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「・・・・・・え、アッシュ、響士・・・・・・?・・・・・・ルーク、様・・・・・・?・・・・・・え?・・・・・・えええ!?同じ顔!?!?」 少将さんのそんな悲鳴に、ハッと我に返った。 慌てて右手を顔にやる・・・・・・ちくせうなんであたしの仮面お坊ちゃんが持ってんだ!? てゆーかソレ以前になんでココにいんの!?ココあたしの部屋っしょ!? そのお坊ちゃんは呆然と。ホントぽかーん、て感じであたしを見てて。 お坊ちゃんだけじゃない。導師もシンクも使用人さんも。 何故か勢揃いしてる主要男性メンバーが、ぽかーん、てあたしを見てた。 ・・・・・・てゆーか。 あたしの顔にこんだけ驚いてる、って事は? お坊ちゃん、自分がレプリカで『アッシュ』が被験者だって、知らないんじゃないかな? ――――――・・・・・・・・・・・・いやでも待て?ソレはソレでちとおかしいぞ? だってお坊ちゃん、被験者イオン匿ってんだよね?導師とシンクの事も知ってんだよね? ・・・・・・・・・・・・わ、解らん。ぐるぐるしてきた。 「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・アッシュ?」 恐る恐る、お坊ちゃんが呼ぶ・・・・・・ああ、やばいやばい。また固まるトコだったよ。 取り敢えず、まずは注意だ。親しき仲にも礼儀あり、て言うんだからね。 「・・・・・・他人の部屋に、断り無く入室するのは如何なものかと思いますが」 溜息混じりに言ったら、少将さんと導師が小さくなる。 でも他はまだ呆けたまんま・・・・・・・・・・・・逃げちゃダメかな。コレ。 「・・・・・・・・・・・・ルーク様。仮面を」 「・・・・・・・・・・・・え?」 「仮面を。お返し願えますか」 「えっ、あ、ああっ、悪ぃ」 溜息吐きながら手を出したあたしに、お坊ちゃんが慌てて仮面を差し出す。 あたしはソレを受け取って、皆さんの前で顔に着けた・・・・・・うん。落ち着いたかも。 「・・・・・・で。皆さん集まって一体如何したんですか」 「・・・・・・・・・・・・いや、こんな機会滅多にないから、色んな話を色んな人に聞きたいって、導師イオンとルーク様が・・・・・・」 何でもなかった様に聞いてみたら、ほけん、としたまんま使用人さんが答える。 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・そーですか。そんな理由であたしの顔が割れたのですか。 はふ、と溜息吐いて、あたしは件の高貴なお二方に向き直る。 「・・・・・・私の話など、さして面白くも無いかと思いますが」 だってホント面白くもなんともない。小さい頃のアレとかソレとか、18歳未満お断り、な思い出だってあるし。 「あ、いえ。そんな事は無いです。無いです、が・・・・・・その、アッシュ。どうして、ルークと同じ顔をしているんですか・・・・・・?」 うわおイキナリ核心突いてきたね導師サマ。でもあたし、 「・・・・・・・・・・・・さあ、存じ上げません」 って言うしかないし。 「ナニさその微妙な沈黙。紅華、アンタ何か隠してない?」 って、ソコで横槍入れないでシンク。つっても、 「・・・・・・と、言うより。私はそんなにルーク様と似ているんですか」 あたし視力悪い設定なんで。ココはやっぱり逃げさせて頂きます。 あたしのセリフに、あ・・・・・・、て皆さん口を噤む。 「・・・・・・あんまり普通だから忘れてました・・・・・・アッシュ響士は、確か目が・・・・・・」 「気配で人を区別する事は出来ますが。人の顔を見分けられる程の視力は、持ち合わせておりません」 サラッと言ったら、少将さんはバツが悪そうに顔を俯かせた。 うん。このままゴーインになし崩しにしてしまおう。そして皆さんさっさと自分の部屋に帰ってもらおう。 「でも、やっぱり似過ぎてる」 ・・・・・・って。まぁだ引っ張りますかシンク。 「まあ、世の中自分と同じ顔の人間が3人はいると言いますし」 コレで納得して下さい。つーかしろ。 「他人の空似ってヤツ?本当に?ココまで瓜二つなんだよ?・・・・・・紅華、ホントに何も隠してない?」 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・だーかーらー。しつこいねキミ。あたしに何を言わせたいの。 「知りませんよ、何も」 「だから、嘘は――――――」 「憶えてませんから」 更に言い募ろうとしたシンクの言葉を遮って。 あたしは最終兵器を出す事にした。 「・・・・・・え?」 「知っていた、かもしれません。が、今は知りません。私は一度、記憶障害を起こしているそうなので」 「・・・・・・記憶、障害・・・・・・?」 「所謂、記憶喪失というものです。私は10歳より以前の事を、何も覚えていません」 淡々と。感情が乗らない様に言ったら。 皆さん、今度こそ返す言葉を失ってくれた。 |
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勿論アスランさん以外の主要メンバーは『アッシュ』がルークの被験者だと知ってます。 知ってた上で、一芝居。 おねにーさまから色々聞き出したかったのですよ。『アッシュ』はてんてーと繋がってるので。 目が悪いのも記憶が無いのも、もしかしたら嘘なんじゃないか?とも思ってた。逆に、ホントにてんてー捏造の身の上話信じてるのか?とか。 だけど玉砕。おねにーさまに演技教え込んだのは守護者さんですから。何気にスパルタ教育ですから。 |
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