激化した。

何がってそりゃ仕事が。阿呆みたいに増えやがった。





・・・・・・・・・・・・だっからイヤだったんだ暗部になんの!!





「――――――・・・・・・・・・・・・如何した、朧」

ヤンキー座りでざっくざっく足元の木の枝に苦無で八つ当たりしてる私に、閃が声を掛けてくる。

私はそんな彼をちろんと見上げて。じとー、と見上げて。

「・・・・・・・・・・・・いーいよねぇ閃は帰ったら可愛いカワイイ癒しが待ってんだから」

ぶっすーとしたまま、またざっくざっく八つ当たり。





私はカレコレもー3月以上もっっ。ナルトに会ってないってゆーのにっっ!!

ソレもコレも全部あのタヌキ爺の所為だっっ!!

凛には別の仕事(ナルトの護衛とお世話)に専念してもらうからって凛の仕事コッチに回しやがってっっ!!

むしろ私を世話役にしやがれコンチクショー!!





しかもしかもっっ。が何でも出来るからって寝るヒマもないくらい仕事さすなっっ!!

確かに意識も感覚も独立させてるけど、アレの元は私なんだ!!

維持し続けるのだってけっこー大変なんだからっっ!!

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・って、の仕事が増えたのって私の所為なんだけど。





ざっくざっく、からがーりがーり、に八つ当たりを変えて。

後悔って、後から悔いるからこそ後悔っていうんだね、て今更思う。





そう。今更だ。今更後悔したって、もう遅い。

いっくら仕事量がハンパなかったからって。

だけじゃなく闇主や氷主まで出して、任務手伝って貰って。

ソレを誰かに見られて。





・・・・・・・・・・・・そりゃ『影』が1人だけじゃない、て言われる様になるのも当たり前ですよね!!

しこたま仕事が増えるのも当たり前ですよね!!





お陰でこちとら守護精霊獣6体常時総動員さ!!

闇主に火主に水主や地主、あと風主と氷主に今も頑張って仕事してもらってますさ!!

なんてもーフル活動さ!!人じゃないから寝なくても大丈夫だけどカワイソーなくらい仕事仕事の毎日さ!!

そのお陰で毎日自分のアーグとエーテルがつがつ食われて、家帰るなりばたんきゅーが続いてる私さ!!





「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・は〜ぁ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」





どーしてくれようこの状況。

いっそ『はたけカカシ』消して完全に『』に戻ってやろうか。忍者が死ぬ、なんて日常茶飯事だし。

でも身体がなぁ。あと3・4年育ってくれないとなぁ。今の状態じゃ、まだ人外化に耐えられないからなぁ。





「・・・・・・・・・・・・あー・・・・・・・・・・・・ぎゅーってしたいちゅーってしたいぃ〜・・・・・・・・・・・・」

「・・・・・・・・・・・・朧お前、本当に大丈夫か?」

「・・・・・・・・・・・・あいたいよーかいぐりしたいよーソレがダメならせめてにぱーってえがおだけでもーぉ・・・・・・・・・・・・」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・朧?」

「なーるーとーぉ。あーいーたーいーよーぉ。」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」





・・・・・・・・・・・・あ。なんか閃ちょっと引いてない?

ちょっとちょっとナニその変態さんを見るよーな目は。オタクだってべろんべろんのブラコンでしょーが。





でも言い返す気力も無い。そんな元気ぜんぜん無い。

「は〜ぁ」

だから溜息ひとつ吐いて。がっくり項垂れて青い縦線背負って。





「・・・・・・・・・・・・そんなに」





ふ、と閃が口を開いた。

ちろん、と見上げてみれば。何時もあんまり動かない表情に、ほんの少し労わりを見せて。

「そんなに、会いたいなら。言えば良い――――――3代目だけにでも」

むしろ、如何してあの人にまで。あの子の九尾の真実を知っている事を隠すのか理由が解らない、と。

不可解そうに、首まで傾げ。





私はふ、と小さく笑った。





「――――――ねえ、閃。あの子の周りに、どんだけの数の目が耳があるか、知ってるかい?」

私も全てを把握してはいない。火影の庇護下凛の手元。だけど、あの子が殺されかけたのは皆無じゃ、ない。

「あの子を狐と同一視する事で。どんだけの人間があの子を憎みながらも正気を保っていられてるか、知ってるかい?」

人という生き物は弱い。愛情であれ憎悪であれ、拠り所がないと、独り生きていくには脆い。





「『はたけカカシ』はね、閃。ミナト兄ぃをクシナ姉ぇを赤ちゃんを殺した九尾を。『九尾の入れ物の子供』を、憎んで当たり前なんだよ」





むしろ憎まなきゃいけない。だって私は、彼等に最も近しい人間だから。

そんな私を見て。里の人達は安心してあの子を憎んで心を保つから。





そう言った私に、閃はそうか、とひとつ呟き。

私から逸らした目に潜んでいたのは。

確かに、憐憫だった。










 





 













そんな拠り所拠り所にすなと思いつつ。

だけどそうしないと生きていけない人がいるのも、確かで。
 





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