目に見えて大きな戦が無くなって。

戦忍として駆り出される事が無くなった為か、木の葉の里の忍達も前より余裕が持てる様になった。

『影』であるや『白』である子供達でないと出来ない、なんてちょー難関な依頼も減ったし。いちおー暗部、な私に来る仕事も減った。





そんな、ある日。

「アカデミーに通わせる?ナルト達を?」

イルカに言われてほけん、とした。





いや、だって、ねぇ?

あの子等にアカデミーでの課程なんて、必要なくね?

だって特別暗部だし。下手な忍より強いし。





そんな私にニッと笑って、ナルトが言葉を繋げてくる。

「あくまでも表向きは、だってばよカカシにーちゃん」

・・・・・・あれ。「ってばよ」て付いてる。「ってばよ」って。





ますます首を傾げてナルトを見たら。

金色の左右に座っていた黒色と桃色が、更に付け足してきた。





「おじいさ・・・・・・火影様が、今年は名家の子の入学が多いのだと仰っていて、ソレで」

「影護衛がイルカおにぃ・・・・・・イルカ先生だけじゃ見切れないかもしれないからって、わたし達もその任に当たる事になったの」





・・・・・・・・・・・・うん。

理由は解った。

解った・・・・・・けど。





「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・えー。」

「・・・・・・・・・・・・すっごいイヤそうですねカカシさん」

「うんイヤ。」





サックリ言ったらイルカは困った顔をして、子供達は不安そうな顔をする。





「・・・・・・・・・・・・だって、ねぇ?兄ぃ?」

「――――――そうです、ね。私も、出来ればその任務は辞退して欲しいです」





隣に座ってたに視線を向けたら、も難しそうな顔をして私に同意。





「・・・・・・・・・・・・にいさん、反対?」

サスケがうりゅ、とおっきな目を潤ませ・・・・・・いやいやいやいやっ、泣いちゃイヤンっっ。

「おいで、サスケ」

「・・・・・・・・・・・・ん。」

ぴっ、と両手を広げたら、素直に大人しくきゅう、と私に抱き付いてくる。

うん、ギザかわゆす。

だからこそ・・・・・・だ・か・ら・こ・そ!!





「そんな任務の所為でサスケ達と一緒にいられる時間が減るなんてイヤだー!!」

「違うでしょうがこのおバカ。」

ずびしっ。

「あうちっっ!?」





〜〜〜〜っくーーーーっっ!!

やったね!?トコトンよーしゃなく空手チョップ脳天にかましたね!?

・・・・・・って、ナニさイルカその冷めた目は!?

コラそこサクラ!!「・・・・・・おにぃちゃんって・・・・・・」って溜息吐かない!!

ナルト!!「今日もイイ天気だなぁ」なんて遠い目しないで!!





「・・・・・・あー・・・・・・こほんっ。とまあ、冗談はコレくらいにしといて。」

「いや本音だったでしょうさっきの」

「うん本音だったな」

「本音だったわよね」

・・・・・・・・・・・・ハイ8割以上本音でした・・・・・・・・・・・・ぢゃなくてね。

続けさしてお願いぷりぃず。

「カカシの本音はさておき。私も、この件に関しては承諾出来ません」

・・・・・・うん。サラッとスルーするトコロが冷たくてステキです





「――――――何故、と。お伺いしても?」





・・・・・・・・・・・・まあイルカさんったら。私の時とは打って変わって、何そんな改まるの相手には。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・私の所為?そーですね。すいません。





「だって、他の子供達に交じって、名家の子供達の護衛をする、任務なんでしょう?」

「はい、そうです」

「タダの護衛の様に、姿を隠して、影で警護するのではなく」

「・・・・・・はい」

「アカデミー生という、護衛対象に最も近い立場に扮して、四六時中、傍にい続けなければならない」

「・・・・・・・・・・・・はい・・・・・・・・・・・・あの、ソレのドコか、不都合でも?」

「ありまくりでしょーよこんちくしょー。」





いちいちイチイチ、確認するみたいなの物言いに首を傾げるイルカや子供達に、私はバッサリ言ってやった。

んでもって、更に眉根を顰めて考えるイルカに向かって、聞く。





「ねえイルカ。この世の中で一番残酷な生き物って、知ってる?」

「残酷、な?」

突然の話題転換?いやいや違いますよ繋がってますよちゃんと。

兄ぃも俺もね。ソレがヤでこの子等アカデミーに通うのイヤっつってんのよ」

「・・・・・・・・・・・・え、と。すみません、ちょっと、意味が」





うん解んないか。

でもさ、ちょーっと考えてみ?したら解るっしょ?





