流石は世界に名立たる武将、と申しませうか。 傷のひとつも負わずに、筆頭さん達はばっさばっさと襲い掛かってくる獣や屍肉喰らいを倒していく。 ――――――汚れた白いカタマリまで、もう少し。 |
禍神、現る、の巻。 ~紅いのと迷彩とぴちぴちボディスーツ見つけました。~ |
二丁の拳銃を撃つ。がんがん撃ちまくる。 ――――――調子が悪い。 息をするのがつらい。集中力が長続きしない。錘をつけたみたいに、身体がだるい。 血の匂いや死体もだけど、一番の原因はいよいよ濃くなってきた瘴気の所為だ。 たぶん、あたしも瘴気に侵されてきてる。 あんまりにも濃いもんだから、頭くらくらしてきた。 「大丈夫かい、先生!?」 「Giving upにゃまだ早ぇんじゃねぇか、!!」 狂った獣を吹き飛ばし、屍肉喰らいを切り捨てながら、風来坊と筆頭さんの激が飛んで。 「!政宗様!前方に!!」 「Ah!?って、アイツは――――――!!」 腹心さんの声に前を見た筆頭さんが、瞠目した。 ソコには、満身創痍でボディスーツみたいな服着た金髪の女性を庇ってる。 紅い服と、迷彩服。 ――――――だからっっ、獣の数が、多過ぎるんだって!! 「降臨しろ光の衣!!」 『力有る言葉』 を思わず紡いだ。 途端、本当に天から降りてきた様に、光の壁が3人を包んで。 「風よ此処から吹き荒れろ!!」 一拍も置かずに、あたしはその壁に突進した形になってぶつかった獣達を、風で吹っ飛ばす。 驚いて固まった筆頭さんはじめその他モロモロなんて無視だ、無視。 駆けるあたしはそのまま3人の前に躍り出て。 拳銃持ったままの右手をポーチに突っ込んで、ずるりと 『舞扇』 を引き摺り出した。 そしてその 『舞扇』 を、勢い良く地面に突き立てる!! 「怒れ大地に住まう幾万の魂!!応え無き蹂躙、独裁を許す事無く――――――貫け!!」 大地が、揺れた。 『舞扇』 をぶっ刺したトコロから、割れる様に地面が鋭く突起となって、獣達を次々に刺し貫く。 「おぬしは――――――!?」 「っな、何者だ貴様!?」 「・・・・・・見ない風体だね・・・・・・武田でも、上杉でも」 戸惑う様な声がすぐ後ろから聞こえる。 ちゃき、と。金属音が鳴った。 「おいおい、命の恩人に対して武器をむけるたぁ、てめぇの部下は躾がなってねぇんじゃねーのか、Ah?真田幸村」 「!?ま、政宗殿!?慶次殿まで!?」 更に後ろから飛んできた筆頭さんの声に、どこもかしこも紅だらけの青年がバッ!!と後ろを振り返る。 ・・・・・・・・・・・・そーかこの人がやっぱ、あの。 日々お館様と殴り愛を振り広げるという、世界一熱い師弟の片割れ。 「な、何故奥州の竜が此処に!?」 「Ah、この戦に覇王が横槍入れるってぇ情報を掴んでな。どーせなら、3国いっぺんに下しちまおうと」 「何だと!?謙信さまが貴様如きに破られるワケないだろう!!」 「っ、てめぇ女!!政宗様に向かって如きとは何だ如きとは!!」 「あ~ちょっとちょっと。かすがも右目の旦那も落ち着いて落ち着いて。今どんな状況か解ってる?」 ・・・・・・・・・・・・うん。いくら主大好きだからって、2人とも時と場所と場合を考えて欲しいな。 にしても、話に聞いてた通りホントにオカンみたいだね迷彩。 「にしても、こりゃ一体どういう事だ真田幸村」 「某も、良く解っておらぬのでござるが・・・・・・」 「引き寄せられたんだろうよ」 がうん、と。屍肉喰らいの頭をふっ飛ばしながら、ポツリと零す。 その銃声に、皆がハッとして襲い掛かってこようとするヤツ等に対峙した。 そんな中、あたしの背後に、すすす、と気配が近寄ってくる。 「さっきは助けてくれてありがとね。にしても、見た事ない術――――――あんた、ドコの忍?」 「Ha、はウチの軍医だ。忍じゃねぇ」 「何と、軍医殿とな!?こんなにお強いのに!!」 「・・・・・・・・・・・・もしかして、独眼竜が異国から引き抜いてきたとかいう、あの?」 「そうそう。今巷で話題の竜爪の舞姫・・・・・・って!!ごめんもう言わないから俺撃たないで!!」 ワザと風来坊の頬すれすれの軌道を撃って後ろの獣を撃ち落としたら、風来坊はバタバタと慌てて後じさる。 ソレを見ていた周りの人達が。 「・・・・・・・・・・・・こ、怖いでござるな・・・・・・・・・・・・」 「・・・・・・・・・・・・Ah、無言なのが特にな・・・・・・・・・・・・」 「・・・・・・・・・・・・せんせい、おこる。ようしゃ、なくなる。」 「・・・・・・・・・・・・おい、猿。あまりアイツを怒らせるなよ」 「・・・・・・・・・・・・うん肝に命じとく・・・・・・・・・・・・って何でソレを俺様に言うかな右目の旦那」 「・・・・・・・・・・・・お前ならやりそうだからだ・・・・・・・・・・・・私も、気を付けねばならないな」 なんて事を小声で言ってるけど、あたしは全部無視をした。 |
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