「は?」





預けられた子供達に関する定期報告。

その最後、相も変わらずふてぶてしく腹の底の見えない老人がのたまった言葉に、私はしっかり1分、固まった。





・・・・・・・・・・・・ええ、と。ちょ、ちょっと待って?ねぇ待って?

「あの、ほかげ、さま。もういちど、おっしゃって、いただけます、か」

「じゃから。お主には上忍師になって貰う」

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。





「あの、ほかげ、さま。も、もう、いちど」

「上忍師じゃと言うておろうが。次は言わんぞ」





・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ええぇぇええええっっっ!?!?!?

じょじょじょっっ、じょうにんし!?上の忍の師と書いてじょうにんしと読むあの!?!?!?





「ちょっと待って下さい何で俺が!!」





そりゃ確かに原作での『はたけカカシ』はナルト達の上忍師だったけど!!

あの子等下忍になんないぢゃん!!裏の特位に戻って影護衛決定ぢゃん!!

ってコトはあの子等以外の下忍の上忍師!?

思わず喚いたって仕方ないよね!?ねぇないよね!?





だけど火影様はしたたかだった。詰め寄った私なんて暖簾に腕押し糠に釘。

「やかましい。コレは決定事項じゃ。拒否は受け付けん」

しっしっ、と犬を払うみたいに手を振られた。





くぅうっっ、ならばっっ。

「・・・・・・・・・・・・っっ、俺っ、絶っっっ、対!落としますからね!!」

例え上忍師になったとしても!!下忍をアカデミーに返しゃ無問題!!

「安心せい。優秀じゃから絶っっっ対に落とせはせん」

ぬぅっっ、ダテにタヌキと呼ばれてないなコンチキショー!!





くぅぅうっっ、とクチビル噛んでると、話は終いじゃさっさと行け、と追い出された。

・・・・・・くぅぅうっっっっ!!む・か・つ・くー!!





どすどすどす!!と足音も荒く廊下を突っ切る。

どーやらその下忍候補は、アカデミーの教室で既に待っている、らしい。





よっし解ったその顔拝んでやろーぢゃないか!!

んでもってどんなに優秀だろうが何だろうがアル事ナイ事イロイロいちゃもん付けて不合格にしてやる!!

ソレでなくてもナルト達影護衛で名家の子達にべったりになるのに!!

朝と夜と休みが重なった時くらいしか一緒にいられなくなるのに!!





そんなんなのにどーしてワッザワザ他の子見なきゃなんないんだってゆーの!!





ずかずかずか!!もーイライラなんか出しまくりで目的地へ。

そして目当ての教室の、扉の前でふと一息。

ソレから、ギンッ!!と目の前の扉を見据えて。





がらっっ!!

「お兄ちゃん!」「兄ちゃん!!」「兄さん!」





・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・え?





思わず、ぽけーん、とした。

いや、だって、まあ、ねぇ?

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ナルト、サクラ、サスケ?」

何でこんなトコにいんの。

アレ?私教室間違えた?





「おっせーってばよカカシにーちゃ・・・・・・じゃねぇ、カカシ先生!!」

・・・・・・へ?

「ほんと。カカシ先生ココに来るの忘れちゃってるのかと思ってたわ」

・・・・・・は??

「その様子だと、火影様から何も聞いてないみたいだなカカシ先生」

・・・・・・えええ???





「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・どーゆーコト?」

こてん、と首を傾げたら。

子供達は顔を見合せて、ソレから楽しそうに嬉しそうに笑い合って。

「「「だから、俺(わたし)達がカカシ先生の受け持つ下忍だってコト」」」





・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ふっ。そーゆーコトか。





そりゃ優秀だ。優秀過ぎてぐぅの音も出ないよ。

絶っっっ対、てあの自信はどっから出てたんだってよぅく解ったよ。

今頃腹抱えて笑ってんだろーよ。





「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・よぅしわかった。」

「え?ちょ、カカシお兄ちゃん?」

「に、兄さんどうしたんだ?」

「イ、イキナリ苦無なんか出して」

「うんちょっとあのタヌキジジィぎゃふんといわしてくる。」

「「「ちょっと待ったぁぁああああっっっ!!!」」」





苦無に指を滑らせながらうふふふふふと笑ったら、顔をまっつぁおにした子供達がしがみ付いてきた。





「止めるなナルトサクラサスケ!!あのジジィどつく!!一度キュッとシメる!!」

「いや無理!!普通止めるって兄さん!!」

「お兄ちゃんやめて!!お願い!!」

「目が!!目がマジだってばよ兄ちゃん!!」

「ああマヂですよとーぜんでショ!!てゆーかお前達だってそんな事一言も言ってくれなかったのにぃぃいいっっっ!!」

「だってお兄ちゃんおどかしたかったんだもん!!」





・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ぴた。

ぐぎぎぎ動かしてた身体を止めて、びったり腰にひっついてる桃色に、目を落とす。





「・・・・・・わたし達が、おじいちゃんに頼んだの。下忍と『白』、兼任するから。カカシお兄ちゃん上忍師にして、って」

「・・・・・・下忍任務だと、合同とかもあるだろ?なのにオレ等だけ何時もいねーってなったら、不自然だし、さ」

「・・・・・・言わなかったのは、ごめんなさい・・・・・・でも、ホントに。兄さんといたかったから」





きゅう、と。縋る様に右腕にくっついてきたサスケが、左腕にかじり付くナルトが。





・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ああ、もう。この子達ってば。

ふ、と身体から力が抜ける。

ソレに気付いた子供達が、おずおずと不安そうな目で私を見上げる。





「ナルト。腕離しなさい」

「っっ、にぃ、ちゃ」

「サスケもサクラも離して」

「っ、や、」

「にい、さん」

「離しなさい」





ぴしゃり、と言ったらビクッて震えて泣きそうな顔しながら、そろそろと離れていく。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ほんっと、この子達ってば。





「〜〜〜〜〜〜っっ!!大好きだーーーーっっっっ!!!!」

「「「うわ(きゃあ)!?」」」





私の中の怒りはすこーんと上機嫌へと早変わり。

3人固まって俯いてる子供等をがばぁっっ!!といっぺんに抱き締めたら何ともまぁかわゆらしい声を上げられました。

怒られる、とかって思ってたんだろうね。ほけん、と私を見詰める3対の目がもうほんっとカワイイ!!





私はぎゅーぎゅー子供達を抱き締めながら、だけどひっそり胸に誓った。

タヌキジジィをぎゃふんといわすのはこの子達の解らないトコでするのさ!!と。










 





 













おねーさまいつかホントにじじさまをキュッとしそう。
 





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