「お兄さんたちも、試験初めて?」
純粋で無垢で素直で真っ直ぐな目が、あたし達を映した。
「ゴンッ!?」
隣で、毛を逆立てた猫みたいにバリバリこっちを警戒していたキルアが、慌てた様に呼び掛ける。
・・・・・・・・・・・・そんな得体の知れない人に見えますか。
てゆーか、この様子だとキルア、あたし達の事ご家族の方達から聞いてないんじゃないかしらん?
よっしゃカラコンキープ!!
・・・・・・・・・・・・とまあソレはおいといて。
「ああ」
あたしは、キラキラとした目で返事を待ってるゴンに、短く返した。
初っ端から波乱を感じ取ってしまった日。
「そっか。オレも初めてなんだよ」
うん。知ってる。
「オレ、ゴンって言うんだ。お兄さんたちは?」
うん。名前も知ってる。
「・・・・・・俺は」
さて、ココは素直に自己紹介すべきですか?
ちら、との様子を窺う。
目深に被ったフードから見える顔の下半分は我関せず。その実に任せるよ、と思念で返されて、素直に自分の欲求に従う事にした。
「俺は。ソッチがだ」
名前 を 名乗った。
ちょっと擦れ違っただけの他人 から 名前を知る知人 に格上げされた!!
ちゃららら~ら~らっらっらら~。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ごめんなさい1度でイイからRPG風にやってみたかったんです。
「さんと、さん?」
「さん、は要らない」
「じゃあ、」
うん。ホントに素直なイイ子だね、ゴンは。
キルアなんか、あたしが名前言った途端に「名乗ったよコイツ絶対名乗らないと思ってたのに」って目で見てきたのに。
まあ、コレはコレでカワイイけどね。ひねくれ具合が。
あたしが内心ほんわかしてる間にも、ゴンの質問は止まらない。
「はどうして、ハンターになりたいの?」
・・・・・・・・・・・・うん。イキナリの核心だね。もう少しオブラートに包む、ってスキル身につけないと、いつか損するよ?
しかもキルア、ゴンがあたし達に興味を向けてる事に、すんごい渋面。
決定。キルアの属性はツンデレです。
「・・・・・・あ。ごめんなさい。言いたくない事だった?」
ちょっとした沈黙をどう取ったのか、ゴンがしゅん、としながら上目遣いで謝ってきた。
――――――くぅうっっ!!やっぱりカワイイよゴンっっ!!抱きしめてイイ!?ねえイイよね!?
(ハイイエローカード)
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ハッ、いかんいかん。もう少しで変態の仲間入りするトコだった。
つか、そのイエローカードって最高何枚までなのさ。
(取り敢えず3枚?ってゆーか、返事返事。ゴン落ち込んでる)
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・はうっ、忘れるトコだった。
「・・・・・・・・・・・・いや、別に。聞かれて困る事では無いが」
「なら教えてよ」
ををうゴンより興味ありそうですねキルアくん。
やっぱ得体の知れない人物の希望動機は気になる?
「――――――お前は?」
「俺?俺はキルア。ヒマ潰しでこの試験受けたんだ。あんた達も、もしかしてヒマ潰し?」
「いや」
そんなに知りたいなら教えてあげませう?
隣でゴンも目ぇキラキラさしてる事だしね。
「生きる為」
そう。生活していくには働いてお金を稼がなきゃなんない。
そして働く意思はあっても、障害がデカイというか、お近づきになりたくないものだから、今のあたし達は働くに働けない。
「そして、認めてもらう為」
更には戸籍の問題。
捨て子すら国際人民データ機構への登録がされてるのに、あたし達にはソレが無い。
だから身分証が無いと言うたびに流星街の住人だと思われて、何でもかんでも割高になったり、酷い時には門前払いもある。
「だから俺達は、この試験を受けた」
そう言ったら、お子様コンビは揃って沈黙した。
――――――あ。やばい。あたしなんか色々はしょり過ぎた?
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