――――――・・・・・・・・・・・・止めた方が、いーんだろうか。

そう思って後ろを振り返ったけど、ソコにいたイルカ兄さ・・・・・・凛兄さんは、気が済むまでさせてやれ、と目で答えた。





・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・や、でも、コレは・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・





もう一度、ソレに目を降ろす。

ナル・・・・・・天青の鋼糸で、五体はおろか指や舌まで。雁字搦めにされた霧隠れの忍。

その額には『肉』、と書かれてて。

しかも裸だ。真っ裸だ・・・・・・この上無く見苦しい。





しかも被害はソレだけじゃ、ない。





ある者はМ字開脚で胸に『公衆便所』。

両手両足をひとつ纏めにされたのには尻に『ふぁっくゆー』。

えとせとら、えとせとら。

全てが裸。裸、ら、ラ。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・視覚の暴力だよな、コレ。





しかもこの状況を作り出した本人は、今も新しいターゲットの服を剥いでる。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・何でそんなに嬉々としてるんだろう。





「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・天青」

「ん?―――――お。柘榴に凛にーちゃん。ソッチ終わったのか?」

「うん、・・・・・・・・・・・・お前は何してるんだ?」

「見て解んだろ。敵にハズカスィーかっこさせて精神的苦痛を与えてる」





・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・そうか精神的苦痛か。

「・・・・・・見る方が苦痛を感じると思うけど・・・・・・」

主に俺とか微妙に視線を反らしてる凛兄さんとか視界の端で固まってる人達とか、が。

「そっか?オレぜんっぜん平気」

・・・・・・・・・・・・お前だけだ。そんな事言えるの。





はぁ、と溜息を吐いたら、天青は俺を見上げて。





「だってコイツ等、ぎんいろのにーちゃん殺そうとしたんだぜ?」

「よし、俺も手伝う」

「コラコラこらこら!!待て待て待って待ちなさいキミ達っっ!!」





一緒になって服を剥ごうとしたところで、慌てた声が飛んできた。

――――――ソレは、とても。

とてもとても、懐かしい、声。





視界の端に引っ掛かっていた、木の葉の忍達を、見る。

中心に。翡翠の白い衣が見えた。

そして、その。横。俺達を見て。慌てて腰を浮かせて勢い余って、ぐらついて翡翠に支えられた。

ぎん、いろの。





「――――――にいさん!!」

「えっ!?はっ!?ちょっ――――――ぐえっ!?」

「あっ!!ずるいわ柘榴!!」

「ナニ抜け駆けしてんだ柘榴テメー!!」





思わず瞬身まで使ってぎゅうっっ!!と抱き付いた。

後ろや隣で天青と翡翠が何か言ってるけど、無視だ無視。





「・・・・・・やっと、会えた・・・・・・!!会いたかった・・・・・・!!」





ぐりぐりと。頭を胸に押し付けて背中に回した両腕に力を込める。

体臭の薄いこの人の、だけどあの時と同じ草と水と夜が混ざった様な。そんな匂いが、する。





「何時までにーちゃんに張り付いてんだよバカ!!」

どげし!!と背中に蹴りが入った。

「ちょっと柘榴いい加減離れなさいったら!!」

ばしばしばし!!と平手で何度も殴られる。





・・・・・・・・・・・・・・・・・・絶っっっ、対。離れてなんかやるもんか。





「柘榴!!って・・・・・・きゃー!?おにぃちゃん!?おにぃちゃんってば!?」

「おま!!バカ柘榴!!力入れ過ぎ!!絞まってる!!絞まってるから!!」

「え?――――――うわー!?ちょ、にいさん無事か!?」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ぶ、ぶじじゃないです・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・がくっ」





背中が痛くて意地になったら、かなり力も入ってしまったみたいで。

慌ててにいさんを離したら、にいさんはへなへな、と倒れ――――――

「うひゃ!?今度はナニ!?」

「すみませんねはたけ上忍ウチのバカ弟子共が・・・・・・お前等、はしゃぎ過ぎ」

――――――掛けたところを、後ろから凛兄さんに横抱きにされ。





俺達は、わたわた慌ててるにいさんよりもまわりの人々の痛い視線よりも。

にこやかに笑いながらも目だけは笑ってない凛兄さんに。ただ、縮こまった。










 





 













今までの薄暗いのは一体ドコへ・・・・・・?
 





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