にも届いており。 彼は。会わない間に自分が随分と彼の養い親の事を美化していた事に気付き。 穴があったら入りたい、とかなんとか。 思ったり、していたかどーかは、定かではない。 |
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ヘンタイでイイと思うようんヘンタイで。 | ||
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