ビミョーな空気を乗せながら、キャツベルトは海を渡って。

ついにやってきましたキムラスカ首都!!譜業都市バチカル!!

コレで今度こそあたし、か え れ る!!





・・・・・・なんてのは、やっぱり無理だった。





アレかな。原作でも『アッシュ』が物語の登場人物だったからかな。

・・・・・・・・・・・・あたしまるっと全部関わりたくないんだけど。特にこの先。





見事(?)お坊ちゃんの護衛を終え、少将さんが和平の密書をインゴベルト陛下のトコに持ってって。

あたしと水主は何故か、導師達と一緒にファブレ邸にお呼ばれされた。

何でも、お坊ちゃんを無事送り届けてくれてアリガトウ、らしい。

・・・・・・そんな気を回すくらいならサクッとダアトに帰して欲しいんだけど。





「我が息子の護衛、御苦労だった・・・・・・本日は我が屋敷でゆるりと休まれよ」





あたし達を目の前にしてそう言った厳つい公爵サマは、すっげビミョーな顔でした。

ちろちろとあたしを窺ってるあたり、なんか言いたいのに言えない事があるみたいな。

多分道中の遣り取り使用人さんとかお坊ちゃんとかからいってんだろうな・・・・・・あたしは聞きたくないから完全無視するけどね!

そんなあたしの心の声に勘付いた公爵サマは、ひとつ溜息吐いてソレ以上は突っ込んで来なかった。





代わりにティアに矛先がいったけど。





そーいやどーしてこの子がココに、ってのは、どーやらお坊ちゃんの取り成しがあったからみたいだ。

公爵家襲撃、嫡子誘拐なんてふつーは牢獄直行モノなんだけどね。

ティア、タタル渓谷でお坊ちゃんを目の前に半狂乱したらしい。もー、かくなる上は腹かっ捌いて、と地でやったんだそーな。

だからホントに目当てはてんてーだけで、ファブレ公爵やお坊ちゃんに危害を加えるつもりは毛頭なかったと。

で。何故実の兄を殺そうとしたのか、その理由を告げる為にココにいる。





「・・・・・・兄の話を、聞いてしまったんです・・・・・・外郭大地を、崩落させると・・・・・・」





ティアの話によれば、てんてーが魔弾の金髪美人とそんな話をしてるトコを偶然見聞きしてしまったんだそーな。

どーゆー意味か問い詰めてはみたけど、年の高ってゆーか面の皮厚いってゆーか。アッサリ煙に巻かれて。

実の兄だから信じたいトコだけど、彼が預言を憎む理由を知っているだけに、聞き違いだった、なんて思えなくて。





ぐるぐる考えて行き着いた先が・・・・・・よし、兄さん殺して私も死のう、てのがまたスゴイ。追い込まれてたんだねぇ、ティア。





だけど相手は全然隙がない。主席総長だから、暗殺失敗したら揉み消される可能性もある。

だから、隙が出来てるファブレ邸訪問時に。

だから、もし失敗しても自分のした事を揉み消されない為に、脱退届出したにも関わらず軍服で。

・・・・・・ソコで疑似超振動起こってお坊ちゃんと飛ばされたのは、ホントに予想もしなかった出来事らしいけど。





まあでも、ティアのその話で確信。てんてーはほぼ原作通りが決定。

そのてんてーは、ファブレ邸襲撃て、嫡子誘拐の為に兄妹で画策した狂言じゃないのー?てずっとお城に監禁されているそうで。

彼の身分が身分なので、牢獄放り込む事は出来なかったらしい。

豚樽からの横槍もあったそうだし・・・・・・今更だけど、ホンットあの樽邪魔だな。





そのティアの話を聞いて、公爵サマはお城に行った。

あたし達は客人として、そのままファブレのお屋敷で過ごす事に。





・・・・・・あたし的には城下の宿屋の方が良かったんだけどね。

だって使用人さん達の目が痛い痛い。ある程度勘付いてんだよねーみんな。あたしの仮面の下の素顔に。

でもソレはソレで問題が、て水主から上がったんだよ。

佐官位の人間がやっすい宿屋に泊ったりしたら、今後信託の盾騎士団の人間はバチカルでソレ以上高い宿屋に泊れなくなるから、って。

・・・・・・・・・・・・だからあたし階級嫌いなんだ。





ビミョーな空気が纏わりつく晩餐が終わって。

そっこーで客室に引っ込んだあたしは、ばふっとベッドにダイブする。

「お疲れ」

「・・・・・・あーうんホントだよもー。」

苦笑しながらベッドの縁に腰掛ける水主が頭撫でてくれた。





うー。このまま寝そう。てゆーか寝たい。寝させて。

「そういえばマスター。さっき面白い話をメイドから聞いたんだが」

って、寝たいんだからあたし。面白い話なんて要らないから。

「この屋敷に、『アーシュ』という子供はいないそうだぞ?」





・・・・・・・・・・・・はい?





「・・・・・・・・・・・・どーゆー意味」

「シュザンヌ夫人の産んだ子供は、後にも先にもルークという男の子供1人だと」

「・・・・・・・・・・・・って、事は・・・・・・・・・・・・?あれ、でもそしたら何で兵士さん達・・・・・・・・・・・・?」

「捜査団の中には、あの子供の私兵も交じっていたらしいな」





・・・・・・・・・・・・じゃあ何か。お坊ちゃんは嘘言ってたと。導師も兵士さん達もグルだったと。

「・・・・・・・・・・・・てゆーか何でそんな嘘」

「ああ、問題は其処なんだ」

ムツカシイ顔をしたあたしに、水主もおんなじ顔をする。





だけど、考えても考えても。あのお坊ちゃんが一体何をしたかったのか、解らなかった。






























ココでのクリムゾン様は改心しました人設定。昔はホントに預言で死を詠まれてる子だから、と。ルークの事なんか見もしなかった人です。

だけど帰ってきたルークをレプリカだって一発で見抜いて、ああ自分こんなんでもやっぱり父親だったんだな、て思った人。

その後はレプリカに絆され『アッシュ』の現状に絆され、何で証拠が無いってだけで助けられないんだー!!て思ってた人。

だから『記憶喪失』だっていうおねにーさまに複雑な気持ち抱いてます。

父親だって名乗り上げて抱きしめたいのに、本人拒絶してるらしいから言えない、みたいな。

ティアにも捏造。総長である兄の七光の所為で周りからチクチクされて、ソレがイヤでちゃんと軍人としての知識を身に着けた人。

何気に狡猾な知恵も働きます。だってあのてんてーの妹ですし。






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