ちゅんちゅん、と。 耳元で小さな鳥の鳴き声がした。 あまりにも近くから聞こえるものだから、ソレはぴるる、と弾く様に耳を動かす。 けれど鳴き声は遠ざからない。 どころか、もっと近くに寄ってくる。 ちゅんちゅん。 ぴぃちく。 ちゅんこらちゅん。 「・・・・・・だぁああっっ!!うっせぇ静かにしやがれ寝らんねーだろこのド畜生がっっ!!」 がるるる!!と。唸り声付きでガバッと頭を上げ怒鳴る。 その勢いに驚いて、ソレの頭の上にとまっていた鳥3羽が、一斉に空に逃げた。 そんな鳥達を目で追って。ソレはふんっと鼻を鳴らしもう一度寝る体制に入る。 が、しかし。 「なーにを2度寝なんかしよーとしてんのかにゃーこーのあほ犬はー?」 何だかすっごく楽しそうな明るい声に、ん?とソレは思う。 (・・・・・・あれ?なーんか幻聴が聞こえたよーな気が・・・・・・いやいやいやいや。) 思う。 (だってアイツがこんなトコにいるっておかしーだろ。あれじゃあ何だこのすっごくナツカシイ久し振りな声は・・・・・・?) おもう。 「――――――っっっっ!?!?」 がばぁ!!と。 今度こそソレ・・・・・・白い狼姿のは顔を上げた。 さっきまでの睡魔なんかは何処ぞに吹っ飛んで、意識も覚醒全開だ。 そして、目の前にいた、にぃっこりとキレイに笑っているのに逆にソレが恐ろしい人物を、目を皿の様にして見詰めて。 見詰めて。みつめて。ミツメテ。 「っっっっ!?!?」 「やっとお目覚めかいこのバカ犬。」 「いや俺犬ちげーから!!狼だから!!」 腕を組んで半眼でを見下ろして来るに、思わず訂正を突っ込んだ。 けれど直ぐに我に返って、は飛び起きる。 「って違う!!何でがんなトコいんの!?つかココどこよ!?」 「はぁ?何言ってんの俺の部屋じゃん俺がいて当たり前じゃん」 「え!?部屋!?の部屋!?えぇええ!?!?何で!?!?何で俺いんの!?!?」 「俺が森ん中でぐぅたら寝てたお前担ぎ込んだからに決まってっしょ」 「ちょちょちょちょちょっと待ったマジ待った!!寝てた!?俺が!?ドコで!!」 「・・・・・・お前アホでおバカなのにとーとーボケまでしだしたの」 「うわひでぇ!!すっげぇひでぇその言い方!!」 「つかお前の方こそ6日間もドコ行ってたの」 ぎちり、と固まった。 何が――――――が、だ。 ソレはす、と目を鋭く細めて見下ろしてくるの視線の所為でもあったが、何より。 「・・・・・・・・・・・・むい、か・・・・・・・・・・・・?」 細く小さく。溢された声には確かに。 信じられない、という感情が。乗っていて。 のソレにはほんの少し眉を顰める。 ぎゃいぎゃいワケの解らん事を喚いたと思ったら、今度は呆然自失。 おかしい、と。思わず何を思えと。 けれどは溜息吐いて、ソレより何よりまずはお説教だと、姿勢を正しを見据える。 「そう。6日。」 「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・そ、・・・・・・・・・・・・・・・・・・」 「何も言わずにイキナリどっか行ったと思ったらぐーぐー鼻ちょうちん作って寝こけてやがって。俺達の心配返せこのおバカ」 「嘘だ!!」 けれどお説教の途中で、イキナリは叫んだ。 その叫びに、何が嘘なのかとはカチンとくる。 そしてその、カチン、とキたまま怒鳴り返そうとしたら。 「嘘だウソだうそだ!!だって俺向こうで12年過ごした!!12年だ!!」 半狂乱。正しくそんな感じで。 「12年・・・・・・!!俺はこの手でチビを育ててた・・・・・・!!」 今度こそ。 うろたえ出したの姿に、の眉間にきっちりした皺が刻まれる。 しかも。はうろうろうろうろと、落ち着きなくぐるぐるその場を回り出しさえし出して。 「ああもーおっ前うっざいな少しは落ち着けこのバカ犬!!」 「きゃいん!?」 イラッときて、はぐわしぃ!!との頭を鷲掴んだ。 石さえ砕く握力だ。が情けない鳴き声を出すのも当たり前。 「――――――何が、あったの」 「いだだだっ!!いてぇよ!!」 「質問に答えな。でないとホントに握り潰すよ?」 「・・・・・・・・・・・・・・・・・・は、はひぃ。」 にぃっこり。と。 ソレはソレはキレイな笑顔でそんな事をのたまって下さったに。 やべぇコイツ本気だ!!と命の危機を感じ取ったは、ざぁっと血の気を引かせて情けない返事を返した。 |
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だいこんらん。 | ||
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