子供達には罰として、情けない姿で転がっている霧隠の者達の始末を命じた。 嫌そうな気配を醸し出してはいたが、自分達が何時になく羽目を外していた自覚はあったらしく。渋々と敵忍に向かって行った。 対して俺は。所謂、姫抱き、にうろたえるぎんいろを抱え上げたまま。 彼の部下の案内の元、火の国の兵士達が撤退した地点へと向かう事になった。 ――――――・・・・・・・・・・・・道中、俺とぎんいろを囲む、4人の木の葉の暗部の気配が物騒だったが。 ぎんいろの、浅くはあるが量の多い傷を盾に、俺は有無を言わせず実力行使をした訳である。 「さて――――――改めて。お久し振りです、はたけ上忍」 そして、辿り着いた野営地。木の葉の忍専用に、設けられたテントの中で。 そう言って、軽く頭を下げた俺に向けた、彼の目は。ひたり、と此れ以上無い程、据わっていて。 「・・・・・・・・・・・・まずひとつ。暗部の時にソッチの名前は使わないでって言ったよね俺」 「使わなくてもその派手な頭隠して無い時点でアンタの正体モロバレですよって俺も返しましたよね」 間髪置かずに切り返せば、ひくり、と彼の指が戦慄いた。 「・・・・・・・・・・・・・・・・・・ふたつめ。なんでオタクがここにいんの」 「負傷して木の葉に帰還した人達の穴埋めですよ。丁度俺くらいしか空いてなかったんで」 今度は眉がひくつきだした。 「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・で。コレがぢつは一番重要だけど」 「はい」 「――――――んで・・・・・・・・・・・・っっ、何であの子達も一緒に来てんのっっ!!」 ――――――・・・・・・・・・・・・言われる、とは。思ったが。 詰られる事も怒られる事も、解ってはいたが。 立ち上がり、眦を吊り上げ肩を怒らせて大きな怒声を放ったぎんいろに。 彼の傷の手当てをしていた暗部も、テントの入口付近で端の方で此方を窺っていた暗部も、外にあった複数の気配すらが固まる。 恐らく初めてなのだろう。ぎんいろがこんなに怒り、を表に出すのは。 俺だって。彼がココまで、声を荒げる処を見たのは初めてだ。 けれど。驚愕している頭の中で。冷静な部分がちり、と焼ける。 「・・・・・・あの子等が望んだんです。暗部になりたいと」 俺だって最初は反対した。だがあの子等はどうしてもと聞かなかった。 「っっだからって!!何で暗部なんだ!!何で許したんだオタクも3代目も!!」 ああ。俺もそう、言った。忍になりたいならなれば良い。だが無理に、暗部などに成らなくても良い筈だ、と。 なのに、あの子等は。 「――――――アンタの、所為でしょう」 そう言った、俺の声は思ったよりも平坦だった。 ひた、と強く強く。見上げた先には。俺の言葉に目を見開くぎんいろがいる。 「待っているのはもう嫌だ。天青はそう言いました」 んな愁傷にしてんのって性分じゃねぇのに、オレにしては良くもった方だよな、と。 あの金色は不敵に笑った。 「アンタが動けないなら自分達が動く。翡翠もそう言ってました」 おにぃちゃんがわたし達に会いに来れないのって、絶対要領悪いからだわ、と。 あの桃色は苦笑した。 「約束は絶対守ってもらう。柘榴はそう言ってましたよ」 また会おうね、って。忘れられる前に会ってもう一度約束しないと、と。 あの黒色は泣きそうな顔で笑ったのだ。 ぎんいろが想う様にあの子等も。ぎんいろと同じ以上の強さで、ぎんいろの事を想っているのに。 「アンタに会う為。只其れだけの為に。あの子等は暗部になったんです」 ハッキリと口にして言わないと解らないのかこの鈍感は。 「なのにそのアンタが言うんですか。あの子等の選択を否定する様な事を――――――他でも無い、アンタが」 すとん、と。ぎんいろの膝から力が抜けた。 彼の手当てをしていた部下が、慌てて腕を伸ばし支えようとする。 ――――――其処に。一陣の、風。 「ナニにーちゃんいぢめてんだよ凛にーちゃん!?」 ぎんいろの右腕にひしっ!!と天青が張り付けば。 「兄さん苛めたら許さないんだからな、凛兄さん!!」 左腕にべったり柘榴が喰らい付く。 「そうよいくら凛おにぃちゃんでもおにぃちゃん泣かしたら許さないんだから」 その上、翡翠がぎんいろの背中から緩く首に腕を巻き付け。 ・・・・・・・・・・・・ああ、もう。全くコイツ等は。 「――――――・・・・・・・・・・・・後始末は終わらせて来たのかお前等」 思わず面を外して眉間に指を置き。皺を伸ばしながら溜息混じりに訊ねる。 返ってきたのは、ソレはソレは気持ちの良い笑顔。 「おう!!ちゃんとヤツ等の陣営の目と鼻の先に吊るし上げて来たぜ!!」 天青がぎんいろに張り付いたまま、何処か自慢気に・・・・・・吊るし上げ? 「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・聞くが、あのまま、でか?」 「大丈夫。ちゃんと『ご自由にお使い下さい』って立札も付けたから」 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・何がどう大丈夫なんだソレは、柘榴。 「ホントなら、二度とおいたをしない様に去勢でもしたかったんだけど」 待てサクラ!!じゃない翡翠!!お前今サラリと恐ろしい事言わなかったか!? ぴきり、と固まった空気。 ぎんいろに懐く白い3人だけが、御満悦。 俺は視線をうろつかせ、不幸にもこの場に居合わせた4人の暗部は、顔色を悪くし。 俺達を窺っていた、外の気配はそそくさと遠退く中で。 懐かれていたぎんいろの、細い肩がワナワナと、震え出し。 「〜〜〜〜っっ!!アンタ!!一体この子等にどんな教育してきたんだーーーーっっ!!!!」 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・俺に雷が落ちたのは、当然だった。 |
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しりあすだってオコサマ達に掛かればブチ壊し。 | ||
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