思わぬ人との偶然な出会い。ではあったが。

は早々にサヨナラした。

ハンターのお仕事で、この先の秘境へ行くというおっさんを、ホントにサックリさいなら〜と見送ったのだ。





何なら村まで送って行こうかなんていうちっちゃな親切を、内心でっかいお世話だと舌打ちしながら表面上はニッコリ笑って。

・・・・・・・・・・・・なんだか相手をして欲しそーだったのは、気の所為としとく。





で。

何故そうしたのかというと。





「わう。」。)

「なに。」

「わうわうん?」(何で俺人型取れねぇどころかしゃべれもしねーの?)

「扉くぐるのにがっつりアーグ使ったからだろね。俺だって半分以上化けの皮剥がれてたしさー。」

「わふ。」(げ。)

「ま。あんま気にしないでいーよ。どーせ2・3日もしたら回復するから。」

「あうん。」(なんだよかったー。)

「・・・・・・逆に言えば、2・3日はおとなしーくしてなきゃなんないんだけど。」

「・・・・・・わうーん。」(・・・・・・えー。)





界%nりは無事成功したが、ソレにかかった力が半端じゃなかった。

ソレでも、下手なモンと遭遇しない限りどーにでも乗り越えられる自信はあるしソレだけの余力もまだ残ってはいるが。

さっきのアレは、その下手なモンとの遭遇なのだ。





原作ジン・フリークスはな人物だ。

何期目かは忘れたが、ハンター試験唯一の合格者。

なんか色々幅広いハントで星二つ貰ってる。

彼の弟子など星三つでもオカシクナイと豪語しているし。





要は、とっても優秀なハンターだ。

そしてハンターといえば、未知なるモノに対する好奇心が凄い。一部例外もあるが。

そんなモンに目を付けられたりした日にゃ、なんか色々メンドくさい事になる。いや絶対。

オカシイと勘繰られる前にさっさとオサラバした方がコチラにとっても吉なのだ。





「アノ人相手のカップリングってのがどーもなー。カイトは弟子だし。何より見た目がゼンゼン萌えない。息子はカワイイのに。」

「うわうわん!?」(アンタ結局ソコかよ!?)





・・・・・・・・・・・・・・・・・・ドッチが本当の理由なのかどうかは、定かでない。





まあソレはさておき。

は麓の村どころかちょっと遠かったがソレナリに拓けた街に来ていた。

現在地が全く解らなかったからだ。

ネグラにしていた森がドコにあったのかはがある程度記憶しているが、2人はソコとは全く違うトコに落ちていた様で。





だからまずは情報収集。

するならやっぱり人のたくさんいるトコロ。

ソコで世界地図とか手に入れられたらちょーラッキー。





――――――・・・・・・・・・・・・てなワケで、やってきたのはイイのだが。





その事、に気付いたのはだった。

ほてほてゆったりのんびりまったり。

ごくごくふつーの、ちょっと散歩に出てきました的な一般人を装うの隣で。

やっぱりほてほてゆったりのんびりまったり。

通常よりもやや(いや、かなり)図体でかいが、首輪の代わりに首に手拭い巻かれたごくごくふつーの、飼い犬に扮したが。





思わずぴたりと足を止めたて凝視したのは。

電気屋さんのテレビ、だった。





?」





気付いたも足を止めて。

だけどは、じぃっ、とブラウン管を見たまま動かない。

と、ブラウン管の中の女の人が、言った。





『1999年11月8日、今朝のニュースをお伝えします』





ぴきーん、と。

ホントに音が鳴るくらい固まったの横で、もまたブラウン管の中の人を見る。

「知ってる人?」

声をかけたが、固まったまま。

いや、口が動いた。小さく。





「・・・・・・・・・・・・わふ、わうん・・・・・・・・・・・・?」(・・・・・・・・・・・・ウソ、だろ・・・・・・・・・・・・?)





ア然ボー然。

まさしくそんな感じの、呟きだった。

は眉をひそめて、を見下ろす。





?」

「・・・・・・あうん・・・・・・きゅーん・・・・・・?」(・・・・・・ありえねぇ・・・・・・1999年・・・・・・?)

「おーい、ー。」

「わぅうう・・・・・・がるるる・・・・・・!?」(どーなってんだよ・・・・・・冗談にしちゃ笑えねぇぞ・・・・・・!?)

「・・・・・・無視か。よしイイ度胸だ。

「きゃうんっっ!?」(はぐあっっ!?)





ぐわしぃ!!とにあり得ない握力で頭を握られて、は情けない声を上げた。

咄嗟に逃げようと腰が引けるが、ぎちぎち万力みたいに締め付けて下さるの手は中々離れない。





「きゅうん!!きゃんきゃんきゃん!!(いだだだ!!まぢ痛い!!)

「俺のコト無視してどっかイくからだ。」

「きゅきゅ〜ん・・・・・・きゃいんっっ、きゃうんきゃうん!!」(いやイってねぇし・・・・・・いだだだっっ、ごめんなさいごめんなさい!!





ハタから見てたら動物虐待だ。

周囲の人達も、を指差しひそひそこそこそ言い出す。

けれどそんな悪目立ちなど、は全くお呼びでないので。





ぽん、とひとつの頭を軽く叩いて手を離した。

「で?」

「わう?」(へ?)

締め付けが無くなって、はふ、と息吐いたは、そんなの短い問い掛けに首をひねる。

は深々、ほんっとーに深々溜息吐いて。





「ナニがウソでありえなくて冗談なワケ?」

「・・・・・・・・・・・・わふ!!」(・・・・・・・・・・・・ああ!!)





言われての耳がぴんっと立った。いや、耳だけでなく尻尾もだ。

「わん!!わんわん!!わうわうわん!!」(そーだ!!おかしい!!ぜってーコレなんかおかしーって!!)

しかもうるさく吠えだして、しまいにゃぐるぐる回り出す始末。





「・・・・・・・・・・・・だから、ナニがおかしーんだって」

「がうわうん!!(年だよ年!!)





溜息混じりのの質問は。

皆まで言う前に吠えたてたにかき消された。





「わうわうわう!!わおん!!」(俺が亀裂に引き摺り込まれたのは1993年だ!!間違いねぇ!!)




















 





 













イキナリろくねん。
 





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