[PR] この広告は3ヶ月以上更新がないため表示されています。
ホームページを更新後24時間以内に表示されなくなります。







 
 
 
 
 
 
 
 
 
 







































































































































































































 
 
 
 
 
 
 
 
 
 










「兄が一体何をしようとしているのか、本当に理解しているのですか教官!?」

「ああ知っているとも――――――預言に支配された世界から、人の未来を勝ち取る為だ!!」

ティアの悲鳴じみた言葉に、リグレットもまた、怒声を返す。

放たれた弾丸は、ガイのあり得ん動体視力に、弾き落とされた。





「ラルゴ!!貴方の娘は名を変え其れでも今幸せに生きている!!生きているんです!!」

「黙れ!!真に奪われた事も無い小童が!!」

イオンが説得をしようとして。だけどラルゴは、拒絶を返す。

一閃された鎌は、あたしの剣によって止められた。





――――――・・・・・・・・・・・・ほんとに、もう。

あたしは小さく嘆息する。

嘗て六神将と呼ばれていた、その内の半分は。ちゃんと、立ち直ったのに。





アリエッタは、そりゃイオンや母親が生きてる事が大きいけど。ソレでもちゃんと、憎しみに我を忘れる事無く。生きようとしてる。

シンクも、空っぽだとかほざいてた原作とは違って。兄弟が仲間がいる世界を見限る事無く、生きようとしてる。

1番、過去に囚われていたディストもそうだ。子供達と接する事で変わる事が出来た。昔に縋らず、先を見る様になった。





なのに――――――だけど。

この、人達は。





がぎんがぎん、とラルゴの鎌と討ち合い続ける。

パワーで負けるあたしの、通常よりも細めに作られた剣が、びきり、と厭な音を立てる。

「貰ったぁ!!」

あたしの剣がもう保たない事に気付いたラルゴが一際大きく振り被り――――――ヤバいホントに折れる!?





「潰れちゃえ!!ネガティブゲイトォ!!」

背後から飛んできた声に、咄嗟にバックステップを踏んだ。

「ぐぉ・・・・・・!?」

まともに黒い球体にぶつかってったラルゴはけっこーなダメージを喰らってる。

てゆーかアリエッタ!?イキナリびっくりした!!でもありがと!!





「ラルゴ!!」

ラルゴのピンチに気付いたリグレットが2丁拳銃を乱射して。

あたしは、やっこさんの視界を遮る為に、ばさぁ!!と法衣を脱いで投げ付けた!!

なのに、その大きく宙に広がった布は、復活したラルゴの鎌に引き摺り落とされる。

――――――でも。隙は一瞬でも、作るモンじゃない。





かしゃん――――――

リグレットの2丁拳銃が、持主の手から落ちて床を滑る。

膝を着いて傷付いた手を押さえる彼女の首筋に、突き付けたのは『舞扇』。

「ぬおぉぉおお!!」

突っ込んでくるラルゴに、もう片方の『舞扇』を、向けて。





「――――――『三千世界の復元』――――――『氷天百華葬』」





はらり。何処からとも無く雪が、降った。

はらり、はら。ラルゴの持つ鎌の先に。手に。頬に服に足元に。

降って触れた瞬間。ソコから大輪の、氷の華が咲く。





「何だ此れは・・・・・・!?」

「あまり動かないで下さい。でないと――――――氷の華が棺に取って替わりますよ?」





床と足とを氷の華で縫い付けられて、既に身体の半分以上を華で覆われてるラルゴに、忠告してやる。

・・・・・・ホントならこの某死神10番隊隊長さんの技、百華の名の通り100の華を咲かせるらしいけど。

ラルゴを氷漬けにする気はサラサラ無いので、威力半分以下に抑えました。





「・・・・・・総長の、言っていた通りだな・・・・・・全く、見た事も無い術を使う」

「手札は多いに越した事はありませんから」





ぎり、と。刺殺さんばかりのイキオイであたしを睨み付けるリグレットに、あたしはさらりとのたまう。

アッシュすげぇー!!て後ろでなんかお坊ちゃんの声も聞こえるけど、今はスルーだ。

まずは、目先の問題片付けるのが、先。





「さてリグレットにラルゴ」

あたしはにぃっこり、と口元に笑みを穿く。





「過去に囚われ憎しみを糧に、支配からの脱却未来の為と今を生きるのは貴方方の自由ですが。敢えて言わせて頂きましょう?」

リグレットから『舞扇』を引き、代わりに彼女の落した拳銃を刺して砕いて。

「今の預言の世界の在り方は、人の依存と怠惰が生み出したものです――――――其れを支配とは、勘違いにも程がある」

ラルゴの上に降っていた雪を、はさり、と『舞扇』で作り上げた風でリグレットの上にも、降らせて。

「奪われたからと奪い返して、ですが取り戻したものが嘗てと同じとは限らない――――――失われたものは、二度と戻りはしないんですよ」





不変など無い。人も、心も、世界すら。

一秒経つ。ソレだけでもう違うんだから。





「世界は、人は変わる。良くも悪くも。時と場合によっては否応無く。其れは経つ刻の理と等しく。覆されざる事象です」

あたしだって変わってる。世界をひとつ飛ぶたびに。変えたくないものを抱えながら、ソレでも。

「ソレでも未だ。変える為、と言いつつ変わろうとしない貴方方の憎悪と決意を振り翳すつもりなら」





「――――――今度は本当に息の根を止めて差し上げましょう」






























六神将の皆さんは、全員過去に囚われ過ぎだと思う。

預言によって故郷を失ったてんてー然り。弟を失った魔弾然り。妻と娘を失った黒獅子然り。先生を亡くし友と決別した死神然り。

まあ、ソレだけ大切だった、のですが。

・・・・・・遣る瀬無いなぁ。






<<バック52                   ネクスト54>>
<<バック>>