腹心さんの反応に、すこぅしだけるーるるーな気分になりながら、ぺたぺたと脱衣所に向かう。

てゆーか腹心さん出入り口に突っ立ってたら邪魔なんですけども。

ソレはアレ?あたしに湯冷めして風邪ひきやがれ、って意味?




 




 




 






不審者、お城へ招待される、の巻。

〜着物なんて着た事ないさ。〜





 




 




 




 
「――――――どいてくれない?」

「すっ、すまねぇ!!」

「っっ、Sorry!!」





まぁさかね〜、なんて思いながらお伺いを立ててみたら、すっごいイキオイでずざざっっ!!と引かれた。

てゆーか何で筆頭さんまで謝るの?





はてな?と首を傾げながらも、湯冷めするのはイヤだから手早く身体を拭いていく。

ソレから、服を着ようと籠に手を伸ばして・・・・・・

「・・・・・・俺の、ポーチは」

血で汚れちゃったのは多分洗ってくれてるんだろーなーとは思うんだけど。

何でポーチもないの???





くりん、と後ろにいる2人に聞いてみる。

けど筆頭さんと腹心さんは、何故かあたしを見たまま固まってた。

「――――――おーい?」

訝しげ〜に見ながらもうひと声。

そしたら2人はばったばた慌てながらぐりん!!と首をあさっての方向へ向けた。





「ぽっ、ぽぽぽぽぉち!?――――――ああ、Porch、ポシェット、巾着袋か!」

「そっ、それならっ、あんたが着ていた着物といっしょに、洗ってる最中だ!!」





・・・・・・・・・・・・え。まぢ。

がーんっ。あの中にあたしの着替え入ってんのにっ。

腹心さん着替え用意してくれてアリガトウだけど、着物なんて着た事ないよっ。

どーしよう・・・・・・





ぬーん、と考え込んでると、ばたばたと腹心さんが籠に入ってた着物をびらっと取り出す。

「とっ、取り敢えずコレ着ろっ、いやっ、その前に下穿きをっ」

「――――――い、や・・・・・・けど、」

「だが何だっ!?」

何でこんな危機迫ってんだこの人?

いやいやじゃなくて。





「着方、解らない」





ぽつり、と漏らしたら、腹心さんも筆頭さんも再びピキンっと固まった。

・・・・・・・・・・・・はーずかすぅいー・・・・・・・・・・・・





「「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・は?」」

いや、2度も3度も言いたくはないのですが。

「だから、着方。解らない」

「「はぁあ!?」」

そ、そんな馬鹿にしたよーな声出さなくたっていーぢゃないか。くすん。





「What!?着方が解らねぇ!?」

「って、着物のか!?」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・悪いか」





ついーと視線を反らして、ポソッと一言。

ちょこっと拗ねたもの言いになってしまった。





そんなあたしの目の前で、2人は互いに顔を見合わせて。

「・・・・・・Ah〜、マジかよ・・・・・・」

「・・・・・・着物の着方も知らねぇなんて、あんた本当に何者だ・・・・・・?」

いやそんな溜息混じりに言われてもね?

「・・・・・・・・・・・・だから、只の旅人だって」

「「今日日物心着いたガキでも着物の着方なんざ知ってる」」





うわダブルパンチ。

いくらあたしでもヘコむよ?

てゆーかもうしゅーんてしてますが。





「・・・・・・仕方ないだろ。俺が今までいた国じゃ、アンタ達の格好の方が珍しいんだから」

すっかり落ち込んでぼやいてしまったあたしに、主従はこてん、と首を傾げる。

「あんたがいた、国?」

「Hey、ドコだよソレは?」

「海の向こう――――――あんた達の言う、異国、だよ」

いえ本当は異国どころか異界、なのですが。

「あんた、南蛮人か!」

「や、生まれはこっち。・・・・・・ただ、物心着いた時には、親に連れられて向こうに渡っていたけど」

詳しく説明するのもメンドーなので、ソレで納得してもらいませう。





そんなあたしに、筆頭さんとその腹心さんは、顔を見合わせ揃って溜息をもう1度。

「・・・・・・・・・・・・Hey、小十郎。ソレ貸せ」

「・・・・・・・・・・・・はい」

どっかぎこちなーくあたしから視線を逸らしながら、筆頭さんは籠を引き寄せ、腹心さんは持ってた着物を筆頭さんに渡す。

「・・・・・・・・・・・・着せてやるから、じっとしてろ」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・悪い」

迷惑掛けてホンットすみません。





するする、とまず白い布でフンドシ(!?)締められる。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・なんか、もー、ね、うん。

身体が男になってソレナリに経つし、色んな意味で馴れたけど。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・まさかフンドシ締める事になるとは思ってもみんかった。





「ほら、次はコレだ」

「・・・・・・・・・・・・ああ」

ふぁさり、と広げられた着物に、腕を通す。

筆頭さんは手際良くキレイに前を合わせ帯を締め、最後にぽんっ、とあたしの腰を叩いて。

「ほら、出来たぞ・・・・・・帯は、苦しくねぇか?」

「ああ、うん、大丈夫――――――有難う」





そんな筆頭さんにふ、と口元を緩めながらお礼を言ったら。

筆頭さんどころか、隣にいた腹心さんまで、固まった。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・何だいその反応まるであたしお礼言わない人みたいじゃないか、ふんっ。




 




 




 











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