その日、あたしは何時の間にか、横にいたキルアを抱き枕にして寝ていた、らしい。

キルアは顔を真っ赤にしてぷりぷり怒ってた・・・・・・殺気はなかったけど。





次の日はを抱き枕にして寝てた・・・・・・まあは何時もの事だから気にもしないし、あたしも気にしない。

その次の餌食は再びキルアで、その頃にはもうキルアもなんか諦め入ってた。





そして、その次の日。

今日のごはんを確保しようとキルアと一緒に森のなかウロウロしてたら、クラピカと遭遇しました。

スナイパーな女の人みたく、出会いがしらでなくて良かったよ。

もしあん時と一緒だったら、あたし絶対クラピカ昏倒さしてたかんね。




 




 




 





 
再びサバイバル生活に突入した日。




 




 




 




 
川の近くの浅い洞窟の中。

ゲットした今日の晩ご飯の果物と一緒に、クラピカもお持ち帰りしました。

・・・・・・いえ、イカガワシイ意味でなく。脅したりなんかもしてませんから。

ふつーに「来るか?」って聞いたら「ああ」って返ってきたんだよ。





あたし達より先に戻ってたは、あたし達と一緒にやってきたクラピカに驚きもしなかった。

むしろ居心地悪そーにしてるクラピカに、狩って捌いて焼いていた(多分)ウサギを、ほら、と差し出した。

そして4人で(多分)ウサギと果物を平らげて。

「お前達は何故ハンターになりたいんだ?」

何となくまったりとしてたら、クラピカが聞いてきた。





そんなの、公共施設がホボ無料になるから、に決まってんでしょ。

ついでに身分証もゲットできるし。そしたらふつーの仕事先に就職も出来るんだし。

・・・・・・・・・・・・なんて、ホントの事言ったら絶対呆れられるから言わないけど。





だから代わりに、切り返し。

「そう言うお前は何故だ?」

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・失敗した、って思った。

だって、あたし達はクラピカの動機を知ってるから。





「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・『緋の眼』というものを、知っているか?」

案の定、切り返しに更に返された質問は、重いものだった。

・・・・・・ねぇコレ答えなきゃダメ?ダメだよね・・・・・・

「――――――知っている。世界七大美色のひとつ、感情が激しく昂った時表に現れるクルタ族の深い緋色の眼の事だろう」

「あれ?でもクルタって確か、4年くらい前にその眼を幻影旅団に狙われて滅んだんじゃなかったっけ」

・・・・・・ちょっとキルア・・・・・・そんな直球で古傷抉るよーな事言わなくても・・・・・・

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・私は、其の生き残りだ」





――――――・・・・・・・・・・・・うん。重い。重いです。空気が。

いやぁぁああ息が詰まるぅぅうう。

あたしホンットこんな雰囲気ちょー苦手。なんかもー、がーっ!!て喚きたい。頭掻き毟りたい。





「復讐、か」

ぽつり、とが零した。

ぴくり、とその単語にクラピカの肩が揺れる。

「・・・・・・・・・・・・だとしたら、如何する?」

うっわぁ。なんかすっごいヤバげな雰囲気に早変わり。





ピリピリしてるよ痛いよ一触即発カウントダウンだよ・・・・・・とか思ってたら。

「いや別に」

はあっさりと。ソレこそ拍子抜けするくらいにあっさりとのたまった。

クラピカも、アレだけ思わせぶりな雰囲気で、まさかそう返ってくるとは思ってもみなかったんだろう。きょとん、て感じでを見てる。





「お前はもう決めたんだろう?なら、俺に何を如何しろと」

「其の為に、人を殺すのだとしても、か?」

「其れが如何した?人を殺めるなど、其れ程重い事でも無いのに」

!!」





声を上げたのはあたしだった。

その声に、クラピカとキルアは驚いてあたしを見る。

だけどあたしはを、平然とあたしを見返すだけを見て。





「違う、。重くない筈は無い。そんな事、」

「違わない。俺にとって、以外の人間の命など紙より軽い」

!!」

「俺はに危害を加える者がいれば、其れが例えキルアだろうがクラピカだろうが、速攻で殺す」





言い返す言葉も、出なかった。

確かにはあたしの守護者だ。あたしの盾となり剣となるイノセンスを核に、あたしを護る念を練り込ませた。

――――――コレが、あたしとの、違うトコロ。だけど。だからって。





「俺は覚えているよ。だって、本当は知っている筈だ」

「・・・・・・何が」

「大切なものを奪われそうになる、或いは奪われた時の心情」

「――――――・・・・・・・・・・・・ああ、そうだな。そうだとも。知っている。解ってるさ!!」





別に否定するつもりなんてないんだ。

どうしても許せない、消せない憎悪っていうのが世の中にはある。ソレだけクラピカは奪われた。故郷も家族も何もかも。

だから、持った。命よりも大切な決意。死をも恐れぬ覚悟を。

なら、脇目も振らずに自分の決めた道を貫けば良い。悔いの無い様、思うが侭に行けば良いと思うんだよ。





例え、ソレが復讐でも。





クラピカの命はクラピカ自身のものだ。あたしに止める権利はない。

もし、ソレでクラピカが死んで、泣いて悲しむ人間の1人や2人出てきて、その人がまた復讐者になったとしても。

それでもクラピカは、その人達の手を振り払って、戦いに殉じる覚悟を選んだんだから。

誰に泣かれ恨まれようがドレを捨てようが何を残そうが。クラピカが、クラピカ自身の意思で決めた事なら。あたしは何も言わない。

だけど。ソレでも。





「だからこそ・・・・・・!!誰かが重いと感じる人の命を、紙より軽いだなんて、言わないでくれ・・・・・・!!」





。あたしの守護者。あたしの一部。

他の誰でもない、あんたが、あたしに言わないで。




 




 




 










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