半年振りに、長期任務から戻ってきた私は。





「4代目が、死んだ」





3代目から聞いたその言葉に。

ただただ。間抜けな顔を曝すしか、なかった。





「――――――え?」





やっと出てきたのも、そんな気の抜けたひと文字で。

目の前の3代目は、まるでカワイソウな子を見る様な目で、私を見る。





「・・・・・・・・・・・・ミナトの奴がの――――――死んだのじゃ」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・え?」





繰り返された言葉に、頭がついていかない。





「え?は?死んだ?誰が?――――――あの、人が?」

「・・・・・・・・・・・・そうじゃ」





うん。ソコでそんな沈痛な面持ちされてもね。





「まったまたぁ。冗談にしちゃタチが悪いですって3代目ってかむしろあのお師さんが死ぬってあり得無さ過ぎて冗談にもなりゃし」

「冗談でこんな事が言えるかバカもん」





カラカラ笑いながらぱたぱた手を振った私の言葉は、3代目にバッサリ一刀両断された。

そしてその視線は、耄碌じじぃにはありえんくらい、力強くて。





「・・・・・・・・・・・・本気と書いて、まぢと読む?」

「本気も何も、事実じゃ」





またしてもバッサリ。

え。でも。だって――――――あの人、が?





いっつも私に「スキありぃ!!」なんてガバッと抱き付いて構い倒しては「ヤり過ぎよミナトさん♪」なんてクシナさんにドツキ倒されてた人が?

火影の仕事溜めまくって逃げまくって、アカデミーなんかで子供と一緒になって遊んでたあの人が?

もーすぐ子供が生まれるからって、しまりのない笑顔で服やらオモチャやらどっちゃり買い込んでたあの人が?

任務に就く前、私に「帰って来たらカカシくんもお兄ちゃんだね!!」なんて笑った、あの人が?





「――――――・・・・・・・・・・・・何が、あったんですか」





私が任務で里を開ける時、里のドコにも異変は無かったハズだ。森だって、穏やかそのものだった。

なのに。忍の住まう隠れ里の、首領を務める当代一の手練が、死ぬ、なんて。

あり得ない。何かデカイ事でも起こらない限り。絶対にあり得ない。





「九尾の狐が、現れたのじゃよ」





だけど3代目のその言葉に。

私の疑問は落ち着いた。落ち着いて、しまった。





「二月程前じゃ。九尾の狐が里を襲った。里人が、忍が、何十と死んだ」





九尾。狐。

私はソレを、知っている。





「倒せなんだ。じゃから封印した――――――1人の赤子を人柱に。ミナトの命を、賭して」





目の前が、真っ暗になった気が、した。

嘗て私が『俺』だった時、愛しい子供に背負わされた暗い闇。

今生では、と思っていた。愛しい子供に、人並みの幸せを、と。

だから、気を付けて気を配って。





なのに、全て。

私がいない間に起こって、そして終わるなんて。





「――――――・・・・・・・・・・・・クシナ姉さんと、赤ちゃんは」





私の事を弟だと言って、お師さんと一緒に可愛がってくれたお師さんの奥さん。

そして、もう直ぐ生まれてくるハズだった、私の血の繋がらない兄弟は。





「クシナも、死んだ――――――赤ん坊は・・・・・・・・・・・・」





深く深く沈んだ3代目の言葉に。

私は、また守れなかったんだと、思った。






























しょっぱなからくらーい・・・

どうしようこんなんでぎゃぐになるのか?






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