リングから降りて、出入り口付近の壁際に陣取ったあたしは、ちらん、と掲示板を見る。
・・・・・・うん。あたしvsの試合を除けば、原作通り見事に偏った不公平だらけのトーナメントだ。
次の試合はゴンvsハゲ・・・・・・いやいや、ハンゾー。
んで、負けた方がと戦う、と。
原作通りなら、と当たるのはつるっぱ・・・・・・いやいやいや、ハンゾー。
でも、あたし達っていうイレギュラーがいるんだ。ゴンが負けるっていうイレギュラーもありえなくはない。
もしそうなったら・・・・・・
とか思ってたけど、やっぱりゴンが粘り勝ちした。
・・・・・・・・・・・・見るも無残なくらいぼっこぼこだけどね。
「」
「解ってる。ちゃんとゴンの受けたダメージ100倍にして返してやるさ」
おう。期待してるよ。
最終試験に臨んだ日。
「第3試合、始め!!」
「まいった!!」
開始からコンマも経たずにハゲゾー(もう言い直すのもメンドいからいーやコレで)が降参してきやがった。
・・・・・・・・・・・・ちっ、根性のない。
舌打ちしたら、隣にいたキルアも一緒になって舌打ちしてた。
「ちぇっ。に100倍返しされれば良かったのに」
しかもぼそっと呟いた。
だからあたしもぼそっと返す。
「だよな。ボコられれば良かったのにな」
ハタで聞いてたレオリオとクラピカが、ちょっと顔を引き攣らせて苦笑した。
あ。ハゲ(うんあんなのもうハゲでじゅーぶんだ)の顔色青くなった。
ああら聞こえてました?それはごめんなさいねぇ。
けっ、とか思いながらリング上を見てると、審判が高らかにの勝利を宣言した。
・・・・・・・・・・・・こんな勝利の仕方もヤだな、なんか。
が面白くなさそーにハゲを一瞥して、リングを降りてコッチへ来る。
「・・・・・・・・・・・・何だか不完全燃焼って感じだ」
「まあ、しょーがないさ。根性無しだったんだから」
「諦めて合格喜んだら?ヘタレなアレは忘れてさ」
あたしとキルアはもー言いたい放題。
なんかハゲが向こうでぷるぷるしてるけど無視だ、ムシ。
「で、次は誰と誰だっけ?」
聞いてみたら、一瞬しん、となった。
「・・・・・・・・・・・・次は、私だ」
うわおクラピカいきなり鎮痛だね。
とか思って掲示板を確認してみたら。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・うん。わかるよその気持ち。
「・・・・・・・・・・・・あー。まあ、アイツも一応試験受けに来てるんだし。」
「・・・・・・・・・・・・ルール上、殺される事はないだろうから、頑張れよ。」
と2人してぽん、と慰めるみたいに肩を叩いて、無事を祈って送り出してやる。
まあ、原作ではこの試合。さくっと終わってしかもクラピカ勝利なんだけどね。
んで。やっぱりさくっとピエロの投了で終わった。
この後の展開は、もうホントに原作通りだ。
ハゲとポックルの試合。
今度こそボコられればイイのに・・・・・・とか思ってても、ポックルの得手は弓。
さくっとハゲの勝利で終わった。
その次のポドロさんとピエロの試合。
ある程度獲物を甚振って満足した変態の勝利。
レオリオとあたしが傷の手当てに参加・・・・・・そーいやあたしあの薬まだ持ってたっけ?・・・・・・あったら後でポドロさんに渡しておこう。
キルアとポックルの試合は危なげもなく見る事ができました。
vsハゲの試合の次に、早く終わったかもしんない。
やっぱポックルの弓はね・・・・・・戦いたいんだもんねキルア。向いてないよねこーゆー時。
さくっとココで勝っとけばイイのにキルア。
次はレオリオとポドロさんの試合だったけど。
やっぱりお人好しのレオリオは原作と同じ様にオトコマエな事言って、試合を延期した。
――――――・・・・・・・・・・・・とうとう、次、だ。
あたしはきゅ、と組んでいた腕に力を込めた。
ホントに原作通り。
あたし達っていうイレギュラーがいるのに、原作まんまの状態が目の前にある。
コレも、世界意志なんだろうか。ゴンが前の試験で、ヒソカのプレートをターゲットにした様に。コレも。
「じゃ、行ってくる」
「キルア」
リングに向かおうとしたキルアをが呼び止めた。
何?って振り向くキルアに、悪戯っ子みたいな笑みを向けて・・・・・・ナニ。何を言おうとしてんの。
「次はちゃんとまともに戦えそう?」
「うん。多分」
「勝てそう?」
「・・・・・・・・・・・・勝つよ。決まってんだろ?」
ちろん、とを見て言い切ったキルアに、ひとつ頷く――――――そして。
「その気持ち、忘れんな?――――――想いは、時に何者をも凌駕する力になるんだから」
「うん――――――わかってる」
の言葉に、頷き返したキルアがリングを見据える。
その横顔に乗せるのは、明らかな決意だった。
気を抜いてるのでもかったるそうにしてるのでも、相手を格下だと見縊っているのでもない。
全力で、勝ちを取りに行く。そんな目だった。
ソレは、そう、まるで――――――まるで、相手の正体が、解っているかの様な。
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