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初顔合わせは最悪だった、と後に水主は語る。

あたしもソレには同意見。あたしだったら、あんな事言う上司こっちから願い下げだ、とか思う。

まあ、そんな願い下げな事を実際に言ったのはあたしなんだども。





てんてーに呼び出されたひと月後、あたしはホントに響士に昇進した。

んで、ホントに特務師団の師団長、て肩書が付いた。





団長になって一番最初にやったのは部下との顔合わせ。

第3訓練場に向かえば、おおよそ新しい上司を待っている兵士、とは言えない様なだらけた態度で、ソイツ等はいた。

しかも46人。残りの4人はバックレたんだろう。





ふつーにあたしをお出迎えしてくれたのは、どういう手を使って配属されたんだか解らない水主だけ。

いや後でこっそり聞いてみたんだけどね。「・・・・・・知りたいか?」なんて含みのある笑いを返されてみろ。怖くてソレ以上聞けないっしょ?





あたしは、まあ今日は初日なんだし、と持ってた師団員のリストとその場にいる師団員を見合せて。

10分待って下さい、と言い残し、来てない師団員達を引き摺ってくるべく訓練場を後にした。

そしてきっかり10分後。残りの4人をホントに引き摺ってきたあたしは、ちょっと煤けてぴくぴくしたりしてるそいつ等をそこら辺に放り投げ。





「――――――さて。少々予定より遅くなりましたが、コレで全員揃いましたね」

ぐるり、と辺りを見渡した。

ちょっと煤けてぴくぴくってしてる4人を見た団員さん達は、引き攣った顔であたしを見てる。

・・・・・・いえそんな。確かに見た目死にかけですけど、その人達麻痺ってるだけですよ?だからそんな怖いモノ見る様な目で見ないでよ。





「・・・・・・本日付で、不本意ながら貴方方特務師団員を預かる身となりました、アッシュ・グランツです」

溜息混じりにそう前置きして、整列すらしない部下達に視線を向ける。

あ。不本意ながら、ってトコでかっつぃーん、て顔した人が何人かいた・・・・・・はいはい。人の話は最後まで聞きませうね。





「ですが今、総長閣下含め上層部の方々に師団長辞退を申し上げているところです」

あ。今度はすんごい変な顔した。しかも全員。はあ?とか何だそれ?とかいう声がそこかしこで上がる。

「貴方方には申し訳ありませんが、私の事は飾りだとでも思って、辞表が通るまでは現状で我慢して下さい」

・・・・・・水主に至っては片手で顔を覆ってでっかい溜息吐いてた。なじぇ?





まあでも、あたしから彼等に言いたいのはぶっちゃけコレだけだ。

あたしは基本、連携を取るとか指揮を執るとかに向かない。

夜刀も昔は軍属だった時あるし、あたしにもそういった知識はあるけど。

背中を任せられる相手がいない。あたし達より上手く立ち回れる人間がいない。

そんなこんなで、スタンドプレーばっかりやってたもんだから・・・・・・まあ、平たく言えば、人を使うのがむたくそ下手なのさ。





「師団に関してはコレから皆さんの中で副師団長を決定して頂き、その方に一任します。私は一切、貴方方に指示を出しませ――――――」

「ちょ、ちょっと待ってくれ!!・・・・・・じゃない、待って下さい師団長!!」





つらつらと言いたい放題言ってたら、横から慌ててお声が掛かった。

・・・・・・んや?このガタイのイイ男前さんは・・・・・・

確か、前の団内で上司と意見が合わなくて煙たがられてたっていう。





「何でしょう、ビル・ロズウェス謡手」

至極平坦な声で聞いたら、グッ、と息を呑んだ彼は、ソレでも果敢にあたしにモノ申してきた。





「あんたはさっき師団長就任の事を不本意と言って、辞任の事も上に通してるって言うが、ソレでも今はまだ師団長なんでしょう?」

「はい。それが?」

「だったら、今のあんたには未だ師団長としての責務があるんじゃないですか」

「ですが、今後就任される新しい師団長と私と、貴方方に求める事が全く食い違っていたら貴方方の意識の切り替えも面倒でしょう?」

「ま、まあ、そりゃ、そうかも知れませんが」

「だから私は貴方方に何も言いません。一切関与もしません。辞任するんですから。貴方方も、現在師団長位は空席なのだと思って下さい」

「だからって無責任過ぎるだろうが!!」





怒号が轟いた。

師団員さん達が、その迫力にビクリと身体を竦ませる。

だけどあたしは平然と、肩で息をしながらあたしを見据えているビル・ロズウェス謡手にちらりと視線を流すだけで。

ソレが、なおさら彼の怒気を誘ったんだろう。ぐい、と襟首掴まれた。





「嫌々だろうが何だろうが、今のあんたは師団長だ。俺等の命を預かる身だ。ソレを、なのに」

低く低く、抑えられた声。ふるふると、怒りで震える手。

「あんた、師団長って立場を、人の上に立つ者の意味を何だと思ってんだ」





ふん。そーくるか。

だったら。





「ならば貴方は、私の事を何だとお思いで?」





襟首を掴まれたまま、鼻で嗤う様に。

「総長の稚児。第6師団長のツバメ。上層部に脚を開いて媚を売る男娼?」

目を見開いてあたしを凝視する彼の手を、何事も無かったかの様に解き。

「否定はしませんよ。私の事をろくに知ろうともしない人に、ソレが真実か嘘かなど、説いた処で聞かない人間は頑なに聞こうとしないのだから」

しん、と静まり返る場に、あたしの声だけが響き渡る。

「何を言っても何をしても。『私』を見る人間など皆無。だから私も、誰も見ない。誰の命も、背負わない。背負いたくも無い」

皆が見てるのは『あたし』じゃない。『アッシュ』だ。そしてその『アッシュ』すら、誰もホントのところを見ない。てんてーですら。





「貴方だってこんな青二才が上司なんてお厭でしょう?・・・・・・私は貴方方に何も望まない。だから貴方方も、私に何も望まないで下さい」





静かに宣言した視線の端。水主が、痛そうな顔をしているのを、見た。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 




















原作の燃え滓さんは、師団長をちゃんとやってたんだろーか、と思う。

ゲーム中はずっと1人で、漆黒の翼とギンジさん、しか繋ぎを付けてなかったから。

燃え滓さんの監視としててんてーが付けた、だから特務師団員は味方じゃなかったという可能性が濃厚かと。

そしておねにーさまはソレ以前の問題でせう、と彼等を拒否。誰が自分を舐めて掛かってるヤツ等の面倒見なきゃなんないんだ、て感じで。






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