「やっほーナルトー。イイ子にしてたー?」

「あーう?きゃーvv」

「うんうんvv俺も会いたかったよ〜vv」





凛、て名乗ったあの子の前からドロンして数日。私は、ヒマさえあれば火影邸の地下にやってきていた。

モチロン、彼のいない間を縫って。





だって彼、私を殺そうとしたんだもの。

きっと、この子の暗殺を企んでる阿呆共と私を同一視してたんだろうけど。





里の者達は、何故九尾の狐が里を襲ったのか、知らない。

狐を封印されたこの子が誰の子なのか、知らない。

うちはや日向、といった名家は見当が付いてるみたいだけど。

ソレ以外の人間共は、知ろうとも、しない。

だからこの子を、九尾と混同して。憎しみを募らせて殺そうとする。





彼、凛――――――うみのイルカは、3代目の弟子だった。

ミナト兄ぃとも、交流があったらしい。主に彼の両親と。

世にも珍しい『雨眷馭』の末裔なんだ、とも。





『雨眷馭』はかつて森と共に生きていた一族だ。獣にも詳しい。

だったら凛は、九尾が里を襲った理由も、知っている。

3代目が、里の恥だと決して口に割らない、喋れないその、理由も。しっかり、知っている。





そんな彼が、『九尾を封じられた赤子』に近付く『はたけカカシ』を見たら。どう、思うだろう?





『はたけカカシ』は、九尾を封じて死んだミナト兄ぃの最後の弟子。本当の兄弟の様に仲の良かった、人物。

クシナ姉ぇもその子供も、九尾に襲われて死んだ事になってる。

そんな『カカシ』が、ミナト兄ぃをクシナ姉ぇを赤ちゃんを死なせた九尾を憎むのは。世間一般的に当たり前。

彼だって、きっとそう思う――――――3代目がそう、思ってる様に。





「てゆーか、3代目もなぁんで俺が気付かないって思うかなぁ?」

クシナ姉ぇは死んだ。九尾に襲われて死んだ、と。あの人は言った。

お腹の子供も、一緒に死んだ、と。あの人は言ったんだ。

「ミナト兄ぃとこぉんなにそっくりな色なのにねー」

そしてこの赤ちゃんは。あの時ミナト兄ぃが何処からともなく連れてきた、親の解らない子供だって。

・・・・・・・・・・・・いくら里の為だからって。生まれたての他人の子にそんな事、ミナト兄ぃがするワケないじゃないか。





「うー?」

「んん?あ、ごめーんねぇ。今日は何して遊ぼっかー?」

「あーいvv」

「あっ、こらダメッ。額宛取っちゃダメッッ。コレはおーれーのーっっ」

「やーっ」

「ヤじゃないあいたたたたっっ。こーらー、ダメだってばー・・・・・・あっ、そうそう今日はコレ!!コレで遊ぼう!!」

「ぶー?」

「ちゃらららっちゃら〜っっ。で〜ん〜で〜ん〜だ〜い〜こ〜。」





某ネコ型ロボットが未来道具をポケットから出す時の擬音語を真似て、ぱたぱた赤ちゃんの前で振ってみた。

くるくる半転するたびに、でんでんでん、と鳴るソレに、赤ちゃんは興味を持ってくれて。





「コレねーミナト兄ぃがねーナルトにってねー買ってきたんだよ〜ぉ」

「へぇ、4代目が。でも赤ちゃんにはちょっと早過ぎません?」

「あははー俺もそー言ったんだけどね〜ぇ。そんな事ないよ赤ちゃんは直ぐ大きくなるんだよっっ!!って力説してね〜ぇ」

「まあ確かに子供の成長は早いですけどね」

「ソレにしたって気ぃ早過ぎでしょー・・・・・・・・・・・・って・・・・・・・・・・・・え・・・・・・・・・・・・?」





――――――あれ?何で私の言葉に返事が返ってくるワケ?

ぱたり。降ってた太鼓を止めながら、恐る恐る、ぎぎぎぃ、と。後を振り返る。





「6日ぶりですね。はたけ上忍」





ニッコリ笑う暗部姿の彼に。

ピキンッと固まった。





「アレから色々モノが増えてるなぁって思ってたんですけど。3代目じゃなく貴方だったんですね」

「・・・・・・・・・・・・あ、あはは〜・・・・・・・・・・・・」

「量から見てかなり頻繁に此処に来てたみたいですけど。その割にはおれと会うの今日でまだ2回目ですよね」

「・・・・・・・・・・・・え、えっとー・・・・・・・・・・・・」

「3代目が、はたけ上忍は『九尾を封じた子供』に害を成す人間トップ1に位置するから充分に警戒する様に、て仰ってたんですけど」

「あ。ソレはナイ。はっきりくっきりさっぱり絶対にナイ。」

「でしょうね・・・・・・この子が誰の子かもしっかりちゃっかり知ってらっしゃるみたいですし。でもだったら何でこんなコソコソしてるんです?」

「・・・・・・・・・・・・そ、それは〜・・・・・・・・・・・・」

「もしかして、おれの事避けてました?」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ぢゃっっ」





しゅたっ、と手を上げてぱぱっ、と赤ちゃんをベビーベッドに戻して速攻ダッシュ!!

・・・・・・・・・・・・しようと、したんだけど。





「現役暗部からそんな簡単に逃げられると思ってるんですかアンタ」





がっしりしっかり後ろから抱き込まれて。

私は。るーるるー、と。黄昏を背負うしかなかった。










 





 













おねにーさま大ボケ大炸裂!!
 





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