「この世で一番残酷な生き物――――――ソレは子供、ですよ」





私の答えを代弁したに。

驚いた様に目を見開いた、4対の目。





「子供は何も知らない。知らないんです。言葉が凶器になる事も。その凶器に、傷付く心がある事すら」

「無邪気、って言ったら聞こえはいーケドね。でもソレは、何が悪いのか解ってないって事だ」

「知らないからこそ子供は容赦が無い。しかも頑なだ。己の知る事柄のみを真実と信じソレから外れたモノは認めようとしない」

「例えば親がいない、とかさ。サクラは戦災孤児、ってなってるし。サスケなんか、世間一般じゃ悲劇の末裔呼ばわりだ。格好のカモだよね」

「ナルトに至っては、葛葉様の事で里の大人達がナルトを九尾として見て憎んでいる事もあります」

「さぁて。そんな大人の態度をずーっと見てる子供達が、ナルトに何もしないと言える?」





つらつらつら。

腕の中のサスケをきゅうっと抱き締めながら、ん?と首を傾げる。

そんな私に、イルカがすっごい険しい顔をして。





「――――――おれ、火影様に断ってきま・・・・・・・・・・・・」

「ちょっと待ったイルカにーちゃん」





ムツカシイ顔のまま、立ち上がったイルカを止めたのは、ナルトだった。





「・・・・・・・・・・・・ナルト?」

立ち上がったイルカの手を掴んで。ぎゅう、て。握って。

訝しむイルカに、二カッと笑う。





「オレならだいじょーぶ。イマサラ、んな餓鬼共の幼稚な誹謗中傷なんかでへこたれるホド、ヤワじゃねーからさ」

でも、心配してくれてあんがとな、と。

笑う笑顔は何処までも強くて。





「わたしも大丈夫よ、おにぃちゃん」





すとん、と。何時の間にやらの隣に回ってたサクラが言った。

「言いたい人には言わせておけばいいし、ソレをわざわざわたし達が聞いてあげる義理はないわ」

そうでしょう?と。同意を求める笑顔は華の様に満面の。





「俺だって大丈夫だから。カカシにいさん」





きゅ、と。抱き付く腕に力を込めてサスケが言う。

「ナルトもサクラもいる。1人じゃない。だから、知らないヤツから何言われても、大丈夫」

だから、と。はにかむ笑顔は真っ直ぐに。





「だからオレ等、この任務受けるよ」

「普通の子達がどんなのかも、興味あるし」

「イルカにいさんが先生してるところも、見てみたい」





――――――強い、子達だ。

心の底から、そう思う。





「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・解りました」





短い沈黙の後。

一番最初に口を開いたのは、だった。





「けれど、サクラ。もしもつらくなったりしたら、直ぐに言うんですよ?」

「だからだーいじょーぶだってにーちゃん。そん時はやり返すから」

「・・・・・・・・・・・・ナルト、仕返しは程々にな?」

「大丈夫よイルカおにぃちゃん。ちゃんと加減はするわ」





・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・うん。サクラのその受け答えが一番コワイ。





「・・・・・・・・・・・・サスケ」

「なに、カカシにいさん?」

「・・・・・・あの2人のストッパー、頼むね」

「うん。わかった」





こっそりこっそり。

笑う金色と桃色を見ながら言った私の言葉に。

黒色も、こっそりこっそり返事をして。





にっこりと。笑った。










 





 













アカデミー前。

ウチは3人一緒に入学です。
 





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