あたしの言い付けを素直に守った4人は、じじさまにくどくどくどくど、お説教を頂いた。

しかも、あたしが予想してたよりも長かった。2時間くらい。トータル約5時間。スゴイね。さすがじじさま。

その間あたしはナニしてたかって?そんなん、お館サマとか軍神サマとかねーさんとか右目さんとかとお茶飲んでたに決まってるじゃんか。




 




 




 






日の本、真っ二つに判れる、の巻。

〜せっかくの1人旅、だと思ってたのにさ。〜





 




 




 




 
「で。何でオタク等ココにいんの」

ふかぶか〜、と溜息吐いて、あたしは目の前に並ぶ2人に目を向けた。

そんなあたしの冷めた視線に、1人は飄々と、もう一人はびくびくとする。





「・・・・・・そ、その・・・・・・お館様から、殿に同行する様、承ったのでござるが・・・・・・」

「軍医の旦那1人だけじゃ危ないから、ってね〜。ま、護衛だよご・え・い」





・・・・・・・・・・・・そーかお館サマの仕業か。

心配してくれたのか。うん。ソレは嬉しい。ありがとうお館サマ。

だけどね。だけどだね。





「帰れオマエ等」

「うわ早っ!!ナニそれナニその即答!?」

サクッと言ったあたしに、オカンが噛み付いてきた。

うん解んないんだね。





「いやだってオタク等みたいなゆーめー人と一緒に行動してたらお忍びになんないじゃん」





竜爪――――――あたしは噂ばかりが先行してて、顔はまだそんなに知られてるワケじゃないから、何とかなるかも、だけど。

片や紅蓮の鬼。片や忍頭。知る人ぞ知る、とゆーか、この2人の事を知らない者はいない、ハズ。





・・・・・・ 「が行くなら俺も!!」 て騒いだ某一国の主とかいたけどね。

・・・・・・・・・・・・ 「政宗様は執務がおありでしょう。此処は私が」 て名乗りを上げた某一国の主の片腕もいたけどね。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・無言の上目遣いで 「せんせい、いっちゃう?いっちゃうの?」 て訴えてきた重傷人の忍もいたけどね。





無茶をしない、ってゆーのを条件に、じじさまと軍神サマに味方についてもらって、どーにかやり込めて1人旅の許可をゲットしてきたってのに。

こんなヤツ等と一緒にいたら、やりたい事の半分も出来やしない。





だけどわんこは、えっへんと胸を張った。

「大丈夫でござる!!きちんと変装してきましたゆえ!!」





いやでもね。確かにあたしとおんなじフツーの行商人の格好だろうけどね。

「紅い槍2本担いでる時点でもーバレバレっしょ」

「うぐっ!?しっ、しかしっ、コレはっっ」

「あーあ。だから言ったじゃん旦那。ソレは持って来ない方がイイって」

そう言ってるアンタにも問題はあるんだよオカン。





「アンタも。商人が足音も跡も消して歩かないって。職業柄仕方ないかもだけど、解る人間にはすぐバレるって」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・いやいやふつーそんなトコで勘付く人って極少だから」





はふ、と溜息吐きながら指摘したら。

わんこは 「・・・・・・コレはお館様から賜った大事な・・・・・・」 とかブツブツ呟きながら槍をぎゅうと抱え。

オカンはオカンで 「・・・・・・俺様忍の自信失くしそう・・・・・・」 とかぼやいて肩を落とす。

いや別に落ち込むのは勝手だけどね?





「解ったらさっさと帰りな2人とも」

ひらひら、とゆーより。しっしっ、と手を振りながら言ったら。

2人揃って復活した。





「いやっ、ソレは出来ぬ!!此度の同行は、お館様からの令であるゆえ!!」

「いやだから・・・・・・」

「まあ軍医の旦那に護衛なんて必要ないだろうとは俺様も思うけどさ。コレも仕事なんだよね」

「だからあのね・・・・・・」

「政宗殿や氏政公からも、殿が無茶をしない様見ておく様にと仰せつかったでござる!!」





・・・・・・・・・・・・なんつー事をなんつーヤツに頼んでやがんだあの2人。

しかも何だソレは。そんなにあたしは信用ないか。





「つか何時でも猪突猛進な熱血わんこに監視を頼むってむしろ監視役の方が暴走しやすそうだと思うのは俺の気の所為?ねえ気の所為?」

「・・・・・・あはは〜。」

「笑って目を逸らすなオカン。てかアンタぶっちゃけわんこのお守っしょそうっしょ護衛なんて建前っしょ」

「・・・・・・・・・・・・あはは〜。」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・ナニ考えてんのオタクんトコのお館サマは」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・あはは〜・・・・・・・・・・・・いやゴメンほんっとゴメンだから殺気漏らさないで。・・・・・・・・・・・・まあ、可愛い子には旅をさせろ、らしいよ?」

「?2人とも、何を話しておるのだ?」

「「いえいえ何でも」」





コソコソと言い合ってたあたしとオカンは、きょとんと聞いてきたわんこに2人揃ってひらひらと手を振った。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・しかし、ホンットこのタイミングで何考えてんだろうあの人は。





あたしは1人で練り歩き諸国浄化ついでに西海の鬼探しの旅をしたいのに。

お館サマの命令、なんて大義名分掲げられたら。以外に頑固なわんこの事だ。絶対に諦めやがらない。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・あたしが折れるしかないのか。





「・・・・・・・・・・・・あー、もー。解った。わーかーりーまーしーたーよー。諸国練り歩きの旅に同行者2人追加ー。」

はふぅ。

でっかい溜息吐きながら、心底気が進まなそうに言ったら、ぱぁっとわんこに花が咲いた。





「でっ、ではっ殿!!」

「但しアンタその槍は置いてけ。でないと俺アンタ等撒いて1人で行くから」

「・・・・・・・・・・・・ぐっっ・・・・・・・・・・・・わ、解ったでござる・・・・・・・・・・・・」

「あらら。以外にあっさり趣旨替えしたね軍医の旦那」

「お館サマの命令、なんでしょ。アンタはしっかりわんこの面倒見なよ。俺ソッチ関係は手伝わないから」

「えー。少しくらい手伝ってくれても・・・・・・」

「手伝わないから」

「・・・・・・・・・・・・解ったよ・・・・・・・・・・・・」





あたしの妥協案に、渋々頷く2人。

ソレにあたしはうし、とひとつ頷いた。




 




 




 











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