ぱちり、目を開けた。

開けてから、あれ?って思った。





なんで、目を開けた、になんの?





あたし、たしか一服中だったハズ。

戦乱も落ち着いたからって、やっとこさ筆頭さんから暇をもらって、ぶらり、1人旅を洒落込んでた道中だった、ハズ。

・・・・・・なのになんで、目を開けた、になんの。

なんで、森も丘も川もないの。





「気が付いたか、アッシュ」





――――――しかもナニ誰この人。イキナリ顔面アップやめてよ初対面の前で。

・・・・・・って、え、あれ?

――――――なんか。この人。見た事、ある。





「突然倒れるから驚愕したぞ。具合はどうだ」





え。え。た、倒れた?

あたし、トツゼン?





「・・・・・・アッシュ?如何した」





――――――アッシュ、って。誰。

・・・・・・まさか、あたしの、事?





って、思い出した。

このヒゲ面。このコスプレみたいな服。





・・・・・・いや。まさか。

まさかまさか、そんな馬鹿な事は、ありま、せん、よ ね ?





「・・・・・・あ、の」

思い切って聞いてみる事にした。

「あなたは、だれ、ですか」





・・・・・・って、うっわナニこの声。

あたしの。声じゃ、ない。

あ、ヒゲ面さんすっごいビックリな顔した。





「わたしは、アッシュというのですか」





まさかそんなハズありませんよね。

あたしが、聖なるなんちゃらの灰だなんてそんな事。





だけどヒゲ面さんは、片手でパッカリ開いた口を覆ってその手を目に持ってって。

それから、じっ、とあたしを見た。





「・・・・・・アッシュ、まさかお前、記憶が・・・・・・後遺症か、それとも・・・・・・」

――――――だが、それならそれで、好都合だ。





あたしを見る目が、そう言ってる。

声も表情も、困惑みたいな色を乗せてるけど。可哀想な子供だと、同情を乗せた、色だけど。





――――――うん。なんかもう、コレで確信した。

この人アレだ。思い違いであって欲しいって思ったけど、間違いなくアレだ。

世界と預言を憎む、狂気の持ち主。





・・・・・・って事は。

あたし、今本当にアレなのか?

この人がアッシュって呼ぶって事は。あたしあの聖なるなんちゃらの灰に、成り変わってんのか?





――――――なんてこったい。

決して短くはない人生、人間止めたり世界を渡ったりと、色んな事があったし。

平平凡凡な腐女子だった頃には、ドリームなるモノまで手ぇ出してましたから?

ヘタレチキンの勘違いとか、何処ぞのキャラの親兄弟やらあるいは本人に転生、とかって設定モノも読んだ事あるけどね?

・・・・・・・・・・・・サスガにコレは、予想しなかった展開だ。





ヒゲ面の人が、医者を呼んでくる、って出て行った後。

思わず、でっかい溜息が洩れた。





がしがし、と頭を掻く。・・・・・・うわ、すんごい赤毛。

コーレーはー、ホントに、ホント・・・・・・なんだなぁ。

あたしアレか。あのかわゆい子に屑!!とか劣化野郎!!とか言うのか。言わなきゃなんないのか。





しばらく、溜息止まりそうにないよ。




















10歳のアッシュ、度重なる監禁と実験と薬漬けと洗脳に耐え切れずに魂だけ昇天しますた。

代わりにおねにーさまがローレライの陰謀(?)でアッシュの肉体に。

ひげですでる・・・げふごふんっ、ヴァンてんてーはアッシュinおねにーさまの事を、精神的負荷による記憶障害と判断します。

そして好機とばかりにある事ない事吹き込むワケですな。









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