「・・・・・・・・・・・・ゆ、ゆうきゅう・・・・・・・・・・・・?」

「・・・・・・・・・・・・ゆうきゅう、って・・・・・・・・・・・・ゆうきゅう、っつーと・・・・・・・・・・・・あの、有休・・・・・・・・・・・・?」





なんかブツブツ導師とお坊ちゃんが言ってますが。

ええその有休です。悠久じゃないかんね。





「お願いしますね導師イオン――――――速攻で、終わらせますから」





にっこり笑って、ゴーインにお願いする。

「驕るな、若造!!」

あたしの言葉にかっちんキたんだろう、ヒゲが突進してきて。





「『三千世界の復元』」

あたしはすい、と『舞扇』の先をヒゲに向けた。

あたしが変な術を使うと思ったんだろう。その先から逃れる様に、ヒゲは方向を転換し。

――――――けど甘い。術は一方向にしか掛けられない、ワケじゃないんだよ?





「縛道の九十九、『禁』」

「っっ!?何ぃ!?」

黒い布が、ヒゲの両腕に巻き付いた。





「第2番、初曲『止繃』」

「うぐっ!?」

更に布は、身体中に巻き付く。





「弐曲『百連閂』」

「がっ!?」

更には無数の杭が、布が取れない様に打ち付けられて。





芋虫みたく転がったヒゲに、あたしはにんまり、とした。

「また逃げられたら適わないので、声も封じさせて頂きますよ――――――『サイレス』」

唱えた瞬間、ヒゲがぱくぱくと開ける口から、音が消える。





「・・・・・・・・・・・・は、早ぇ・・・・・・・・・・・・」

「・・・・・・・・・・・・ほ、本当に速攻・・・・・・・・・・・・」





呟きに、くるりと後ろを振り向けば。

剣を構えたまま。ほけんと口を開けてるお坊ちゃんと少将さん。





「・・・・・・・・・・・・てーかコレ・・・・・・・・・・・・戦闘・・・・・・・・・・・・?」

「捕らえて済むならその方が良いでしょう」





なんかすっこーんと力の抜けたお坊ちゃんに、あっさり言ってのけた。

「と、いうか。何故馬鹿正直に戦わねばならないんです」

「・・・・・・・・・・・・み、ミもフタも無いですね・・・・・・・・・・・・」

脱力した死神さんが、でっかい溜息を吐く。

ふっ。不意打ち騙し打ちはけっこー得意さ!!





「さて。取り敢えずヒゲは芋虫・・・・・・もとい邪魔者は沈黙したという事で」

「・・・・・・・・・・・・アッシュ、いま、ヒゲ、って・・・・・・いもむし、って言った、です・・・・・・・・・・・・」

「・・・・・・・・・・・・やばい俺今一瞬ヴァンデスデルカが可哀想だと思っちまった」

「・・・・・・・・・・・・に、兄さん・・・・・・・・・・・・」





あはははちょっと素が出ちゃったでも気にしないで下さい皆さま。





足を掴んでずーるずーる。芋虫状になったヒゲを端へ引き摺りながら。

「さて。ルーク様、リングの操作をお願いします」

「・・・・・・あ、ああ。解った」

にっこり笑って声掛けたら、遠巻きに見てた皆さんビクゥッ!!と反応した。





・・・・・・ちょっと導師イオン今ボソッと「黒アッシュ降臨ですね」って何が黒。何が降臨。

しかも何でソコでお坊ちゃん「・・・・・・アッシュって腹黒属性だったんだな・・・・・・」てあたしのドコが腹黒。

いやいや怖くないからアリエッタ。噛み付いたりしないから。





ツリーを制御するパッセージリングの前。

ユリア式封咒はどーやらヒゲが一足先に解いてた模様。

あたしを気にしながら、お坊ちゃんはソレでもちゃんと両手を突き出し超振動で書き換えをする。





「・・・・・・・・・・・・終わったぜ」





大きく、肩でひとつ息をして。

にっ、と勝ち気に笑ってみせたお坊ちゃんに、ああやっとコレで外郭大地の問題はクリアか、とあたしもホッとした。

――――――瞬間。





「――――――っっ!?!?」

「・・・・・・・・・・・・いっ、つ・・・・・・・・・・・・っっ!?!?」





キィィイ――――――と甲高い耳鳴りと、脳みそを揺さぶる衝撃に。

あたしとお坊ちゃんは、揃ってその場に蹲った。






























ホントにさっくりラスボス終わり。

おねにーさまは、戦わずして勝つ、という戦法がホントに得意。

だって基本的に戦うのめんどーだし厄介だし。キライだから。

卑怯だろうが何だろうが、傷付かず傷付けず、そして楽が出来るならソレでイイと思ってる。






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