今後どーするか、を話し合う為に開かれたハズの会合は、じじさまとあたしの背負う暗雲の所為で続きは明日、って事になった。 そんな凶悪オーラ出してたつもりはないんだけど。 まあでも、この先のお国の方向性について、なんてあたしには全く関係ない話だから、ココはさくっと青葉城帰ろう。小太んトコ戻ろう。うん。 |
日の本、真っ二つに判れる、の巻。 〜今まで一番懐かれてたのはあたしだったハズなのに・・・っ〜 |
――――――・・・・・・・・・・・・なーんて、思ってたのに。 「をいコラ、ヘタレたらしオカン」 「ちょっと待ってソレ俺様?俺様の事なの?ねえ?」 「何を今更当り前な事をいっつもヘタレてて色んなトコでたらし込んでて割烹着とおたまが似合うのこん中でてめぇ以外に誰がいるよ」 「ナニそのすっごい言われ様!?俺様ヘタレてないしたらしでもないし!?軍医の旦那の前で割烹着着た事もおたま持った事もないんですけど!?」 絶対零度の目で睥睨するも、オカンは気丈に言い返す。 「るっせぇ知らない間に人様の子誑かしやがってそんなヤツなんざヘタレたらしオカンで充分だ何が忍だ」 「ちょっ人聞きの悪い事言わないでよ誰も誑かしてないよってゆーか誰が誰の子!?」 ・・・・・・ほぉう。この状況でまぁだ口答えするか。 「だったらアンタの背中にびったり張り付いてるその子はナニ。」 「・・・・・・・・・・・・うっっ・・・・・・・・・・・・」 腕組み直しながら見下してやったら、やっとぐっっ、と口を閉ざした。 どうだ。言い返せまい。 じぃい〜、と睨め付けてると、オカンはあうーとか呻きながら目を泳がせる。 そのオカンの袖をぎうっと握り締め、おどおどとあたしを見上げてくるのは。 身体中包帯だらけの、紅い、髪。 「・・・・・・・・・・・・Ahー、あのな、。小太はお前が勢いで織田んトコに喧嘩売りに行かねぇかと心配してだな・・・・・・・・・・・・」 「・・・・・・・・・・・・わ、悪気はないのでござる。ですからそんなに佐助を責めないで・・・・・・・・・・・・」 あたしの後ろで、事の成り行きを見守ってたハズの2人から声が掛かる。 あたしはそんな、2人にちろんと視線を投げて。 「政宗、幸村」 「「・・・・・・・・・・・・は、はい」」 「黙ってな。つかテメェ等も他人事みたいに言ってんじゃないよ」 「「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・はい」」 すごすご。 いーのかこんなんが武将と忍で、とか思いつつ、引き下がった2人へのカミナリは後回し。 今は 「もーちょっと頑張ってよ旦那方!!」 って視線を2人に向けてたオカンと小太だ。 「俺言わなかったかな?お前絶対安静だって」 「・・・・・・・・・・・・ご、ごめん、なさい・・・・・・・・・・・・」 「傷は縫ったし増血剤とかしこたま飲ませたけど。絶対的に血ぃ足りてないし何時傷口開くか解らないから布団から出ちゃダメだって、言わなかったかな?」 「・・・・・・・・・・・・ゆ、ゆった・・・・・・・・・・・・せんせ、い、ちゃんとゆった・・・・・・・・・・・・」 「団子くれる人全部が善人だとは限らないんだから、ほいほい懐いちゃいけませんって言わなかったかな。あれ、ソレとも言ったつもりになってて言ってなかったっけ?」 「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・そ、それも、こた、ちゃんと、きいた・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」 あたしの言葉に、小太はしゅーん、と項垂れる。 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・くっっ!!そんな姿を見せてもダメだ!! ソレしきで、今のあたしが絆されると思うにゃよ!? 「アンタもアンタだ、佐助。アンタ小太の傷がどんだけのモンか知ってるだろ。他でも無い、アンタが小太を俺んトコに連れてきたんだから」 「・・・・・・・・・・・・はい、知ってます・・・・・・・・・・・・」 「じゃあ何でこんな無茶させたの。奥州から相模までどんだけあると思ってんの」 「・・・・・・・・・・・・そ、それは・・・・・・・・・・・・」 「もし小太に追手が掛かってて、ソレに鉢合わせたりしたらどうするつもりだったの。重傷人抱えて無傷でそいつ等の相手出来るの」 あたしの言葉に、オカンの目がすぅ、と細められた。 見上げてくる視線は、険呑。 「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・あのね軍医の旦那。俺様こー見えて腕は確かよ?真田忍軍の忍頭張ってんのよ?