展示会は5日間。報酬は1人1億ジェニーで、全部で4億。

キルアとゴンの分も入ってて、あたしは慌ててソレはちょっとお断りしようとしたんだけど。

「折角の修行の最中に此方の我儘で呼び出してしまったのだし、この子達も警備に参加するんだろう?」

って言われて、結局ご好意に甘える事になった――――――け・ど。





「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・やっぱキルア達の分、返そうかなぁ」

思わず溜息。

「え?何でだよ。くれるってゆーんだからもらっとけばいーじゃん」

「キルアはそう言うけどね。こんならくらく〜な仕事で1人1億。どー考えても多いっしょ」





しかも、ヒマだからってゴンとキルアには瞑想やってもらってるし。

2日目と3日目に来た賊は、念を使えないゴンやキルアでも簡単にノックアウトできるくらいに雑魚だったし。





だけど、次に横から飛んできたのセリフにあたしはイヤンな予感がした。

「あの人蒐集家としてはかなり有名だし。場合によっちゃ少ないって俺は思うけどな」

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・何なのさ。その、バアイによっちゃ、ってのは。




 




 




 





 
ちょこっとだけ仕事を再開した日。




 




 




 





なんかイヤンな予感が消えないまま、4日目に突入。

・・・・・・いや、大丈夫だ。気にしすぎだよ気にしすぎ。

今日と明日を乗り切れば終わり。どーせやってくる賊さんも、1回目2回目とおんなじ雑魚だ。





そんな事を何度も何度も言い聞かせて。

隣接した警備室から展示室へと出て、室内の隅っこで円を広げてるに近付く。

「交代だ、黒猫」

「ああ、解った・・・・・・子供達は?」

「警備室に」

ついでに瞑想中、と思念で付け足せば、解った見てるよ、と返ってきた。





やっぱりモトの素質がイイ所為か、あのお子様達は呑み込みが早い。

どっちも、この数日でオーラが見える様になった。

今は自分のオーラを自分に吸着させる修行、纏に移行してる。

ゴンの骨折もそろそろギプスが取れそうだし。





警備室に引っ込んでくを見送って、さて、とあたしは円を広げた。





範囲としては、直径1キロくらい。この建物くらいなら、すっぽり収まる。

なんて規格外な、て最初は思ってたけど、なんかその気になればコレの3倍くらい広げられるし。

コレもあたし達の魂の影響なんだろうなぁ、って思ったら、考えるのも面倒になった。

・・・・・・・・・・・・まあ、でっかい分制御もムヅカシイのですが。

そんなあたしの念も、だいぶ安定してきましたよココ最近。





けどやっぱり、あたしにはエーテルを操る方が楽ってゆーか何てゆーか。

だから円は半分くらい縮小して、代わりにちっちゃく呪文を呟いて、探索の魔法のリーチーを建物いっぱいに広げる。

アーグの念とエーテルの持続系魔術を同時進行で使うのはちとキツイんだけどね。

コレも修行だ。あたしの。





ちらり、と時計を見上げた。

現在時刻は午後11時。今日の展示はとっくに終わった。あと1時間で日付も変わる。

このちょーしなら、雑魚さん達はもう来ないだろう。

今日も1日、平和でした。

残りあと1日、平和に過ぎますよーに。





なむなむ、と手を合わせてここ数日の間のお祈りを済ませる。

って、あたし無神論者なんだけどね。

まあ、困った時の神頼み、なんてお手軽なコトワザもある事だし。

様は気の持ちようです。





で。賊を感知する以外何もする事がなくなったあたしですが。

ただぽけーっと部屋の隅で突っ立ってんのも何だかなぁ、と、展示品を見て回る事に。

ショーケースの中には、今まで見た事ないモノがいっぱいだ。

破滅の呪いの念の込められたイエローダイヤとか。何かが憑いてる剣とか。





いえまあ、中にはイイのもあるんですよ?

祝福の杖。魔を払うエメラルドのでっかい原石。守護の念が込められたティアラ。えとせとらえとせとら。

でも、自殺した女の人の怨念が籠ってる指輪を見た時には、引きましたね力いっぱい。

・・・・・・・・・・・・てゆーか。なんであのハインさん、こんなヤバげなものまで蒐集してんだろう。





「・・・・・・コレクターってのはやっぱり良く分かんないや」

そんな事を零したって、おかしくないよね。

溜息吐いて、やっぱり部屋の隅で大人しくしてよう、と思った時だ。





ちり、と。脳内に警告。





――――――ちっ。探索魔術に何か引っ掛かった。

今日は平和に終わると思ってたのに。誰だこんのおバカさんどもは。あたしのお祈りが無駄になったぢゃないか。





イーッてなって地団駄踏みたくなったのもつかの間。

あたしは素早く警備室へ。

、ゴン、キルア。お客さんだ」

ドアを開けてきょとん、とした感じの3人に向かって言ったら、直ぐに背筋を伸ばしてこくりと頷く。

――――――さあ。今度はどうやってお引き取り願おうか。




 




 




 










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