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助けを求めてちろんと視線をやった先。右目さんは自業自得だ、って顔に書いてあった。

んじゃあ襖の向こうのお方々に・・・・・・って思ったら、ちゃんと怒られてね~って手を振るおかんとビミョーに目を逸らし続ける残り3名。

・・・・・・・・・・・・うん。やっぱダメですか。




 




 




 






軍医、過去を思い出す、の巻。

~考えるより手が先に出たのって、初めてです。~





 




 




 




 
「その辺にしといてやってくれんかの、独眼竜よ」





こりゃハラ括って筆頭さんのカミナリ受けるしかないかーって思ってた矢先。

第3者のセリフに、あたしはバッと頭を上げた。

つかこの声ってもしかして!?





「北条のじじさま!?」

「ほうほう。漸く目覚められたか世癒殿。気分はどうじゃ?痛む処などは無いかの?」

「あ。はい大丈夫で・・・・・・って何でじじさまココにいんの!?じゃない、いるんですか!?」

「何で、と言われてものう。此処はワシの城じゃからのう」

「ってええ!?じゃあココ小田原!?」

「左様」





え?ええ?何で??

アレから何日経ってるかは解んないけど、あたしがばたんきゅーしたのって、確か川中島だったよね。

まあ相模は筆頭さんに下ったから、奥州帰るよりは近いけど・・・・・・あそこから一番近いのって多分、越後じゃなかったっけ・・・・・・?

もしくは甲斐。

だってさっきあたし達を見捨ててくれたおかんとわんこは甲斐の人間っしょ?

ねーちゃん越後の人間っしょ?

ココが小田原だったら、何であの人達までココにいんの。奥州に下った相模は敵国っしょ?





「このちがいちばんじょうけんにあっていたのですよ」

「うむ。甲斐でも越後でも無く、奥州に下りはしたが自治を認められた此処相模がの」

「それに、このちはほかにくらべあまりきがにごっていないのです。とらがみさまのようじょうにも、とてもよいのですよ」

「近くに鷹神様の森もあるしのう」





うわっとう!?誰が出てきたかと思ったら軍神に甲斐の虎!?

つかソレどーゆー意味っすかちょっとまだ解んないんだけど。

「Ah-、北条のじーさまにご意見番に立ってもらったんだよ」

首を傾げたあたしに、筆頭さんがガシガシ頭を掻きながら口を開いた。





「あの後流れ的に同盟の話になってな。虎神を養生させねぇといけなかったし。色々考えて、ココが一番だと思ったんだ」

「まあ確かにのう。じゃが突然の訪問で、手負いの土地神様まで連れてきおって。こっちは寿命が5年は縮まったわい」

「・・・・・・・・・・・・だぁから、ソレは悪かったっつってるだろ」





横から突いてきたじじさまの声に、筆頭さんはビミョーに視線を外してぼそぼそ謝る。

・・・・・・・・・・・・うん。じじさまの気持ち、解らんでもない。

子猫が怪我してるのを拾ってきた、てレベルじゃないもんね。





「しかも世癒殿まで昏睡状態になっておるとは。爺は生きた心地がせんかったぞ」

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・あう。今度の矛先あたしですか。

「・・・・・・ご心配をお掛けしてすみません・・・・・・」





しゅーん、としながらじじさまに頭を下げる。

そんなあたしに、影が差した。

ちろん、と見上げてみれば。





「・・・・・・いや。世癒殿が謝る事では無い。此度の責は、ワシにある」

お館様がぽむ、とあたしの頭に手を置いた。

「半年程前だったか。織田と事を構えた時に、森をひとつ焼いた。甲斐の外れの、森よ」

なでり、なでりと。柔らかく動く。その手に声の震動が響いてくる。

「ワシの起こした戦が虎神様の住処を焼いた。ワシが、虎神様を祟り神へと、堕としたのだ」





――――――タタリガミヘト、オトシ タ。





ばきぃっっ!!

「――――――世癒っっ!?」

「せんせい!?」





気が付けば、あたしはお館様を殴り飛ばしてた。

思いっきり体重乗せていったから、お館様は盛大に吹っ飛んで襖と一緒に廊下に転がって。

「おっ、お館様!?行き成り何をされるのだ世癒殿!?」

わんこが慌ててお館様を助け起こしながら、ギンッとあたしを睨み付ける。

ちきり、とオカンがあたしの首筋に苦無を突き付けた。





「おい猿!!テメェ眞神に何向けてやがる!?」

「何って言われてもねぇ。ウチの大将に手を上げたんだから、トーゼンでしょ?」

声を荒げる右目さんに、緩い声のトーンだけど目は笑ってないオカン。





筆頭さんと小太は殺気だらっだら。

じじさまと風来坊とねーちゃんはおろおろ。

軍神さんは・・・・・・何考えてんのか解んないけど。





あたしは、一気に頭に昇ってしまった血を下げる為にも、首に突き付けられた苦無の刃の部分を。

ぐ、と掴んだ。




 





 




 




 






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