開口一発目が『バカ』だなんて。わたしだってソレはちょっとどーかと思うけど。

だけど、ソレも仕方無いと思うのよ。

だって、彼が怒鳴らなかったらわたしが怒鳴ってたもの。





と、と。あまり物音を立てない様に彼の隣に降りる。

わたしという白が増えて、おにぃちゃんやその部下の人達や。ソレから敵の人達もますます目を丸くした。





「翡翠!!このバカの手当!!傷なんかぜってぇ残すな!!」

「はーい」





そして、わたしの代わりに怒鳴ってくれた彼はわたしにそう言い残し。

ギンッ!!と暗闇を睨み見据えて。





「このバカ傷付けたヤツ前出ろや前にっっ!!」

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・いえそんな事言っても。

「出て来ねぇなら・・・・・・まとめてブッ潰す!!」

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・寧ろ最初からそう言った方が良いと思うわ、わたし。





咬み付いて行きそうな勢いで、彼は暗闇に突進してく。

うろたえてた敵の人達も、ハッと我に返って慌てて応戦。

まあ、彼に掛かればソレも拙いモノだけど。

そんな彼の背を、しょうがないなぁ、て目で見送ってたわたしだけど。

横からまぢまぢ見てくる視線に、意識を切り替えた。





「さて。ソレじゃあ手当しましょうか」

すとん、とおにぃちゃんと同じ様に座り込んで傷口に手を翳す。

ソレを見た部下の人達の気配がザワッとしたけど。

「あ。木の葉の皆さんは巻き込まれない様に下がってて下さいね。天青今けっこーキちゃってるから」

次に続けた言葉には、ほけん、とした。





でも大丈夫。

たったアレだけのあの程度の相手。イルカおにぃちゃんの特訓に比べたら子供の飯事よ。





部下の人も気付いたみたい。

何十人の敵がたった1人。白い衣の影すら追う事も出来てない事。

ソレどころか掻きまわされすらして、わたし達に構う余裕も無い事に。





ちょっと顔を引き攣らせながら、ぎこちなく動いてわたしとおにぃちゃんの傍に寄ってきた部下の人達。

彼等を一度ちろん、と見たおにぃちゃんは、今度こそひたり、とわたしと視線を合わせた。

「・・・・・・・・・・・・君は、木の葉の忍?」

「ええ、一応」

一応、と付けたトコロでおにぃちゃんや部下の人達の気配が硬くなる。

あら、わたし何か言い間違えたかしら。ないわよね。ええ。だって本当に、一応、なんだもの。





「・・・・・・・・・・・・なら・・・・・・・・・・・・『影』、か・・・・・・・・・・・・?」

横から部下の人がそう聞いてくる。

「違うわ。確かにこの格好は彼等を模してるけど」

だけどその質問にあっさり首を横に振ったら、今度は困惑された。





「・・・・・・いちおー、木の葉?」

「ええ」

「・・・・・・・・・・・・でも、暗部じゃーナイ、よね?」

「ええ」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・白い着物、とか。俺聞いた事ないんだケド」

「だってわたし達がコレを着る様になったの、最近だもの」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・アッチの人、俺の事知ってるっぽかったケド」

「解らない?」





ぐるぐる考えてるっぽいおにぃちゃんの顔を、見上げる。

「わたし達の事、解らない?――――――そうよね。わたしと最後に会った時から、4年以上経つものね」

おにぃちゃんの傷を、仙掌術で癒してた手を、一旦引いて。

「天青なんて、6年以上になるものね」

す、と面を支える紐に、指を掛ける。





わたし達は成長して。こんなにこんなに成長して。

この白を着る時は何時だって。変化で年を変えて髪を黒に変えて。

チャクラの質だって、意識して普段と変える様になったわ。

でも、でもね。

顔の造りと、目の色だけは。変えてないの。





「ねぇ。本当に、解らない?――――――ぎんいろの、おにぃちゃん」





面を取って。おにぃちゃんの顔を見詰める。

じっと。じっと見詰める。

初めはほけんとしてたおにぃちゃんは。

ゆっくりゆっくり、その片目だけの青い目を大きく大きく見開いていって。





「――――――・・・・・・・・・・・・ま、さか」

「会いたかったわ、おにぃちゃん」

「まさか――――――!!」

「中々会いに来てくれないから。自分から会いに来たのよ、わたし達」





声を震わせたおにぃちゃんに、わたしは精一杯の笑みを見せた。










 





 













よーやく再会!!
 





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