満足!!ってオーラを全身から迸らせると。

ずーん、と落ち込んで座り込むあたし。





「・・・・・・ちくしょう・・・・・今日こそは、って思ったのに・・・・・・」

「まだまだツメが甘いんだよはvv」

「・・・・・・・・・・・・ちーくーせーうー・・・・・・・・・・・・」

笑顔で言われて、いじいじと地面にのの字を書く。





「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・あのー。ソレで、勝者は、という事でよろしいですか?」

「「あ。」」





そろーりと掛けられた審判さんの声に、あたしとの声がハモる。

――――――・・・・・・・・・・・・そーだった忘れてた。今、試験の真っ最中でしたよ。




 




 




 





 
最終試験に臨んだ日。




 




 




 




 
そろそろ~、と周囲を見回してみると・・・・・・・・・・・・・・・・・・コ、コワイです。みなさん。





じーさま何時ものあの「ほっほっほ」だけど目ぇ鋭いし!!

ハリセンボンすっごい凝視だし!!

何より怖いのは視界に入れるのもおぞましいブキミな笑みを浮かべたピエロ!!





「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・しくった。つい何時もの手合わせな雰囲気でやってしまった」

あーあーと溜息混じりに呟くのセリフが耳にイタイ。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・うんビミョーにあたし避難してるよねソレ。

はいはいっ。ついカッときて術使っちゃったあたしが悪ぅございました!!





「――――――・・・・・・・・・・・・で、敗者はでよろしいですね?」

「あ。ソレは逆でお願いします。」

「は?」

「俺降参。まいった」





・・・・・・・・・・・・はあ?

呆けたのは何もあたしだけじゃない。審判さんも年長者組もお子様組もその他モロモロもだ。

じーさまとピエロはおや、って顔したし。ハリセンボンはアレだから顔色とかわかんないけど。





、何で」

「いやだってツメが甘いから」

「ソレはナニ!?俺が残ったら負けるって言いたいワケ!?試験落ちるって言いたいワケ!?」

「口調砕けてるぞ」

「さっきあんだけ喚きまくったのに今更猫なんか被ってられっか!!恥ずかしい!!――――――こらソコ笑うなキルア、ゴン!!」

「で、でも、だって・・・・・・っっ」

「い、今までと、すっげぇギャップ・・・・・・っっ」





びしぃっっ!!と指まで指して怒ったのに、口元抑え腹抱え、お子様組はぐふぐふあははは。

・・・・・・・・・・・・あ。なんかレオリオまで。ちょっとクラピカ。何肩震わせながら顔背けてんの。

「さすが、ハンター志望動機がホテル代無料と就職活動の為と豪語するだけあるわい」

――――――ゴタゴタに紛れて何ペロっと言ってんですかじーさま!?!?

しかもなんなんですかこの大爆笑の嵐!!





「何だよ必要だろ生きてく為には衣食住が!?ソレには仕事してお金稼がなきゃだろ!?」

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ダメだ収まんない。てゆーか余計爆発した。何で。

「いやソコでソレは火に油だって」

「て、天然っ・・・・・・ホントに天然だ・・・・・・っっ」

誰だ今言ったの!!

「天然違う!!」





更にどっと笑い声が沸いた。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・うぅぅ。誰もあたしの話聞いてくんない。

いーんだいーんだ。どーせあたしなんて。あたしなんてっ。

「まあ、ソレは置いとくとして、だ」

勝手に置くなよ

。俺に負け譲れ」





あやす様に肩ぽんぽんされながら言われてもね。

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・イヤだい。」

なんかすっごいむかつくから。





「リンゴのコンポート。」

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ぴく。

「チョコレートケーキ。イチゴのムース。」

・・・・・・・・・・・・・・・・・・ぴくぴくっ。

「チーズタルト。作ったげるよ?」





食べ物で釣ろうったって、そうは問屋が・・・・・・の手作りスイーツ・・・・・・イヤイヤそうは・・・・・・

「・・・・・・・・・・・・もう一声。」

「しょうがないなぁ・・・・・・焼きプリンは?カラメルいっぱいかけた」

「よしのった!!」





すぱんっ!!と膝叩いて立ち上がったら、再び生まれました笑いの渦。

だから何で。

しかも何でまで笑い噛み殺してんの。

半眼で睨みつけてやったらイキナリぎうってされました。





「・・・・・・・・・・・・ダメだ。やっぱかわいー。」

「はぁ?イキナリ何」

「解ってないトコとかにぶちんなトコとか、ツメが甘いとかちょっとズレてるとか、もう全部かわいー。」





抱き付かれながら背中をぽんぽん叩かれて、言われた事がソレだったら。

あたしでなくたって額にアオスジ浮かべるだろう。

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・よぅしお前ちょっとソコなおれ。」

ひっくい声で言いながらバサッ!!と『舞扇』全開にしたら、笑いながらもは素早く身を離した。





「褒めてないだろソレ!!俺んコト貶してんだろ!!」

「んな事ないって!!ちゃんと本気でカワイイって思ってるって!!」

「カワイイ言うな!!」





「――――――其処までぢゃ!!」





びぃん!!と張った声が木霊した。

思わず、『舞扇』振り上げてたあたしも『双牙』で応戦しようとしてたも、ギャラリーの笑い声すら止まる。

「今は試験中じゃ。兄弟喧嘩は余所でやれい・・・・・・まあ、面白いから止めるのはちと勿体ないかもしれんがのう」

最初は厳格に。だけど次に続いたセリフにはあの「ほっほっほ」付きで。

じーさまの言葉に、あたし達は再び「「あ。」」と声をハモらせて、すいませんでしたと頭を下げた。





――――――・・・・・・・・・・・・だから、なんでみんなソコで笑うの。




 




 




 










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