「やーごめんなー。イキナリんなトコまで連れてきちまってさー」

『・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・』

「でもなんつーかな?ほらあんなトコに置いてけなかったっつーか何つーか」

『・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・』

「あれでもコレって俺ハタから見たら人さらい?え?誘拐?いやいや違うよなうん俺悪い事してねーよな寧ろイイ事したよな」

『・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・』

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」





ねぇちょっとこのチンモクどーにかなりませんか。





いや、解ってっよ?

多分この子もあの宇宙人みたいな言葉しか知らないんだろーなー、ってな事も俺の言ってる事通じてねーだろーなーって事も。

しかも俺ホントにこの子の目の前で外道3人瞬殺したしね!!

そんな殺人犯とふたりきり。ビビッて口が聞けんくなんのもなくはない。





ケドもーちょっとこのチンモクどーにかなりませんか。

え、ならない?ウンソーデスネワカッテマスヨ。





俺ははふ、とちっちゃく溜息吐いて、ぺたぺたぺたぺた、その子に葉っぱを貼りまくる

タダの葉っぱじゃねーんだぜぃ!!ちゃんとした薬草なんだぜぃ!!

うんぢつわに教えて貰った。てゆーか叩き込まれた。

もー容赦のよの字もなかったよ。サスガ二つ名風のアク・・・・・・いや何でもナイ。ないったらナイ。





ちなみに、今俺達がいるのは森の中だ。

いやだってあの街いちおーぐるっと一周してみたけど言葉解んねぇしコイツの親っぽそーなのも見付かんなかったし何より金ないし。

だから取り敢えず、あの街から一番近くにあった森に来てみた。樹の匂い辿って。

はっ、ダテに2年以上狼やってねぇぜ!!





まあ、で。

わりと森の最深部に近いトコで流れてた浅めの川でコイツ洗って火を起こしてぶっちぶち薬草毟って来て手当してる最中なんだが。





ぺたぺたぺた。

『・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・』

ぺたぺたぺた、ぺた。

『・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・』

ぺた、ぺたり。

「・・・・・・なんかどんどん緑人間に変化していくなお前。」





まあでも仕方ない。コイツ、ほんっとアザひでぇ。

どんだけ殴られたんだこんなちっちぇのに・・・・・・うっわ、すっげムカ

どーやらギリギリセーフで最後まではヤられてねぇみたいだけどさ。

あんのド外道共、瞬殺じゃなくて弄り殺してやれば良かった。

いやあんなんにんな労力使うのも勿体ねぇからやっぱ瞬殺だけど。





「うし。こんなモンか」

ぺたっと。最後の1枚をほっぺに貼って、俺はぐしゃぐしゃその子の頭を撫でる。

ホントに上から下まで緑人間だ。いやそーしたのは俺だども。





その子はちろん、と俺を見て・・・・・・・・・・・・うん、ぐっじょぶだ。

その上目遣い!!その角度!!いやぁたまんないね!!

キミがオトコノコだって解っちゃいるけどおにーさんまだ見ぬ世界の扉を開けちゃいそうだよ!!





・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ごめんなさいすみませんウソです。

だからそんな、純粋な目で俺を見ないでーぇ。

いたたた、痛いいたいイタイ。汚れた俺にはその穢れのない視線がすっげイタイ。





くしゅん。





あ。やべコイツ今すっぽんぽん。

服はビリッビリでもう着れそうにねーし。

木の枝拾って来て燃神で火を起こしたとはいえ、もう日もとっぷり暮れて外気は肌寒いし。





くしゅっ、くしゅんっ。

「はいはい。コレ着ろコレ」





結果。

俺がコイツに差し出したのは、俺が着ていた、着流し、なんだが。

・・・・・・・・・・・・俺に露出の趣味はアリマセン。コイツを襲う気もアリマセン。

ですからナニかを期待されたの付くオネーサマ方、今すぐブラウザバックプリィズ。

期待されてもなんもしねーから。





そして俺に着流し羽織らせられたコイツはといえば。

びっくりまなこで俺を見上げて、こてん、と首を傾ける。

・・・・・・・・・・・・うん。もう俺このまま犯罪者の道に走ってもげふごふんっっ。





く、くどいよーですがナニかを期待されたの付くオネーサマ方、今すぐブラウザバックプリィズ。

俺なんもしねーから!!絶対!!・・・・・・多分。





俺はコホンとひとつ咳をして、ソイツの腕を袖に通してやってぐるぐる帯巻いてきゅっと結ぶ。

・・・・・・・・・・・・大人用だからなー。でけーなーやっぱ。

どっかで子供服調達してこねーとなー。

ま、明日でいっか明日で。もー夜も遅せーし。





俺は着流しを着せたソイツを引き寄せて、焚き木の傍に座らせる。

んで、その背後に回り込んで・・・・・・イヤだから何もしねぇってば。





『――――――っっ!?』





ソイツが、ひゅ、と息を呑んだ。

でっかい薄水色の目が、コレでもか!!てなくらいに更にでっかくなって俺を凝視する。

「取り敢えず今日はもう寝ろ。な」

ふぁさ、と。尻尾をソイツの足の上に被せてやれば、そろそろと俺に伸ばされてくる小さな手。





俺は大人しく、その手を受けた。

小さな手が、俺の耳を軽く引っ張って、毛皮を撫でて。

ぐ、と尻尾に力を入れて、小さな身体を俺に凭れ掛けさせる。

そしたらソイツはぱちくり、と目を瞬かせて。おずおずと、俺の毛を緩く掴みながら俺の毛皮に顔を埋めて。





ほにゃ。





・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・うん。

何だろう。何なんだろうこのカワイイイキモノ。





ほにゃほにゃ笑って懐くソイツに。

俺は今日1番のシアワセを噛み締めていた。





良かった俺本性狼で!!




















 





 













わんこは可愛いモノがとってもダイスキ。
 





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