平和、だった。





・・・・・・いや、相も変わらず里には暗殺の依頼が幾つも舞い込んで来るが。

アカデミーの中忍教師に扮して名家の子供達を護衛する、任務の傍ら。

無理がたたらない程度にその暗殺任務を請け負っているが。





ソレでも、つい数年前までの様に、どっぷり朝から晩まで任務任務また任務、なんて事に陥っていない程度には。

平和、だったんだ。





――――――・・・・・・・・・・・・ソレも、今この瞬間まで、という但し書きだが。





「あ。イルカにーちゃんおかえりー」





迎えてくれたナルトの声は、右から左へ素通りした。

おれの視線は、ある一点に固まったまま動きもしない。

その反応を見越していたのか、ナルトもソレ以上言わずに部屋の奥へと戻っていく。





「・・・・・・・・・・・・・・・・・・なんで、増えてるんですか」





ようやく絞り出した声は、げっそりやつれた病人の様な、そんな声。





出掛ける前は、3人しかいなかった、ハズだ。

と、いうか。この家は元々金と桃と黒の3人しかいない。

なのに何だ。何故増えてるんだ。

――――――黒髪黒目の目付きの悪い子供と、やはり黒髪で赤目の子供が!!

しかも見間違いでなければこの2人!!俺が表で請け負っているアカデミー生じゃないか!?





2人はといえば、俺を見て目を丸くしている。

・・・・・・・・・・・・どうしておれ、面を取ってしまったんだろうな・・・・・・・・・・・・

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・何で、変化解いてしまったんだろうな・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

今となっては、もう後の祭りだ。





「ああ。この子、何処ぞのバカに目を付けられちゃったみたいでーね。誘拐されかけてたの、横から掻っ攫ってきてみちゃったんだーよvv」

・・・・・・・・・・・・・・・・・・ああ、はい。そーなんですか。

解りましたけど、そんなあっけらかんと語尾にハートマークらしきモンまで付けて言わないで下さい。イヤ似合いますけど。





「私も似た様なものです・・・・・・ただコッチは、暗殺対象みたいだったんですけどね」

・・・・・・・・・・・・・・・・・・暗殺・・・・・・・・・・・・・・・・・・

コレまた物騒な単語が出てきた。しかもこんな子供?何でだ。





「・・・・・・・・・・・・で。アンタ等はそんなカッコで何やってんですか」





そう。コレが一番の謎だ。

黒い子供が2人増えた理由は今聞いた。

その2人は今、サスケとサクラから甲斐甲斐しく傷の手当てを受けている。





――――――なのに何でその子供4人の中にもう2人!!

子供達よりちょっと年上だが、ソレでも子供に化けて2人!!

ナチュラルに混ざってやがんだ金銀妖目の子供が2人!!





「だーって。鬼ごっこの途中だったんだよ」

・・・・・・・・・・・・・・・・・・は?

「今日はナルト達といっぱいいっぱい、いーっぱい遊ぼうと思ってさ。だから今日一日ずっとこの姿でいよーって決めてさ」

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「まあぶっちゃけ、このカッコのままだったの忘れてただけなんだけどねー」

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ソレでいーのか木の葉一の技師。





「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ちなみにさんは」

この人、確か昨日から子供達に入ったSクラス任務の全てを取り上げて家を空けていたハズだよな。

「だって帰って来たらカカシがそんな感じでしたから」

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「1人だけ、って。何だか仲間外れみたいでイヤだったもので」

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・何処から突っ込めば良いんだろう。





おにぃちゃん、コッチの子終わったわよ」

「カカシにいさん、この子も手当終わった」





イロイロ言いたい事が頭の中に浮かんでは消え、をしているトコロに、サクラとサスケが顔を上げた。

元大人の現少年2人は、良くできました、とそんな子供達の頭を撫でている。

そして、手当を受けていた当人はといえば。





「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ドーモ。」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・メンドくせーけど、礼だけは一応言っとく」





・・・・・・・・・・・・何とまあ、可愛げの無い。

しかもおれに向ける視線に、敵意が混じっているのは気の所為か。





「その様な姿で其れだけ血の香を漂わせておれば、警戒もしようて」

「なーにーちゃん、コイツ等が暗部に襲われてたのって、ついさっきだぜ?」





ぱたぱた、と。奥に籠っていたナルトが湯呑と急須を盆に乗せて持ってきた。

その隣の葛葉様は、同じ様に盆に茶請けを乗せている――――――が。





「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・葛葉様まで・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

「何じゃその厭そうな声は」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・いや嫌って言うか・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

「かーわいいじゃないの葛葉『ちゃん』vv」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・確かに可愛いですけど・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ちゃん、って・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

「苦しゅうない。イルカも妾の事は葛葉ちゃんと呼ぶが良いぞ」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」





解った。

もう何も言うまい。

ソレが一番賢明だ。





少年少女に姿を変えた、カカシさんとさんと葛葉様を。

直視しない様にしながら、おれは遠くへと思いを馳せた。










 





 













子供増えちゃったよ!!
 





<<バック                   ネクスト>>
<<バック>>