肩で息をしているリーゼントさんの後を追ってきた様に、小さな風。 気付いたソレに、ふ、と顔を空に向けて。 あたしは、眉をひそめた。 |
風来坊、嵐を持ってくる、の巻。 ~原色ってけっこー目にクるよね。~ |
「見てくる」 「あ?おい!?ちょ、待て!!」 言うやいなや、あたしは右目さんの声も聞かずに縁側から降りて草履を引っ掛け、着流しの裾を引き上げて走り出す。 え?はしたない?だいじょーぶちゃんと下に7分丈のズボン穿いてるから! ちなみにTシャツも着てます。もー着物の下に服着込んでます。 いやだって帯なんて何時ほどけるか解らんし着流しで塀飛び越えたり屋根の上走ったりってけっこー動き難いし。 たんっ、と地面を蹴って屋根に乗る。 ココから城門前って、迂回しなきゃいけないから近道近道。 で、しばらく走ると見えてきました。城門。 「おー・・・・・・まぢでやってんねぇ」 原作通り赤色やら黄色やらの原色多可で、頭に羽根ぶっ刺した、ポニーテールのにーさんが、楽しそーうにでっかい刀振り回してる。 あーあー。ふっ飛ばされてるよリーゼントさん達。 の方が教えるの上手なんだけどなぁ・・・・・・明日あたりからちょっとお稽古見てあげよっかな。何回か言われてるし。ヒマだし。 あたしはたたんっ、と屋根から降りながら、ギャキッ、とポーチから拳銃を出す。 なんか最近コレばっか使ってるよーな気もしますが・・・・・・楽ちんなんだよ文句あっかこんちくせう!! そして、身体を低くしてリーゼントさん達の合間を縫う様に走りながら、照準を原色にーさんに合わせて、ガンッと撃った。 あ。にーさん気付いた!!死角から狙った麻痺弾だったのに!! ええっ!?しかもあたしロックオンされた!? ちょ、なんで突進してくんのコッチに!! あたしは即効で持ってた拳銃をポーチに突っ込み、代わりに『舞扇』をずるりと引き出して。 左手に持ち替えたと同時に、振り下ろされてきた大刀をガキィン!!と受け止める。 そしてもっかいポーチに手を突っ込んで、引き摺り出したもう1本の『舞扇』をがらんどうな胴に一閃させた!! ――――――ああっっ。避けるなよせっかくクリィンヒット間違いなしだったのに!! 「・・・・・・あ、あっぶね・・・・・・」 だらだらとイヤな汗を流すにーさんだけど、思ってた手応えがなくなってあたしはちょっとご機嫌ナナメ。 「――――――ちっ、当たれば良かったのに」 「いやいやいや!!怖いコト言わないでよ銀髪のお兄さん!!そんなので腹ばっさりヤられちゃったら死んじゃうよ!?」 うんまあそのとーりなんだども。 「安心しな。殺す気は無いし、もし死にそうになってもちゃんと治療してやるから」 宣言したら、にーさんはなんかハッとしたみたいな顔であたしを凝視した。 ・・・・・・・・・・・・いやん。そんな見詰めちゃはずかしん。 「・・・・・・治療、って・・・・・・そうか、あんたが噂の軍医殿か。いやいや、こりゃまた噂に違わずえっらい別嬪さ・・・・・・」 ガゥン!! 「誰が、何だって?ん?」 みなまで言わせずカミワザ的に拳銃を抜いて、にぃっこりvvと笑ってやったら。 にーさんも周りのリーゼントさん達も、ざあっっ!!と血の気の引いた顔で固まった。 「・・・・・・Ahー、。その辺で勘弁してやれ」 「・・・・・・・・・・・・せんせい、おこら、ないで・・・・・・・・・・・・?」 およ? 振り返る。 ソコにいたのは、苦笑しながら腕を組んでる筆頭さんと、筆頭さんの後ろから顔をひょっこり出してる小太。 んで、さっきのあたしを見ちゃったのか、ちょこっと顔色の悪い右目さんとぱたぱた尻尾を振ってる牙だった。 「・・・・・・・・・・・・命拾いしたな」 あたしはちろん、と原色にーさんを流し見て、拳銃をポーチにしまう。 途端、原色にーさんは空気が抜けた様にへなへな~と座り込んだ。 へん。軟弱め。 「Hey、大丈夫かよ風来坊?」 「~~~~っはー。あはは、まあね。恩に着るよ独眼竜」 ありゃ?この2人顔見知り? 「知り合いなのか、政宗?」 「Yes。前田の風来坊だ」 「いやいやいやいや。ソレじゃ風来坊が名前みたいじゃないか。俺は慶次。前田慶次ってんだ。宜しくべっぴ・・・・・・じゃなくて先生!!」 ちゃきっ、と再び拳銃を引っ張り出したあたしに、原色にーさんは慌てて言い直す。 そんなにーさんに、あたしは1度でっかく溜息を吐いて。 「・・・・・・で、その風来坊前田慶次とやらが、一体なんでこんなトコで立ち回りしてたの」 うろんな目付きで見たら、にーさんはあはは~と笑った。 「ん?いやね、近くまで来たから独眼竜に挨拶しようと・・・・・・ついでに今巷で話題の、奥州の軍医殿とやらを一目拝めれば言う事無しかな、なんて」 がぅん!! あたしは有無をいわさず引き鉄を引いた。 ・・・・・・・・・・・・ちっ、避けやがったよこんにゃろう。 |
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