チビはホントに賢い子だ。1を言えば10を理解する。

好奇心も旺盛で、何でもかんでも興味を示す・・・・・・飽きっぽいトコもあるけどな。

そんでもって要領もイイ。アレやってコレもやって、色々やるけどやりきれなかった試しがない。





まあ、何が言いたいのかと言うと。

さすがウチの子すっげー天才なのよ!!

あ?親の贔屓目?

はっ。んなモン無いに決まって・・・・・・うん、ひいき、目なんて・・・・・・無いハズ。





さて。そんな息子も今年で15才になりました。

・・・・・・・・・・・・イキナリ時間飛ばしやがってとか言うな。

サクサクいけるトコはサクッといっとくに限るんだよ。





コッチにきて11年。もう、11年。

最初はチビの面倒見ながら、還る方法も探してはいたが、7年経ったくらいからソレは止めた。

もう人間じゃねぇから見た目ぜんっぜん変わってねぇし。多分もそーだと思う。

だから、チビが老衰で天寿を全うしてから還る方法探し出しても遅くはねーだろ、って思ったんだ。





――――――・・・・・・・・・・・・還った時、向こうの顔見知りはを除いて誰もいねぇだろうな、ってのも思ったがな。





けど俺はコッチにいる事を選んだ。

チビが・・・・・・ヒソカ、が。いるから。





さっきも言った通り俺はもう人間じゃねぇから、界≠自力で渡る方法を見つけたら、サクッと向こうへ還れるだろう。

けどチビは普通の人間だから。

連れていきてぇ、って思っても。きっと連れていく事はできねぇ。次元の転移は意外に負荷が重すぎる。





「パパ?どうしたの?」

「んー?や、何でもねぇよ」





きょとん、と俺を見上げてくるチビの声に、俺は意識を切り替えた。





・・・・・・・・・・・・つか、ね。

15にもなって「パパvv」はナイんじゃないかイヤかわいーから許すけど。





11年経って。15になったチビは今や少年から青年に差し掛かろうというトコまで成長した。

多分俺を超す事はねぇだろうが、にょきにょきと背も伸びた。

細ぇのはそのまんまだが、すくすく育ってくれてソレナリに肉も着いて骨も太くなった・・・・・・と、思う。

シッポみてぇに結んでる金髪はなんもしてねぇのに女が羨むくれぇサラッサラだし。

顔だってキレイに整ってる。美人の幼少期は不細工って言うけどありゃデマだデマ。





結論。

チビは目下、女が放っておかない様な男に成長している途中で。





〜〜〜〜っっああぁぁああ!!!!

ある日トツゼン「コレボクの彼女」とかって連れて来られたりしたらどーする俺!?

歓迎っ?祝福っ?

はっ!!どうせウチのチビを誑かしたに決まってんのにそんな女をどーやって歓迎しろと!!





「ねぇ、パパ。ホントに今日はどうしたの?」

「・・・・・・・・・・・・っっイヤイヤほんっと何でもねぇから」





思わずしゃがみ込んで頭掻き毟った俺の隣に、同じ様にしゃがみ込んでチビが俺を心配そうに覗き込む。

ああっ!!なんてヤサシイ子に育ったんだろうお前は!!

もー誰が何と言おうとドコにもヒソカは嫁に出さん!!絶対に出さんぞ!!





「・・・・・・・・・・・・パパ。ボクだよ?」

「はっ!?もしかして声に出てたか!?」

「うん。」





はぅあっっ!!やっちまった!!





「ソレに、そんな心配しなくても大丈夫だよ?」

「へ?」





ぽむ、とチビの手が俺の頭に乗る。

見つめた先にはチビがいて。

そのチビは優しい様な甘い様な、そんな顔で俺を真っ直ぐ見詰めて微笑う。





「ボクはパパが大好きだもの。パパがいれば他なんかいらないもの」





「〜〜〜〜〜〜〜〜っっっヒソカーーーーーーーーっっっ!!」

「っひゃあ!?」





なんっっっつて!!なんてカワイイ事を言うんだこの子は!!





「俺もっ!!俺も大好きだからなーヒソカ!!」

抱き締めてぐりぐり頬を擦り付けながら、相も変わらずカワイさ全快な我が子を愛でる。

だから、俺は気が付かなかった。





「・・・・・・・・・・・・うん。ボクも。大好き、パパ」





そう言って、俺の服の背中をきゅう、と弱く握ったチビの。

抱き締めた所為で見えなくなったその顔が、酷く淋しそうに哀しそうに歪んでいた事を。




















 





 













目に入れても痛くないホド可愛い子。ずっと傍に、いて欲しい子。
 





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