・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・つ、つかれた。

そんな言葉しか、出てこなかった。





あの後、尻もち着いてた兵士そのいちを伝令役にして、速攻で騎士団員には剣を納めさせて。

ティアとルーク、2人の立ってた扉の奥から出てきたマクルトの軍服眼鏡に、事情説明して。





原作ですっごいイイ性格してたその軍服眼鏡――――――ジェイド・カーティス大佐は、ココでは捏造入る事もなくイイ性格のままだった。

てゆーか、皮肉さ加減が3割増だと思うのはあたしだけか。

コッチが下手に出てりゃねちねちつらつら。すんごい頑張って我慢したけどさ。悪いのやっぱりウチだし。





ルーク達を逃がす為に、暴走した大男の足止めをしてたシンクが大男をぎったんぎったんにして引き摺ってきて。

やっぱり暴走してた何処ぞの金髪美人は、導師を連れ去ろうとしてアリエッタにけっちょんけっちょんにされてやっぱり引き摺られてきて。

連れ去られそうになってた導師イオンと、彼を守る為に奮闘してリグレットに撃たれて決して小さくはない怪我をしたアニスも、合流して。





・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・うん。シンクもアリエッタも容赦無かったんだね。

ぴくぴくしてるのが何だか憐れだよその2人。





導師に確認して眼鏡に頭下げて。治癒師引き連れて怪我人治癒術で治しながら頭下げて。

頭下げて。治して。頭下げて。治して。頭下げて。死人が出てないのだけが不幸中の幸いです。

・・・・・・なんであたしがあんなアホ共の尻拭い。





一通り負傷者全員の傷を治癒し終わるのにがっつり時間かかった。

治癒師少ない上に怪我人はどっさりだったから、最後の方はもうあたし1人で治して回った。

アニスちゃんの傷も根性で完治させました。うん。よく頑張ったあたし。凄いぞあたし。

・・・・・・ダアトに戻ったら絶対有休ぶんどってやる。





「お疲れ様です、アッシュ響士」





はふ、と溜息吐いたトコロに、背後からお声が掛かった。振り向くと、2人のカワイコちゃん引き連れて、にっこり微笑む導師の姿。

その隣には、後ろに美女を従えた王族の方がいらっしゃった。

・・・・・・・・・・・・う、羨ましくなんかないもんね。ちくしょーあたしの周り殆んどムサいのにコイツラの周り華ばっかとか思ってないもんね。





「流石、師団長は伊達じゃねぇな。あれだけいた負傷者、ほぼ1人で治癒するなんてよ」

感心して下さるのは嬉しいのですが、目が笑ってないと思うのは気の所為ですかルーク様。

「僕も驚きました。剣や譜術に長けているとは聞いてましたが、治癒術まで使えるなんて。アッシュ響士は本当に凄いですね」

そのお褒めのお言葉が、白々しく聞こえるのは何故でせうイオン様。

「紅華のアッシュと言えば、冷酷無比、残虐非道の冷血漢と聞いていましたが。いやはや、噂はアテになりませんねぇ」

・・・・・・・・・・・・しかもイキナリ横から出てきてなんつー事のたまってくれやがる死霊使い。





溜息吐きそうになりながらも、あたしは無言で彼等に向き直り、ぺこりとひとつ頭を下げる。

うう、さっさと退散したい。帰ってそっこーベッドにダイブしたい。

だから言いたい事あるならさっさと言って。早く言って。んでさくっとあたし解放して。





そんな祈りが届いたのか。

「紅華、撤退準備終わったよ」

そんな事を言いながらやってきたシンクに、思わずグッと拳を握った。

いいタイミングだよシンク!!何時も(妄想で)見えてる悪魔の黒い羽根が、今日は天使の白い羽根に見えるよ!!





「解りました――――――では、導師イオン。申し訳ありませんが、私はこの度の事をモース様に報告する為、一度ダアトに戻・・・・・・」

「え。戻ってしまうのですか?」





さっさと退散、の思いで言い逃げしようと思ってたのに、途中で導師に遮られた。

てゆーか、え。てコッチがえ。だよイオン様。あたし変な事言ってないっしょフツーっしょ。





「ダアトを発つ時、慌ただしかった所為で守護役を1人しか連れてこれなかったので。僕の護衛をお願いしようと思っていたんですが」

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・うわお。そいやそだった。しかもアニスちゃん、さっきまで怪我してたし。

「ならば、以前導師守護役であったアリエッタ響手をお連れ下さい・・・・・・宜しいですか、アリエッタ響手」

ちろん、と視線を流して言ってみたら、アリエッタは、はいです、て元気な声で返事をした。隣のアニスちゃんも嬉しそうだ。くぅう、可愛いなぁ。





そして今度こそ言い逃げしてやろうと思ったら。

「なあイオン、俺にも護衛貸してくんねぇかな。やっぱさ、ティア1人だとキツイだろうし」

・・・・・・・・・・・・うん。ソコで何故あたしを見ながらそんな事言うんですかるーく様。





「いくら事故っつっても、不法入国なんつー拘束されて尋問される様な事しちまったのに、その上図々しく護衛貸せーだなんて、マクルトの人間

には頼めねぇからさ」

・・・・・・・・・・・・うっわあ。トゲが。トゲがいっぱいだよるぅく様。

「そうですね。幾ら事故とはいえ、不法入国は犯罪ですからね。その犯罪者が護衛しろ、だなんて厚かまし過ぎますよね」

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・い、いおん様まで・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・どんだけ王族やダアト最高位相手に無礼かましたんだこの眼鏡。





「・・・・・・・・・・・・シンク謡士。ルーク様の護衛をお願いしても宜しいですか」

ハッキリあたしが命名される前に言った。僕は別にイイけど、なんて言ってくれるシンクは今日、天使の羽根が舞ってると思う。うん。

「・・・・・・1人だけ?」

何だよ1人でもシンク六神将なんだから強いんだからじゅーぶんだよシンクだけで。





「・・・・・・・・・・・・何でしたら、部下も数人・・・・・・・・・・・・」

「いや。俺はアンタが良い」

「と、いう事ですので。導師として命令します。アッシュ響士、ルークの護衛に着いて下さいね」





真剣な顔でどキッパリと言い切ったるぅく様と、にぃっこり笑って言ったいおん様に。

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・部下を1人、連れてきても?」

あたしは、そうお伺いを立てるしかなかった。






























裏設定。ココのアニスちゃんは両親の借金肩代わりですっごい小さい頃から頑張ってました。

色んなトコロでお手伝いやって、でも子供だからって甘く見られて。世間の世知辛さも骨の髄まで知ってます。

・・・・・・原作でもそーだと思うのに、どーしてあんな自分の都合のイイモノだけしか見ないふうに転んでしまったのかは謎ですが。

そんなアニスちゃんを最初に見つけたのは、同年代で人間の女の子の友達をアリエッタに作ってほしかったオリイオです。

ソコからルークに話がいって、両親の借金肩代わりになりますた。

今ではアリエッタと実年齢2歳児達の良いお姉さん。元々面倒見も良かったので。階級・実力はシンクやアリエッタより下ですけどね。






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