俺はけっこーモノを大事にする方だと思う。

けど世の中にゃ、ブームだか流行だかが過ぎ去った、ってなモンで、パカパカモノを捨てるヤツは多い。

で、ココでもそーゆーヤツは多いみてぇで。





「おーいちびー。こーいこいこいこっちゃこーい。」

「?」





ボールてんてん弾ませてたチビに声を掛けたら、やっぱりこてんと首を傾げてとてとて走り寄ってきた。





・・・・・・やべカワイイ。





もー『とてとて』ってトコがっ!!まじにんな擬音ぴったりハマるトコが!!

うしさんの着ぐるみなんかちょーラヴリーだよサスガ俺ぐっじょぶ俺!!

くぅうっっ!!早く来い!!そして早く抱き締めさせろ!!





とてとて走って来たチビは、て、と右手を俺の膝に乗せる。

そんでもって、俺を見上げて。





こてん。





「・・・・・・・・・・・・ああああああああ!!!!やべもう無理まぢカワイイ!!!!」





反則だ最強だもー殺人級だ!!

何だってこんなエクセレントでスーパーでパーフェクトなカワイイイキモノが!!この世に存在するのか!!

思わずぎゅーしてすりすりしても仕方ねーだろ!!





んで。

ホントにぎゅ―してすりすりしてたら。

ぱたぱたとチビは腕と足をばたつかせた。





ぐはっっ!!くりてぃかるひぃっと!!





イヤイヤの仕方までなんてかわゆいんだろうコイツ!!

いやもー俺ホンット小児趣味じゃなかったんだけどな!!

ココまでキたらもーいっちゃってイイ!?ねえイイ!?

ぱくっとオイシクいただいちゃってもイイかなぁコレ!?





――――――・・・・・・・・・・・・その時。

ふ、と脳裏に浮かんだのは。





がっさ極上の笑顔で俺を見下ろして下さっている、の顔だった。





しかも『へ・ん・た・いvv』って!!

くっきりしっかりひと文字ずつ区切って!!

更にははぁとまぁく!!ハートマーク飛んだよ今!?

すっげ嬉しそうなんですけど!?もー勘違いとかじゃなく本気で嬉しそうなんですけど何で!?





ショタ獣姦かー。ジャンル違うけどソレはソレでオイシイかもvv





って何考えてんだアンタぎゃー!!





・・・・・・・・・・・・ぅうう。ぬかった。

腐の付く方がコレほどオソロシイとわ。

お陰でテンション上がりまくってた俺の頭もすこーんと落ちた。

そーだ俺はただかいぐりする為だけにチビを呼んだんじゃない。ないったらナイ。





俺にぎゅーされてうーて顔してたチビをくるっと反転さして、あぐらかいた脚の上に座らせる。

んで、横に置いてた本をチビの目の前に広げた。





「?」





ソレに、チビはこてんと首を傾げて。くるんと俺を振り返って見上げて。

俺はぺむぺむ頭を撫でて、チビの目をソレに戻させた。





ぱらり、とページをめくる。

出てきたのはオオサマの絵。それからほんの少しの、文字だ。





・・・・・・はっ。いっくら狼の姿で人の姿が見えない時に街ん中うろついてるからってな。

半年以上もコッチで過ごしてりゃ俺様の性能のイイ耳はイロイロと、そりゃもうイロイロと音を拾っちまうのよ。

しかもゴミ収集場に捨てられるのは衣類だけじゃねぇ。

ねぐらにしてる洞窟ん中にゃ、こんな絵本だけじゃなく普通の書籍やら新聞やら、はしっこの方に積み上がってる。





チビの前に広げた絵本に手を伸ばす。

オオサマの絵の上にある、大きい文字を、指でなぞる。





『おうさまが なんでおうさまなのかというと おうさまが おうさまを おうさまと きめたからだ』





チビがバッ!!と振り返った。

いっぱいいっぱいに開かれた目が、すっげぇ驚いてる事を現してる。

俺はもう一度、チビの頭をぺむぺむ撫でて。

ページをめくり、文字を指先で追い出した。




















 





 













子守といったら絵本。
 





<<バック                   ネクスト>>
<<バック>>