で。あれよあれよとゆー間に時間は無慈悲にも過ぎて。 夜通し馬に揺られて日が変わっても歩き続けて、日もとっぷり暮れた頃に辿り着いた先はホンットーにお城だった。 ・・・・・・あたしお城っつったら姫路城しか見た事ないんだけど。月明りの下のこのお城もすっごいキレイでした。うん。 |
不審者、お城へ招待される、の巻。 〜お風呂にトツゲキされました!!〜 |
んで。 1番最初に案内されたのは、お風呂場だった。 何故か。服がけっこー汚れてたから。 しかも血で。 筆頭さんの手当てをした時に着いた、筆頭さんの血だ。 手に着いたのは川の水で洗い流したけど、服に染み着いちゃった分は、ね。 生地の色がシャツもズボンもオフホワイトだから、もー目立つ目立つ。 直ぐ様脱いで浸け置きして洗濯なんてヒマもなかったし。 ・・・・・・と合流したらしみ抜きしてもらおう。うん、そうしよう。 だって捨てるの勿体無い。この上下だけで数千万。 新しく買って念を付加させて、まだ数回しか袖を通してないのに捨てるなんて、少しどころかかなり勿体無い。 そんな事を考えつつ、まったり湯船に浸かって温まってたら。 「おい」 がらがらっと、引き戸を開けると同時に893なにーちゃん・・・・・・もとい、筆頭さんの腹心さんが顔を出してきてびっくりした。 思わず湯船に浸かったまま硬直してると、手拭いと着替えを籠に入れておく、とひっくい声。 あたしは何とか 「解った」 とだけ返した、んだ、けども・・・・・・ ・・・・・・・・・・・・ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・うん。なにゆえ腹心さんあたしの後頭部にぐさぐさ視線突き刺したまま動かないんでせうか? 「――――――まだ、何か?」 サスガにコレ以上の沈黙はちょっと・・・・・・って思って、振り返って聞いてみる。 したら腹心さんは、ぎょっとした様にあたしを見て。ソレからほのか〜に頬を赤に染めつつ、極まり悪そうに視線を彷徨わせた。 「・・・・・・・・・・・・この間は・・・・・・・・・・・・悪かった」 ほえ? 「政宗様を救ってくれたアンタに、刀を向けた・・・・・・本当に、済まなかった」 ・・・・・・・・・・・・ああ、そのコトね。 「・・・・・・・・・・・・別に、良いよ」 済んだ事だからもう気にもしてないです。 つか、アレはアレで正常な反応なんではないでせうか。腹心の部下にとっては。 てゆーかぶっちゃけ怒り続けるのも無駄に体力使うからもーしんどいから面倒だからどーでも。 吐息混じりに返したあたしに、腹心さんは更に顔を赤く染め片手で口元を覆いながらうろうろと視線を彷徨わせ続ける。 ・・・・・・・・・・・・まだ、何か言いたいんだろーかこの人。 あたしけっこー長いコト浸かってるから、そろそろ逆上せそうになってきてんですが。 じぃ、と待ってると、腹心さんは意を決した様にぎゅっと口元に持ってきてた手を握り、あたしに視線を・・・・・・あ、外した。 「――――――だが俺は、正直あんたを信じてねぇ」 いやいやいやいや。天井睨み付けながら言い出すセリフではないとあたし思うんですが。 「先日の無礼は詫びる。政宗様が迎え入れた客人だから、受け入れはする・・・・・・だが俺は、あんたを信用出来ねぇ」 うわおコレまた爽やかなくらいドきっぱりと。 つか。 「アンタまで信用したら此の軍は終わりだと俺は思うけどね」 人を見る目は、そりゃあの筆頭さんだって、コレでもか!ってなくらい養ってはいるんだろうけど。 でもやっぱ、落ち着きってゆーか思慮深さってゆーかが、足らない。 ・・・・・・まあ、良く言えば好奇心旺盛、なんだけどね。 「幾ら一国の主って言っても、アンタのご主人は未だ若い・・・・・・アンタが、疑ってかかるくらいで丁度良いんだよ」 まあ、そんなだからあの筆頭さん、何時も多少の無茶をやっちゃうんだろうけど。 苦笑と一緒に言えば、腹心さんはそんな事言われるなんて思ってもみなかったのか、目を丸くしてあたしを見る。 そんなに以外なコト言ったんだろーかあたし。 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・あ。つかやばいホント逆上せそう。 あたしはざばっと湯船から立ち上がる。冷たく感じる風が火照った身体に気持ちイイ。 ほう、と溜息ひとつ。 したら腹心さんはハッとしたよーに慌てて後ろを向いて―――――― 「Hey、何やってんだ小十――――――」 とか思ってたら脱衣所から筆頭さんの声。 「ま、政宗様!?」 なんか腹心さん声裏返ってない?ナニわたわた慌ててんだろ? ――――――ああ、もしかしてさっきの信用してない宣言? あたし告げ口なんてしないのに。くすんっ。 |
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