ソレくらい――――――」 「俺は無傷で、って言ったんだ」 「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・っっ」 嘗めるな、と言外に言ってる視線から目を逸らさずに、遮った。 その言葉に、オカンは、は、と目を瞠る。 「アンタの腕なんざ知ってる。好状態の小太相手に5分の勝負出来るくらいの実力があるって事くらい解る」 「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」 「ソレを踏まえた上で。アンタは重傷人の小太にコレ以上の傷を負わせる事無く、自分自身も無傷のままで、確実に追手を振り切れんのかって聞いてんだよ」 オカンは唇を噛んで俯いた。 ――――――断言できるワケないわな、そりゃ。 追手がしょぼくても、数で来られたら?少人数でも、凄腕だったら? ありとあらゆる可能性考えたら、無傷で、なんてパーセンテージ低いんだよコンニャロウ。 「つか、普通黙ってるか?てめぇの部下が小太担いで来てんだぞ。主治医から患者隠そうとするってどーなんだよ幸村」 「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・うっ」 「んで?俺が奥州戻る前に小太帰したら丸く収まるとでも?ソレで本当に俺が気付かないと思ったのか政宗」 「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ぐっ」 じとー、っとオカンを見下ろし続けながら、次の矛先は後ろで縮こまってる主共。 てしてしてし、なんて右足でイラついたリズムを刻みながら。 ずぅん、と重い怒りの空気の中、一番最初に動いたのは小太だった。 「・・・・・・・・・・・・さすけ、わるく、ない・・・・・・・・・・・・」 ぎゅう、と佐助の腕に縋り付いて。 「・・・・・・・・・・・・まさむね、さまも、ゆきむら、さまも、わるく、ない・・・・・・・・・・・・わるい、の、こた、だから・・・・・・・・・・・・」 うるうるうる、から。ぼろぼろぼろ、と泣き出して。 「うわっ、ちょっ、ここここ小太!?」 「こた、が、こたが、ぜんぶ、わるい・・・・・・っ、ごめ、なさ・・・・・・からっ、さすけっ、おこら、ないでぇっ」 びえぇぇええ、と。とうとう本泣きし出した小太に、オカンがわたわた慌てて、筆頭さんとわんこがあたふたと駆け寄る。 小太はわんこに頭撫でられ筆頭さんに背中擦られ、オカンの胸元に顔を埋めて、びーびー子供みたいに泣いたまんま。 「――――――・・・・・・・・・・・・あー。はいはい。解った。解りましたよ、もう怒らない」 降参、と組んでた両手を解いて溜息混じりに零したら、筆頭さんとわんこがぱちくり、とあたしを見た。 イヤだってこんだけ泣かれたら、怒る気も削がれるって。 でも釘はちゃんと刺しとく。うん。 「ただし、次やったらすんごいオシオキするよ?」 にぃっこり。て笑いながら言ったら、4人が4人とも一瞬びたぁっっ!!と動きを止めて。ソレからコクコクとイキオイ良く首を縦に振った。 ・・・・・・・・・・・・つか。さっきオカン小太の事名前で呼んだよね。 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・一体何時の間にそんなに懐かれたんだやっぱ餌付けかそうなのか? ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・あ。やばいなんかまたムカついてきた。 「取り敢えず、アンタ等今からじじさまんトコ行ってきな」 「え。な、何故でござるか」 「今行ったら絶対ぇあのじじい説教するじゃねぇか、」 「怒られて来いっつってんだよ俺は――――――じじさまだって俺と同じくらい、いやソレ以上に小太の事心配してんだからな。説教の3時間くらい甘んじて受けろや?」 再び、にぃっこり。 「解った?」 って聞けば、これまた再び4人は固まって、ぶんぶんと首を縦に振る。 うし。素直でよろしい。 じゃ、と片手をひらひらさせながら、あたしはすぱぁん!!と襖を開ける。 ソコにはお色気ねーさんがいて、びくぅ!!と身体を竦ませた。 「ねーさん聞いてたよね?コイツ等の事見張ってて。ちゃんとじじさまんトコ行ったかどーか、後で聞くから」 「あ、ああ。解った・・・・・・・・・・・・って、お前は何処へ行くんだ?」 心成しか引き攣ってる笑みで訊ねてきたねーさんに、あたしはん?と首を傾げる。 そして。 「ああ。何かムカツキ収まんないからちょっと魔王んトコの変態ボコッてストレス発散してくる」 「「「「「ソレだけは止めてぇえええ!!」」」」」 |
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