ハンター試験の応募用紙は、書店に行ったら『ご自由にお取り下さい』のチラシの中にふつーに混ざってた。 そしてはホントにと自分の2人分、ぺっと貰ってササッと書いてサクッとポストに投函した。 で。 2人はその帰り、腰を痛めて家に帰れなくなっていたおばぁちゃまを家に送り届けた先で何故かその家族に気に入られ。 試験開始まで、そのおばぁちゃまの家にお世話になる事になった。 おばぁちゃまは、旅館のオーナーさんだった。 お嫁さんが女将で、息子さんが料理長。経営はお孫さんが仕切ってた。 旅館自体はけっこー大きかった。料亭としても人気があった。 周りは田園とかばっかりで、空気もおいしい。季節ごとに果物狩りのイベントもあるそうな。 しかも天然の温泉まであった。美肌効果は最高なんだそうだ。 2人は最初タダで泊めて貰うなんて・・・・・・と渋ったが、以外に押しの強いおばぁちゃま一家に押し切られた。 でもやっぱり申し訳ないから、と手伝いを買って出た。 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・2人が旅館をお手伝いしてる間、旅館の売り上げはどーん!!と増えたらしい。 とがお世話になりました、と旅館を後にしようとした時には引き留められた。 2人ともウチの娘嫁にもらうつもりはないか、なんて言われたってゼンゼンないし。その娘さん2人はけっこーソノ気だったが。 ハンター試験あるしやりたい事あるし、で引き下がってもらった。 そんな事もありましたが。 はまだるっこしいのはいーや、と。ナビゲーター見付ける事もせずにサクッとザバン市に向かった。 そして原作、また以前の経験で入った事のある定食屋にさっさと入って。 「ご注文は?」 「ステーキ定食2人前。」 「焼き方は?」 「両方弱火でじっくり。」 「あいよ!おーい、お客さん奥へご案内!!」 エレベーター機能付き部屋に連れてかれた。 「・・・・・・・・・・・・ほんっとに、原作通りだな」 「そりゃそーでしょ。」 ステーキもしゃもしゃ食いながら呟くに、サラリと返す。 ちん、とエレベーターの音が鳴った。 「あ、着いた。」 「えっまじ!?はえぇ!!」 「・・・・・・まだ食ってんの。」 「いやだって勿体無ぇし!!」 慌てて口に肉を詰め込むに、は小さく溜息吐いてエレベーターを降りる。 途端、ザッ!!と視線が集中したのに気付いて目を上げれば。 かなりいました人が。どうやら今回は、かなり遅めに辿り着いたらしい。 「受験者の方ですね?コチラ番号札です」 しかもそう言って豆っぽい人(?)が差し出してきた札の番号は。 「・・・・・・406番と407番。」 「コレって、もしかして・・・・・・」 「一番最後、てワケかな。」 って事は・・・・・・と、は早速辺りを見回す。 と、ばちぃっ!!と音がしそうな勢いで目が合った。 誰と?――――――ソレは、勿論。 達のひとつ前にこの会場に足を踏み入れたのであろう、少年に。 「・・・・・・・・・・・・なつかしい、な。」 思わずの口元が緩む。紅い前髪に隠れた金色の目は優しく撓んで。 きょとん、と。ソレを見た少年が首を傾げる。 本当に、懐かしい。思えば『あの子』も良くそんな顔をした・・・・・・まあ、当たり前といえば当り前か。 ココは並行世界で、『あの子』とあの子は魂の色が同じ。 綺麗で、純粋な、愛しい子。 ソレは感動かそれとも感傷なのか。ドチラでもあって、ドチラでもない。ちょっと複雑な。 そんなの心の動きをさっきの呟きと表情で感じたは、の一歩後ろで同じ様にその子に目をやって。 「・・・・・・・・・・・・?」 嗅ぎ慣れた、匂いに気付いた。 ソレはほんの2ヶ月前まで。毎日の様に抱き締めて一緒に眠った。 あの、子供の。 「よう、君達も新人かい?」 胡散臭い笑みで掛けてきた、小太りで四角い鼻のおっさんの声にも反応せず。 「?」 眉をひそめたの声に、彼の肩を掴みながらきょろり、と会場を見回して。 その子は、直ぐに見つかった。 水色に染めた金の髪を、逆立てて。 白い頬に、涙と星のペイントを施して。 青い目を、いっぱいに見開いて。を凝視している。 間違いない。成長してるけど、大きくなってるけど。 あの子は、間違いなく。 「・・・・・・・・・・・・ヒソカ、だ・・・・・・・・・・・・」 「おい、ってば」 「・・・・・・俺の、ヒソカだ・・・・・・!!」 呟きは、とても必死で。 は、愛しい愛しい子の元へ、駆けた。 |
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やっとさいかい。 | ||
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