こーなったらもうヤケだ、ってな感じで腕輪を着けて先へ進んだ。

第一関門が見えてくるまで、延々なっがい廊下を1時間以上歩いた。

コレがまたムカついてムカついて。





やっとあり付けた問題は、小学生でも解る足し算引き算が何故か1万問。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・燃やしてやろうか、と思ったよ。

まあ、そんな事したら即脱落だから、根気強く自分を宥めすかしながらやりましたよ。幸い数字は読めるしね。

ソレからまた延々と1時間くらい歩いて、2個目の試験は何故か体力測定。

コメカミぴくぴくしながら人外的な数字を叩き出して、やっぱり1時間くらい歩いて3個目の試験へ。





そしたら今度は殺傷レベルの高トラップが出てきた。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・さっきのとは危険度が雲泥の差です。





こーなると、あたしだって何時までもが羨ましいなんて思ってられない。

への報復(あるいは八つ当たり)はまず置いといて、目の前のトラップに、真面目に冷静に対処する事にした。





 




 




 





 
1人で困難を乗り越えた日。




 




 




 




 
の生まれた忍者の世界では、トラップってのはけっこー良く使われていた。

その時の知識も持ってるあたしは、傷ひとつ負わずにトラップを潜り抜けられた。





――――――まあ、ならフードマントすら破らず抜けるんだろうけど。

やっぱり知識だけ持ってたって、ソレを実行に移せるだけの経験があたしの身体に備わってないのはイタイね。





思いながら、見下ろしたマントはズタボロ。こーなったらもう羽織る事すら出来ない。

マントは消耗品だから、って理由で念具にすらしなかった結果がコレなんだろうけど。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ソレにしたってズタボロ過ぎだ。





さっきのトラップの犠牲はコレ1枚だけだったけど、次の試練ははてさて、どうなる事やら。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・念の為に、現装備をチェックしとこ。





灰白色のチャイナっぽい長袖シャツと砂色のスリムジンズは、物理ダメージ軽減と防御力アップの念を。

橡色したチェーンベルト付きのロングブーツには素早さアップ。

けっこー長い間愛用してる、とお揃い色違いのコートは、相手の念攻撃の無効化を付属した。

指のない革の手袋には打撃力アップが、でっかいバックルのベルトには体力・持久力の底上げまで付いてるし。

ソレだけじゃない。髪をひとつに括っている飾り紐はが作ってくれたもので、あらゆる異常無効化の念。

もちろん、腰から下げた四次元ポケットなポーチも忘れずに。





そんな念具とは別に、エーテルを宿して護符と化したアクセサリーもある。

左耳には炎の形が彫られたイヤーカフスが1コと、鎖で繋がった黒い玉のピアスが2コ。

右耳には蒼い羽と白い雪の結晶の飾りのアメリカンピアスが1コ。

右腕に蛇と蔦の絡まった細い腕輪。

チョーカーのトップは、光と稲妻を模した細工だ。





そして極めつけ、あたしの腰に下がる『舞扇』。





・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・こーして見ると、けっこー重装備だったんだねあたし。

初めてゾルディック家に行った時も、このコートと、色違いだけど全く同じ念を付属させた服で、ソレナリに重装備だったけど。

今はあの時よりプラスアルファされてる、うん。主に手作りのタリスマンアクセ類が。

の衣類にも全く同じ念を込めたから・・・・・・あたしのコレだけで一体幾ら使ったのか・・・・・・お、思い出すのも恐ろしい。





頭の中で電卓叩こうとして、出てきそうな値段にぶるっと身震い。

――――――まあ。でも、コレでちょっと心に余裕ができた・・・・・・・・・・・・かもしんない。

・・・・・・・つか、こんなにいっぱい念具作ってなきゃ、ココまで早く無一文一歩手前まで行くこたなかったハズなんだけど。





・・・・・・・・・・・・・・・・・・なんかイヤなループにハマりそうだからコレ以上は考えるのよそ。





はう、と溜息ひとつ。

ソレから気持ちを切り替えて、次の試練へれっつらごー。

そしてやっぱり延々1時間以上歩いて辿り着いた扉の先で待ち構えていたモノに。

あたしは即効、回れ右をしたくなった。





だって、一番最初に目に飛び込んできたのが、まぁるいリングだったから。





・・・・・・なんか同漫画家さんが描いてた某武道大会みたいなんですけど!!

ボロッボロの横縞服着てる厳つい顔のおっさんたちがたくさんスタンバッてるんですけど!!

しかもナニ!?格子鉄線の向こうの観客席みたいなトコにゴロゴロいる悪党ヅラ共は!?雄叫び上げてんですけど!?

見世物!?ねえコレ見世物なの!?





『4つ目の試験は、死刑囚15人とのデスマッチ。彼等全員を倒せば合格。次の試験へ進めます。制限時間はありません』





淡々と説明して下さるスピーカーに石投げ付けてやりたくなった。

しかも煽られる様に雄叫びが酷くなる。

もーネテロのじーさん捕まえて延々文句言いたくなった。





・・・・・・ホンット、今までもそーだったけど、一応公式な試験なんでしょコレ!?

なのに何でこんな試験内容考えるかな!?コッチはごくごくふつー(?)の一般人だってのに!!





・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・でも、文句言いたくても言える相手が今はいないのね。

・・・・・・・・・・・・しかもココを抜けないと、なんかこの先太陽も拝めなさそうな雰囲気なのね。

ハラ、括るしかないのね。





さっきよりもでっかい溜息を吐いて。

あたしは諦観ってこーゆーのをいうのか、って思いながら渋々前へと進んだ。




 




 




 










<<バック                    ネクスト>>
<<バック トゥ トップ>>