着なれない着物に腕を通した次は、筆頭さんに部屋に案内されてゆっくり休む事に。

数日ぶりの布団だったからもーじっくり堪能させていただきました。

・・・・・・・・・・・・惰眠好きなあたしが起きられないのも仕方ないと思うよ、うん。




 




 




 






不審者、お城へ招待される、の巻。

〜惰眠はサイコウの贅沢なのですよ。〜





 




 




 




 
「・・・・・・おい」





さらさらと、髪を梳かれる感触。

耳が拾った静かな低い声は、心地良い。

「・・・・・・・・・・・・ん」

もぞり、と。撫でてくれる手の方向に寝返りを打ってに近付く。

そしたら、近くにあった気配が小さな笑みを漏らした、気がした。





「・・・・・・おい、もう昼過ぎ・・・・・・どころか夕刻だぞ?何時まで寝てんだ?」

んーだってだって。

ケガ人なんて拾っちゃったせいでちょっと気ぃ疲れちゃったし。

馬なんて乗ったのぢつは初めてであらぬトコロがびみょーに痛かったりするし。

だから、だからね。

「・・・・・・・・・・・・もう、少し・・・・・・」

この夢うつつなまったりタイムを堪能させて?





半分以上眠ったまま、あたしはにお願いしてみる。

いつもならココで、 「しょうがないなぁ」 なんて苦笑と一緒にもういっかい頭を撫でてくれるんだけど。

あたしの髪を梳いて、頬を撫でていた手は、ぴたり、と止まっていた。

しかも。





「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・てめぇイイ加減起きろっつってんだろーが!!!」





イキナリでっかい声で怒鳴られて、びくぅっっ!!と肩が跳ねた。

開けるのも億劫だったはずの目もぱっちりさ!





ピントのずれてた視界が、徐々に焦点が戻ってきてクリアになる。

ぱちくり、とひとつ瞬きをした。

んで、くるり、と周囲を見渡すと。





「――――――・・・・・・・・・・・・れ?奥州筆頭?」





あれ、は?

ほけ、と呼んだあたしに、筆頭さんはぶっすぅ。ってした顔でおう、と応えてくる。

つか何でこの人ココにいるんだってああそうかココこの人のお城だったそーだった。

――――――てトコまで思い出して、よーやく頭が現状に追いついてきた。





そうだ。

は、今。

あたしの傍に、いないんだ。





・・・・・・・・・・・・いぃーやぁーしっぱいしっぱいぃー。

なんか撫で方がに似てたから間違えちったぁー。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・つか寝てる時頭撫でられると安心してぐっすり寝れるって一体いくつのオコサマですかあたし。

なんてちょっぴしハズカシイ気持ちになりながら、のっそりと上体を起こす。





で、胡坐をかいて座ってる筆頭さんに目を向けて。

・・・・・・・・・・・・つかこの人、ホントに何でココにいんの?

いやまあ 「ココは俺の城だ。何か文句あるか」なんて巻き舌で言われようものなら返答も出来んのですけども。

でもこの人城主だし――――――ソレに。





「――――――動いて、大丈夫なのアンタ」

たかだか数日で完治する様な小さな怪我じゃなかった。

矢の傷は深かったし、腹の傷なんてあたし滅多に使わない「記憶」引きずり出して四苦八苦しながら縫ったんだよ?

本来なら絶対安静モノのハズ。





だけど筆頭さんは、つい先日そんな大ケガ負ったとは思えないくらいのにっかりとした笑みで。

「No problem。あんたの手当てのお陰だ。Doctorが唸ってたぜ?Expartでも舌巻くくれぇPerfectionだってな」

・・・・・・・・・・・・いやんそんなに褒めちゃ。

「しかもたった2・3日しか経ってねぇのに、普通に動けるくらいにまで傷塞がってるしよ。腹の傷なんざ、明日にゃ抜糸も可能ときたもんだ!」

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・あー。やっぱあたし特製初級回復魔術とおんなじ効力の傷薬は使わない方が良かったんかな。

「Beastと会話するかと思や、忍もLosingな身のこなし。着物の着方は知らねぇのに、医術には精通してやがる・・・・・・あんた、本当に一体何者だ?」





・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ってやっぱりソコに行きつくワケね。




 




 




 











<<バック                    ネクスト>>
<<バック トゥ トップ>>