開始初日でサックリと6点分のプレートが集まってしまった。
だから次の課題は自然と、残り日数をどうやり過ごすか、って事になる。
とか言ってみても、あたしは、他の受験者があたし達を狙ってくるとは思ってないんだけどね。
だって、たった3ヶ月しか仕事やってなかったって言うのに、その間、あたし達の何でも屋の名前は、かなり売れた。
ソレだけの実力がある、あたし達は強い、触らぬ神に祟り無し、と。彼等はイイ感じに勘違いして下さっている。
狙って返り討ちに合うくらいなら、って。もっと他の弱そうなのを狙うハズだ。
実際、今回の受験者さん達くらいの実力の人間なら、あたしでも返り討ちに出来るし。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・問題は、他。
あの変態とか長男とか変態とか変態とかだよ。
コレはもう、遭遇しない事をカミサマに祈るしかないね、うん。
再びサバイバル生活に突入した日。
何か良さ気な水場を発見。
今日の野宿はココ、って事になった。
がポーチから針(の世界では飛針・千本って言う。某長男の使ってる針より短くて太い)を出して、川で泳いでた魚を何匹か岩に縫い付ける。
・・・・・・ハタから見てると無造作にピュッてやってるだけなのに、何でそー目ん玉貫通するかな。
半分達観な思いで見てたら、キルアもあたしの横で驚いてた。
取った魚は美味しく頂きました。塩振って焼いて。
火を起こしたのはモチロンあたし。小さな発火魔術でちょちょいっと。
やっぱり驚いてたキルア見て、そーいやこんな技術この世界にはないんだよなー、なんて他人事の様に思い出した。
いやー。あたし最近エーテルの扱いに慣れてきたせいか、ぱかぱか魔術使ってたからー。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・自重しよう、うん。
そんなこんなでお腹も膨れて。
が忍術で結界と罠を張って、あたしが魔術でセンサーと結界張り巡らせて。
ソレじゃまあ寝るか、ってなった時だった。
「・・・・・・なあ、って何者?」
キルアが、聞いてきた。
「俺の片割れ」
最近、あまりの実力の差に自信なくなってきてますが。
「イヤそーじゃなくて・・・・・・じゃあ、は何者?」
「俺の守る者」
まあ、あたしの守護者だからね。ソレはとーぜんだよね。
「だから、そうじゃなくてっっ」
うん。まあ、キルアがホントに聞きたい事は解ってるよ。
「ハンター試験を受けに来た元何でも屋」
「の現一般人」
だからといって、素直に異世界の元人間現人外です!!なんて言えるワケないんだけどね。
てゆーかあたし自身、未だに自分が人外だっていう自覚薄いし。
――――――あ。ヤバいやり過ぎた。キルアが殺気混じりのイライラなんか出し始めたよ。
「とまあ、冗談はコレくらいにしておいて」
「冗談だったのか、?」
「冗談かよ!?つかは素だったのかよ!?」
何だよ素だったよ悪いかよ。
「キルア。は何時も素で天然だ」
「・・・・・・あー。もしかしたらって思ってたけど、やっぱそうだったのか」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・天然じゃない。キルアもソコで納得するな。しかも何だそのもしかしたらというのは」
「・・・・・・解ってない・・・・・・やっぱ天然だ・・・・・・」
だからナニユエ!?
なんかキルアが脱力したみたいになったけど、今度はあたしがムカっときてます。
そんなあたし達を見ながら、1人飄々としていたが、ココへきて何度目かのキルアの頭ナデナデをやる。
「まあ、冗談も天然も今は置いておくとして、だ」
置いとくんかい。つか天然には大いに異議ありだ。
「俺は何者か、と問われれば。俺は俺だ、と返す他に答えが無い」
キルアが顔を上げた。
そんな子供にまったく久しぶりに。はあの、手の平の上で鎔ける雪の様な微笑みを浮かべ。
「今、お前の目の前にいる、俺が。此れが俺である、としか言い様が無い。其れ以外に俺を形容するものを、俺は持たない」
からあたしへ伝わってくる感覚。想い。感情。
――――――やっぱりこういうトコ、元と1部ってだけあって、あたしとはおんなじだ。
「そうだな。はだ。俺は俺だ。キルアが、だた、キルア以外の何者でもない様に。そうとしか言い様がない」
の手が離れたキルアの頭に、今度はあたしが手を乗せる。
「他人の目に俺達が如何映っているかなど知らない」
「其れでも、俺の目に映るが、だ。の目に映る俺が、俺だ」
「他人の抱えた幻想に合わせてやる気も無い」
「其れでも、キルアの目に映った俺達が、キルアの中で、俺達が何者なのかを確定する」
謡う様に紡ぐ様に。
ソレは答えのない疑問だ。何にでも理由を付けたがる人間の、性だ。
「俺達が何者かを決めるのは何時も、俺達自身でなく、誰かの目に映る俺達だ」
「其れでも俺達は、俺達であるとしか言い様が無い――――――ならば俺達とは何だ?」
「俺達は何者だ?何処から来て何所へ行く?随分と哲学的だな。そんなもの――――――」
「「生き切ってから、考えれば良いものを」」
最後の言葉はハモり。自分で言ってて、イロイロワケ解んなくなってきたけど。
まあぶっちゃけ、自分がナニモノなのか、なんて。あたし達にだって解んないって事なのさ。
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