ヴァンてんてーは主席総長だ。

歴代最年少でその地位にまで上り詰めたやり手さんだ。

・・・・・・まあ、ソコに至るまでに、強引な事もしたんだろうけど。





だけどおおよその騎士団員達に、慕われてる。

聖女ユリアの家系で、人望厚く、カリスマもあって、頼りになる・・・・・・ふうに振る舞ってる。





だから、ヴァンてんてーの本性を知らずに慕う騎士団の人達が。

ヴァンてんてーが蝶よ花よと可愛がってる・・・・・・ふうに見せてる、あたしを妬むのは。

当たり前、っちゃー当たり前なのかもしれない。

・・・・・・・・・・・・あたし的にはフザケンナおたくらの目は節穴か、ってなモンだけど。





そんなとりとめのない事を考えながら、あたしはぼぉんやりと目の前の人を眺めていた。





「・・・・・・大丈夫かい?」





あたしの固まらない視線に気付いたその人が、身を屈めて聞いてくる。

青銅色の髪に、左目の黒い眼帯。

ある程度改造された団服と、腰に佩くのは細身の腕には扱い辛そうな大振りの剣。





今まで何度か遠目で見た事あるから、この人の事は知っている。

信託の盾騎士団でありながら、部下ともどもダアトにいる時の方が珍しい。

第六師団の団長、カンタビレ。





「ああ、無理に身体を動かそうとしなくて良いからね」





ぼけー、と見てたら、そんな声を掛けられて。

彼女は団服の上着を脱いで、ソレをあたしに掛けてくれた。





・・・・・・てゆーか。なんでこの人、こんな時間にこんなトコにいるんだろう。





今は夜中でココは武器庫。

集団リンチやレイプにはもってこい。

オエライさんは滅多に寄り付かない場所だ。

だからアイツ等もあたしをココに押し込んだ。





ふい、と彼女から視線を動かした先。

ソコには、痛みに悶絶する6人の兵士達。

ついさっきまであたしを好き勝手に甚振って下さっていた方々である。





いくらお楽しみ中で気が緩んでたからって。

大の男が女性1人にかるーく転がされるとわ。

なんてナサケナイ姿なんでせう。





――――――・・・・・・・・・・・・いや。

情けないのは、そんなヤツ等に手も足も出なかった、あたしか。





散々殴られ蹴られ踏み付けられて、今のあたしは青あざだらけだ。

ヤツ等もちょっとは頭を使って、顔なんかは腫れてないけど。

だから余計、身体の鬱血が目立つ。





その上、着ていた服はもう服として機能しないくらいビリッビリに破かれて。

無理矢理開かされてねじ込まれて揺さぶられてを延々続けられた所為か、腰から下は感覚がない。





コレでも頑張って抵抗した方、だとは思うけど。

ホントに、何も出来なかった。

子供の身体は、あたしが思ってたよりも扱いにくくて。

なまじ色々出来てた頃を覚えてるから、余計に。





――――――今の自分のあまりの不甲斐なさに、怒りすら湧いて来ない。





「――――――師団長、部屋の用意が」

「・・・・・・・・・・・・ああ。後は任せたよ」

「はっ」





静かに室内に入ってきた女性団員さんが、そっとカンタビレさんに耳打ちする。

すると、ふあり、とあたしは横抱きに抱え上げられた。





女性団員さんの、あたしを見る目がカワイソウ、と言っている。

重力に従って内股を伝ってぱたりと落ちた液体の音に、カンタビレさんが眉を顰める。





身体が重くて。指一本すら動かすのも億劫で。

さっきからつらつらつらつら、別にさして重要でもない様な事ばっか考えてるけど、今にも意識はブラックアウトしそうで。





――――――もう、どーでもイイや。





人気のない夜中。かつんかつんと廊下に反響する靴音を聞きながら。

あたしは、緩やかな振動を伝えてくるカンタビレさんの腕の中、目を閉じた。




















さ っ そ く や っ ち ま っ た 。

いやでもコレかっぱ的には外せない展開。燃え滓さんも、絶対こんな目に合ったハズだ!!とか。

コレをキッカケに、おねにーさまカンタビレさんに(同情から)可愛がられる様になればイイよ。

んでよりいっそう修行に明け暮れればイイよ。









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