あたしはソレ以上、お坊ちゃん達の話は聞かぬ存ぜぬを貫き通した。

だって知りたかった事はけっこー解ったし。言いたい事もイロイロ言ったし。

せっかくストレスいくつか解消したんだ。新しいストレスなんかしょいこんでやる義理はない。





とりあえず、今日1日で色々あって疲れもあるだろうからって事で、ユリアシティで一泊と相成った。

この日はホントに久しぶりに快眠でした・・・・・・お坊ちゃん達は、なんかソレゾレ寝れない夜を過ごしたみたいですが。





んで、一夜明けて・・・・・・とゆーかお昼過ぎ。

あたしはあくびを噛み殺しながら、皆の後を着いてアラミス鍾乳洞を歩いてます。





あの豚樽、インゴベルト王に秘預言こっそり吹き込んでるらしいからね。この世界でも。

アクゼリュスが落ちた事、親善大使やその補佐が行方不明になった事。

イロイロこねくり回していちゃもん着けて、十中八九、マクルトに喧嘩売るに決まってる。





お坊ちゃん達もそう考えたそうな。

いちおー、公爵サマに王サマのストッパーお願いしてるみたいだけど。どっちかってゆったら、王サマも預言遵守派だからね。

そのストッパーがドコまで保つか解らない。だから外郭大地に、一行で戻ろうとしてるトコロ。





・・・・・・だったら何で昼過ぎ出発。時間との戦いなんじゃないの。何でもっと早く行動しなかったの、とは思ったけど。

とゆーかぶっちゃけ聞いたけど。





「僕だってその方が良いとは思ったけどね。アンタが自分から起きてくるまで待ってたんだよ」

え。なにあたし待ち?なぜ?

叩き起こせばいーじゃんてゆーかオタクなら確実に叩き起こすでしょシンク。





「あんな大掛りな術を行使して、しかも倒れましたでしょう?時間が無いのは確かですが・・・・・・貴方に、休養を取って頂きたかったのですわ」

お気持ちは嬉しいですがオヒメサマ。

だったらあたしなんてほっぽってさっさと行っても良かったのに。





「ソレはできません。ユリアシティの中には、まだ。貴方の詠んだ秘預言を信じていない人だっているんですから」

・・・・・・あー。たしかにティアの言う通り。そりゃいるだろーね。

今まで良かれと思ってしてきた事全否定する様な消滅預言だったからねぇ。





うんでもあたしとしてはほっぽってサクッと行って欲しかった。

時間もったいないし。剣もまともに振れない様な民間人が相手なんだし・・・・・・





「あんたを起こさなかったのも連れてくって決めたのも俺だ・・・・・・文句、あんのか?」





・・・・・・・・・・・・イエイエメッソウモゴザイマセン。

だからその、不遜なのになんか捨てられた子犬みたいな顔、ヤメテクダサイお坊ちゃん。





てゆーかお坊ちゃん、なんか昨日からこんな感じなんだよね。

あたしの一挙一動にすんごいビクついてるってゆーか。そのくせ、姿が見えないと不安丸出しってゆーか。

あたし昨日あんだけドキッパリ言い切ったのに。何をいまだに引き摺ってんだろう。





なんて、ちらちらちらちら、あたしを窺い見ては何か言いたそうなのにサクサク前進するお坊ちゃんの背中を何とはなしに見てたら。





「――――――あの、アッシュ。聞きたい事があるのですが、宜しいですか?」

はいはい何でしょう導師サマ。

「アクゼリュスが崩壊しかけた時に、貴方が歌った歌は・・・・・・アレは、譜歌なのですか?」

・・・・・・うん。解ってた。絶対聞かれるだろうなって解ってた。





「・・・・・・説明を、するのは難しいですね・・・・・・譜歌をベースに、譜術を組み合わせてみたんですが」

「譜歌に、譜術を?」

「はい。創世暦や其れ以前の古文書を手当たり次第に漁って。新しく譜歌を組み立てて。その上で、譜術を」

「ソレは、アッシュが新たに考案した、という事ですか?」

「そう、なりますね・・・・・・最近地震が多かったでしょう?ですから、大地の活性化を促す、大地を維持させる術を作れないかと思いまして」





ハイ嘘八百・・・・・・・・・・・・なのに何だかキラキラしてる導師の目に罪悪感が。あう。

「あの、僕にも使えますか?」

しかも突拍子も無くすんごい事言ったこの子!!





「無理です――――――例え可能でも、お勧め致しません」

「何故、ですか?」

「本来ならアレは、100人単位のサポートがある上で、1人で無く2人で紡ぐ謡です――――――そういうふうに、作った術です」

「そう・・・・・・なんですか?」

「はい。しかも下手を打てば、自分の音素だけでなく生命力すら削る事になる、ある意味禁術に近いものです」

「・・・・・・禁、術・・・・・・」

「我ながら、とんでもないモノを編み出してしまったと思っていますよ」





溜息混じりに言ったら、皆さんザッ!!と顔を青くしました・・・・・・いや、脅したつもりはないのですが。

「・・・・・・・・・・・・じゃあ、もしかしたら・・・・・・・・・・・・」

「・・・・・・・・・・・・アッシュ、死ぬかもしれなかった、ですか・・・・・・・・・・・・?」

導師の左右にぴったりくっついてた女の子組が青い顔のまま恐る恐るあたしを見上げる。

「・・・・・・まあ、今回は自分でも無茶をしたと思いますが」

そんな2人と導師に、あたしは小さく苦笑を洩らして。





「自分如きの命でルーク様やイオン様、アクゼリュスに残された人達を助ける事ができたんです。安いものでしょう」





清々しく言い切ったら、今度は皆さん違う意味で血相を変えました・・・・・・なじぇ?






























長年いろんなコトやって、口がうまくなってるおねにーさま。

嘘なんて吐きなれてます。

・・・・・・信じられるかどーかは別として。






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