何事かと。救助隊の兵士さん達すら足を止める中。

「・・・・・・え・・・・・・ココ・・・・・・?・・・・・・っ、アッ、シュ!?」

桃色の少女は、あたしの腕の中で閉じていた目を開いた。





・・・・・・・・・・・・あたしの存在を認識した途端、ずざざざっ!!と飛びずさったのにはちと凹みましたが。





「アリエッタ!!・・・・・・ぅえぇええっっ、良かったよぉ〜〜〜〜!!」

「アリエッタ!!大丈夫!?もうドコも痛くない!?」





しかもさっき押しやったハズのアニスやシンクにまで突き飛ばされた・・・・・・イイんだけどね。くすん。





はふ、と溜息吐いて、あたしは立ち上がる。

ぱんぱん、とお尻に付いた砂を払って・・・・・・

「――――――アッシュ」

後ろから掛けられた声に、ひく、てなった。

・・・・・・・・・・・・あーれー?そーいや、あたし、さっき、ちょっと・・・・・・・・・・・・





す、素に、戻っちゃってたり、しませんでした、っけ?





そろーり、と振り向いてみれば・・・・・・ソコにいたのは。

何ともまあ。すんばらすぃー笑顔を浮かべたお坊ちゃま。





「イロイロ聞きてー事があんだけど。アンタの腹心込みで」

・・・・・・・・・・・・・・・・・・に、逃げたい。今、とてつもなく逃げたい。

「・・・・・・けどまあ、今はアッチの方が先決だな・・・・・・後でぜってー聞くから、逃げんなよ?」

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ぐっ。読まれてーら。





イイ笑顔のまま凄んだお坊ちゃんは、あたしの横を通り過ぎてチミッ子達に近付く。

「何があったんだよ、アリエッタ」

泣いてかじり付いて離れないアニスに困った顔をしてたアリエッタは、お坊ちゃんの声に、ハッと顔を強張らせた。





「・・・・・・ルー、ク、ごめんな、さいっ、です・・・・・・!!」

血を流して貧血になった青い顔を、更に青褪めさせて。

「・・・・・・リ、リグレット、と、ラルッ、ゴが・・・・・・だっ、脱獄、した、です・・・・・・!!」

強張ってた顔が、ふにゃ、と崩れて。

「・・・・・・アリ、アリエッタ、おねぇちゃんなのにっ、なのにっ・・・・・・まもれなかった・・・・・・!!」

ぼろぼろと、大きな目から大粒の涙を零し出して。

「・・・・・・ア、アイビィ、アイビィがっ、連れて、かれっ、連れてかれちゃったです・・・・・・!!」





――――――っ、やられた!!





「誰か!!ヴァン・グランツ総長の行方を知る者はいないか!!」

あたしはぐるりと周囲を見回して、でっかく声を張り上げた。

「おい、ソコでどうしてヴァンの・・・・・・あ」

訝しげにあたしを見たお坊ちゃんが、ハッ、と口を噤む。





ナニこの子っ、シンクとかアリエッタとかディストとか六神将の半分味方に付けときながらっ!!

ティアの話だって聞いたっしょ!?魔弾はヒゲの同士よ!?黒獅子ヒゲの共犯者よ!?





「・・・・・・あ、あの・・・・・・」

びくぅっ!!と震えた救助隊の中から、1人の兵士さんがおずおずと進み出てきた。

「・・・・・・主席総長殿でしたら、逃げ遅れた人間がいないか見てくると仰って、その、鉱山の奥へ・・・・・・」





や っ ぱ り ! !





その返答を聞くや否や、あたしは駆けた。

ドコへ?――――――モチロン、鉱山の入口に向かって、だ。





「えっ!?ちょ、アッシュ響士ドチラヘ!?」

「申し訳ありませんフリングス少将!!一時護衛から離れます!!」





咄嗟に声を掛けてきた少将さんに、返事にもなってない応えを返して。水主もあたしの後に続く。





「待ちなよ!!僕も行く!!」

「ガイ、追うぞ!!」

「ルーク様!?」





慌てたシンクの声は既に遠くて、その後に続いたお坊ちゃんの声も、小さい。





「・・・・・・ち、っくしょう・・・・・・!!」

あたしはギリリと唇を噛む。





抜かった。コレはホントにあたしの見落としだっ。

戦犯だろうが何だろうが、あの2人は六神将!六神将て呼ばれるだけの戦闘能力を持ってんだ!!

部下だっているっ。その中にはヒゲの計画に賛同するヤツ等だって皆無じゃない!!





あの2人。原作とほぼ一緒だって解った時点で殺しとくべきだった、と。

あたしは今更ながらに後悔した。






























今までイロイロ良い感じに原作から離れてるから、今後もどーせ良い感じに離れまくるんだろーなー、なんて思ってたおねにーさま。

そうはとんやがおろさない。






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