必要なだけの第7音素の結晶が、貯まるまで。

残り2〜3日しかないその時間は、ソレでもお坊ちゃんに許された、最後の穏やかな時間なんだろう。

ソレは解る・・・・・・解る、んだども。





「・・・・・・ちっく、しょうっ!!もう一本だ!!」

「・・・・・・・・・・・・あー、はいはい。」





誰さお坊ちゃんの好きな様に過ごさせてあげようって言ったの。

おかげであたし、バチカル戻ってからずっと剣のお稽古に付き合うハメになったさ。

そして今も継続中さっ。始めてからもー2時間は軽く経ってるのにっっ。





「ちょっとルーク。次は僕の番なんだけど?」

「ちゃんと順番守って下さいよーう。シンクの次はアニスちゃんなんですからねーぇ」

「あ、あの・・・・・・その後私も、一度手合わせをお願いして宜しいですか?」





しかもしかもっっ。何でお坊ちゃんとのお稽古にシンクとアニスが便乗!?

ちょっとアスランさん!!こっそりナニ言ってんの!?





あたしは助けを求めて視線を巡らせる。

・・・・・・うん何時の間に中庭こんなギャラリー増えてんだろう。

最初はイオンとアイビィとアリエッタとナタリア姫とティアとガイだけだったのに。





廊下に連なるのはメイドさんに使用人さん。

ありゃ、ラムダスさんの姿もあるよ。

中庭の端で遠目にコッチ見てるのは白光騎士団の皆々様。

中に赤銅色の鎧が混じってるけど・・・・・・あ、お坊ちゃんの私兵か。





・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ん?んんん???





「ナタリア姫。が何処に行ったかご存じですか?」

「え?――――――あら、そう言えば。いらっしゃらないですわね」

「一刻程前までは、確かにいたんですけど・・・・・・」





ふ、と出た疑問に、最初からギャラリーしてた人達は揃って首を傾げる。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・ほほう。逃げたのかアイツ。





「逃げるって、何からだよ一体」

「うをっとう!?!?」





イキナリ後ろからにゅって出てきて声掛けんな!!心臓ビックリしたじゃないかもう!!





「いやおどかす為に後ろ取ったんだし」

「何だソレ・・・・・・つかお前今までドコ行ってたの」

「ん〜ちょっと、ね・・・・・・ほれ、オドロキ第2段」

「へ?・・・・・・んぐっ!?」





くるっと振り返った拍子に口に何か突っ込まれた。

何だ何だ一体!?・・・・・・んぐんぐ、あ。あまい。

あれ。しかも、この味って・・・・・・





「・・・・・・・・・・・・みたらし?」

「漉し餡に醤油、3色もあるぞ」





すい、とが指を差したのは自分の隣。

ソコにはけっこーおっきなワゴンがあって。

その上に、トコロ狭しと置かれてる――――――





「・・・・・・・・・・・・・・・・・・おお。」

「他にも、苺大福芋のきんつば蜜柑の寒天」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・おおお。」

「フルーツタルト、プリン、チーズケーキにコロネット」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・おおおお。」

「ミルフィーユとザッハトルテはココのお抱えシェフさん作な」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・おおおおお!!」





サスガだよ!!ブラボーだよ!!

久しぶりに見た和菓子!!

7年ぶりのの手作りスイーツ!!





「きゃー!!!!愛してる!!」

感極まってぎゅう!!てに抱き付いた。

「はいはい。俺も愛してるよ」

そしたら、もあたしを抱き返してくれて。





「てなワケで今からティータイムだ。お前等さっさと手ぇ洗って来い?」





にぃっこり、とがお坊ちゃん達に笑い掛ける。

とっても綺麗なその笑顔は、その実。有無を言わせぬってゆーか・・・・・・目がゼンゼン笑ってない。

その迫力に押されて、お坊ちゃんやアニスはおろか。

シンクまでもが、ちょっと顔を青くして。コクコク頷いて屋敷の中へと走って行った。






























おねにーさまは甘味が好き。

中でも守護者の手作りが一番大好き。






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