「憶えていないのも無理はない。あんな事に、なってしまったのだから」

沈痛な面持ちで口を開いたヒゲに。

あたしは寸でのトコで、何言ってんだおたく、と突っ込みそうになったのを止めた。





ヒゲの説明では。





とあるトコに、王家に連なる血筋のお貴族サマがいたそうな。

そのお貴族サマには奥方サマがいらしたけど、その方はたいそう身体が弱く。

子供を無事に望めるか解らない、最悪母体ともども・・・・・・と医者に言わしめた程。

ソレは困ったな、と思ったお貴族サマは、1人のメイドを孕ましたんだそうな。





だけど、メイドが男の子を産んだ数日後に、奥方サマも元気な男の赤ちゃんを産んだ、らしい。





メイドは暇を出されたとゆーか屋敷を追い出されて。

メイドの子はお貴族サマが引き取ったらしいけど、いわゆる妾の子だから、冷遇された。





体罰有りのスパルタ教育で叩き込まれた知識も教養も何もかも、全部弟の為。

周りから向けられるのは、蔑んだ目。

しかも怖いのは奥方サマ。旦那が他で作ってきた子供、って事で嫉妬に敵意が剥き出し。

そんな奥方サマに感化されて、弟も使用人以下の扱いをしてくる。





そんな誰1人として味方のいない屋敷の中。子供の限界がもうソコまで見えてた時に。

お貴族サマが仕事でちょっと長く屋敷を開ける事になった。

ソレを知った奥方サマは、もう嬉々として子供を市民街でほそぼそ〜と暮らしてた元メイドに押し付け。

雀の涙程度の手切れ金を投げ付けて、母子ともども、街からも追い出したのだそうな。





んで。





突き付けられた手切れ金をゴミ箱に捨てた元メイドの母は。

知り合いだったヒゲに相談した結果子供を連れてダアトに移り住もうとやってきて。

その道中で、魔物に襲われ子供を庇って死んでしまいましたとさ。





「・・・・・・それが・・・・・・その、メイド、が。俺の母親だ、と」

ナニそれどこの昼メロだ。





またもや突っ込みそうになって、ぐ、と硬く拳を握り締めた。

溜息も堪えて俯いて、視界に映るのが肩から滑り落ちた紅い横髪と、握った拳だけになる。





ソレをどう取ったのかヒゲときたら。

「――――――憎いか、アッシュ。母を捨て、お前を虐げてきた者達が」

なーんて事をのたまってきた。





・・・・・・・・・・・・ああ。コレが原作で言う「レプリカを憎め」ってヤツ。

記憶喪失(みたく振る舞った)からどー来るかと思ったけど。サスガこの人というか、口がうまい。





てゆーか。記憶喪失で混乱してる(ふうに見せてる)10歳児に、作り話とはいえふつーそんなドロ沼聞かすか?

・・・・・・・・・・・・いやごめんこの人常識欠如してるんだっけ。

色んなサイトで非ぃ常識人扱いされてたしね。





つかそもそも、ゲーム2周3周するたびに思ってたんだども、甘い餌チラつかせてアッシュから全部奪ったのおたくじゃね?

憎め〜憎め〜って仕組んだのもおたくっしょ?





まあ、奪われて困る程のモノがアッシュにあったかどーかってのは、謎だけど。

だって見向きもしない父親に子供を憐れむ母親よ?そのくせ王族としての重責だけはしこたま乗せやがって。

あたしだったらツブして丸めてすぺぺぺぺいっ!!てするね。





「お前には、彼等を憎む権利がある」

さっきの作り話が本当ならね。





「世の中には、憎しみを糧に生きる者もいる」

ソレはおたくの事ですか。





「全てを失って生きる意味も理由も何も無いというのなら。先ずはその憎しみを理由に、生きなさい」

いやいや言ってませんから。





「生きていれば、憎しみ以外の何かを見つけられるかもしれない。だから其れまでは、憎しみを理由に、生きなさい」

おたくは見つけられずに今まで生きてるみたいですけどね。





「例え見つけられずお前が彼等に剣を向ける事になっても。私は――――――私だけは、何があろうとお前の味方だ」

さらっと物騒な事をのたまいますねヒゲ。





てゆーか別人ですから。アッシュじゃないですからあたし。ホントの事も全部知ってますから。





ぽん、と労わる様に肩を叩きながら言い聞かせてくるヒゲに。

あたしは内心で突っ込みつつ、無言のままこくりとひとつ頷いた。





・・・・・・・・・・・・いやだってココはコレ以外に切り抜ける方法ないでしょ。




















ホントにヒゲてんてーある事無い事吹き込みまくりですよね。捏造も甚だしい・・・って元はかっぱの妄想か。

まあそんなこんなで、てんてーの話を鵜呑みにした振りをして、復讐の為に強くなりたいとおねにーさま願い出ます。

そして信託の盾騎士団の見習い兵に。

・・・おねにーさま設定、ドコまで引っ張ってこよう?









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