「お前等、今日からココで寝泊まりね」





さらっと言ったら。黒髪の子供2人のうち、1人はきょとんと目を丸くした。

ちなみにもう1人は、あーそーですか、みたいな感じ・・・・・・むう、ほんっとジジむさいなこの子。





「・・・・・・ちょ、ちょっと待てよ!!イキナリ何言ってんだよアンタ!?」

「・・・・・・はぁ。またメンドくせー事になってきたな・・・・・・」

「をいこらシカマルッッ!!てめぇもイヤならハッキリ言えよ!!」

「つっても、もー決定事項なんだろーが。だったら喚くだけ無駄だろーよ」





うん良く解ってんね。

つかほんっと、どんな生活したらこんな枯れた子に育つんだ。





「つか決定事項って何だよソレ!?」

「うんまーお前等そのまま帰すってのも危ないからさー。」





だってキバが誘拐されかけたのもシカマルが暗殺されかけたのもつい数時間前だ。





けっちょんけちょんにしたどっかの忍は、イビキさん管轄の拷問部に引き渡してやったけど。

誰の手引があったのか、何でキバがおおがみ憑きだって知ってたのか、そんなトコまではまだ解ってないし。

シカマルが暗殺されかけた原因のあの本だって、何かを釣る為のエサなのかソレともタダの鬱憤晴らしか。

とにかく、何が目的でアカデミーの図書館なんかにあったのか調査中だ。





その本は今、サスケの手に渡ってるけど。

そしてそのサスケは、すっごい目で本睨んでるけど。

もー視線に燃やす力あったらあの本消炭だなってくらいに。





「サス?どうしたの?」

サクラが気付いて、サスケの肩口から覗き込む様に本を見る。

・・・・・・あ。サクラ顔から表情落ちた。コレはコレで怖い。いやうん、怖い。

「何だ、どうしたんだサクラ、サスケ?」

「・・・・・・・・・・・・イルカにいさん・・・・・・・・・・・・コレ、暗号文だ。物語の中に、もうひとつ、物語が書かれてる・・・・・・・・・・・・」

イルカの声に応えたサスケの声は、泣きそうに震えてて。

・・・・・・うん。イルカの顔もすっごいせーだいに顰められましたよ。





「物語?何の?・・・・・・っとぉ!?」

「はーいナルトは動かなーいの。」

「って、何だよカカシにーちゃん!?」





私の膝の上から立ち上がって、輪に入ろうとしたナルトはがっちりホールド。

「・・・・・・だめ。ナルトはだめ。」

ほら。サスケもあー言ってる事ですし。

「何でだよっっ」

「わたしもイヤ。ナルにはコレを読んで欲しくないわ」

むす、としたナルトには悪いけど。仲間外れって感じでホント悪いけど。

サクラの気持ちも解ってあげて?





「だからっっ、何でオレだけ!!」

「――――――10年前、九尾の狐が木の葉の里を襲った――――――隠された物語の冒頭は、こうですよ」





さらっとナルトの問いにが答えたその時の、空気をどう表現したら良いんだろう。

まずナルトは固まった。イルカは怒った顔だしサスケは泣きそうだし、サクラは感情すとーんとどっかに落してきました、みたいな顔だし。

内容知ってるシカマルもすっげ盛大に眉間にシワ寄ってるし。葛葉様は目ぇ吊り上げるし。

唯一解ってないのはキバか。はい?って感じで首傾げてる。





私は直に読んでないけど、から意識提供されてその内容知った。触りたくもないって思ったよあの本。

最初から最後まで、つらつらつらつら、恨み辛みしか載ってないんだもの。





「まあ、その本の事は今はドコかに置いておくとして、ですね」

「お前等2人、しばらくココで修行して、暗部に寝首掻かれそうになっても大丈夫な程度には強くなってもらおうと思うんだーよ」

「火影様には既に了承を頂き、貴方方のご両親にも説明は済んでいますので、心配せずに励んで下さいね」





と一緒に話題転換。

皆まだまだむーん、としてたけど、取り敢えず本からは意識を切り離してくれたみたいで。





「・・・・・・はあ。そりゃ手回しのいーこって」

「って何時の間に!?」





てゆーか早速おじーちゃんモード?

しかももう1人は、本人の意思はー、とかプライバシーはー、とか。なんとかかんとか。ぎゃいぎゃい文句言い出すし。

でも、ね。うん。





「今のお前達には力が必要だ」





つら、っと言ったら。

喚いてた方は、ぐ、と口を噤み。

諦観してたもう1人も、私にちろんと視線を向けた。





「お前達がお前達のまま。誰にも屈さず侵されず、他でも無い、お前達自身が決めた道を行く為に」





ソレは、以前。

『あたし』がに、言われた言葉。

『灰』の名を名乗っていた時、心底から身に染みた、言葉だ。





「実力がモノを言う世界では。望む望まないは二の次で、力は絶対必要なモノだ」





私の言葉に潜む重さに気付いたんだろう。

眠そうな目をしてたシカマルも、うううと唸ってたキバも。

す、と口を引き結び姿勢を正して、私を見据える。





「お前達はお前達自身のもので、幸せになる権利も、なりたいものになれる可能性も持ってる」

だけど人の世は理不尽で残酷で。

そんな権利が可能性が、取り上げられ摘み取られる事なんかザラにあるから。

「その権利を、権利として持ち続ける為に。可能性を奪われない為に。お前達には強さが必要だ」





言い切ったら、チンモクして俯いた。

――――――この2人だって、ちゃんと解ってんだろう。

殺されない為に。生きてく為に。私達の提案を呑むしかないって事くらい。





「と、言うか。現役の暗部に、直々に修行見てもらえる、とか。かなりレアだと思うわよキバくん」

「・・・・・・そっか!!そーいやそーだな!!」

「今苦労してたら、後々楽できると思うぞ奈良」

「・・・・・・あー。言われてみれば」





あ。サスケとサクラの言葉にあっさり納得。

・・・・・・・・・・・・つか、そんな理由でヤる気出す?










 





 













所帯(?)がどんどんでかくなってく。。。
 





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