ぷに、と。やーらかいほっぺを軽く突っつく。

生まれて間もないその子は、きょとん、て顔したあとにぱー、と笑って。

私の顔は、へにゃあ、となった。





ああ、もう。

「・・・・・・・・・・・・カワイイぢゃないかこんちくせう。」

思わず、くぅうっっ、なんて拳を握っちゃったり。





あー、とかゆって、ちっちゃな手を伸ばしてきた赤ちゃんに、ちょい、と人差し指を出してみたら。

ぎゅう、なんて掴まれた。

しかも、ちゅう、なんておしゃぶり代わりに吸い付かれた。





〜〜〜〜っっ!!

「かわいいぢゃないか、こんしくしょー!!」

思わず、ガバチョ★ なんて抱き上げちゃったり。





そのまま、きゅー、て抱き締めて頬擦り頬擦り。

ああんやーらかいあったかいカワユイよぅ〜。

まさかこの子が、まさかまさかの。





「いっつもクシナ姉ぇに怒られてたヘタレなミナト兄ぃの子供だなんて思えないくらいカワユイよぅ〜」

「あうー?」

「うんうん。おとーさんに似たのが髪と目の色だけで良かったねー」





たかいたかーい、てしながら、赤ちゃんをじっくり見る。

きゃらきゃら笑う赤ちゃんは、ぱたぱたちっちゃい腕を振って喜んで。





――――――ひたり、と。

首に突き付けられた刃物に、私は崩れまくってた顔を平常に戻した。





「その子を、放せ」





・・・・・・・・・・・・うんイキナリ背後から苦無突き付けて開口一発目がソレって何。

「ソレって今すぐ?いーの?床に落ちて怪我しちゃうよこの子?」

だから意地わるーく、言い返してやったら。





途端に押し殺してた殺気を一気に放つ後ろの気配。

ぐ、と力を入れられる苦無。





「その子を、寝台に戻せ」





ぷつり、と薄皮一枚切れた音がした。

気配は、言う事聞かなきゃ殺してやる、て言外に言ってて。

・・・・・・・・・・・・本気ですか本気ですねコノヤロウ。

私はでっかい溜息吐いて、赤ちゃんをベビーベッドに戻した。





「あう?あー?」

もう終わりなの?もう遊ばないの?





そんな目で私を見上げて腕を伸ばす赤ちゃんのほっぺを、またちょんとつついて。

殺気立つ、背中の後ろを振り返れば。

――――――思わず、固まった。





ソコにいたのは、暗部服に身を包んだ、今の私とそう変わらない年の少年だった。

いや、ソレはイイ。3代目から赤ちゃんの護衛兼世話役として暗部を1人着けてるって聞いたし。

黒髪に黒い目。オーソドックスでありがちな、いやむしろ忍者ならコッチの方が目立たなくて良い色彩。

私だって、裏の仕事の時は変化で髪と目を黒くしてる・・・・・・って、今はそんなのどーでも良くって。





私の目を引いたのは、その少年の、顔。

鼻の上に真一文字の、傷。





思わず、初対面でイキナリ刃物突き付けてくんじゃねーよゴルァ、とかゆー文句は吹っ飛んだ。

相手も、私の覆面と額宛で隠れてる顔を見て、苦無を構えたままの姿勢で止まった。





「――――――・・・・・・・・・・・・はたけ、カカシ上忍・・・・・・・・・・・・」

「あ。俺の事知ってるのね」





またもやビックリ。

いや確かに親の七光とか4代目の最後の弟子とかオビトから貰った車輪眼とか。

ついでにコピー忍者とかって、けっこー知名度高いですよ私?

だけどこの人――――――この子が、知ってるなんて思わなかった。

しかも何故固まるんだ私見て。





「オタク、3代目が言ってたこの子の世話役さん?」

「は、はいっ。凛、と言います」

・・・・・・・・・・・・うん。ナゼ緊張。ナゼ敬語。





私の呼び掛けに、慌てて姿勢を正して直立不動になった彼に。

私は、はてな?と首を傾げつつ、今のウチに、と逃げ出した。










 





 













赤ちゃんとご対面。

のちのあの人とも、ご対面。
 





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