トンネル抜けると、開けていましたナントカ湿原。

「ヌメーレ湿原、通称詐欺師の塒。二次試験会場へは、ここを通らなければなりません」

そうそう。ヌメーレ湿原。名前からしてぬめぬめしてるよね・・・・・・やだなぁ。なめくじとかいっぱいいそう。





とか思ってたら、背後の地下通路の入口が、ガラガラとシャッターで閉められた。

・・・・・・・・・・・・そーいや、ココでも変態関連のイベントがひとつあったっけ。





ドコか遠くを見る様に思い出していると、やっぱり出ました。

「騙されるな、そいつは試験官じゃない!!」

目ぇ泳がせながら言うセリフじゃないと思うよ。うん。





憐れ人間に化けてあたし達を騙そうとしたお猿さんは、変態の投げたトランプの餌食になりました。

え?助けないよ当たり前っしょ。だってアレ猿だしあたし等騙そうとしたしコレ以上変なのに目ぇ付けられたくないし。




 




 




 





 
初っ端から波乱を感じ取ってしまった日。




 




 




 




 
そして再びマラソンですが・・・・・・うーわーやっぱり地面ぐちょってしてるぐちょって。

しかも霧が出てきたよ。

原作の知識はあったけど、実際自分が体験してみると・・・・・・うん。深いね。

ホント、目の前のサトツさんの姿も隣のの姿も、見えにくい。





(こんなトコで迷子になんないでくれよ、

(・・・・・・はい。肝に命じます)

(万一迷子になっても、ピエロの近くには行かない様に。アイツ、原作では確かこの霧に乗じて受験者襲ってたから)





・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・そーいやそーだったよ。

あんのマッドピエロ、試験管ごっことかゆってばっさばっさ殺してくんだよ。





何だかなぁ、って思う。灰男の世界もそうだったけどさ。

いや、あの世界だけじゃない。『』が生まれたあの世界や。『』が旅してきたいろんな世界も。

どうして、こんなに命が軽いかなぁ。

――――――どうして、そんな世界が多いかなぁ。





はう、と溜息吐いた時だった。

なんかあたし達の後ろで話してたゴンとキルアだけど、ゴンがイキナリ逆走始めちゃったのだ。

・・・・・・・・・・・・ああ、多分レオリオ助けに行ったんだろーなー。

とかってその背中を視線で追ってたら、ふ、とキルアが顔を上げた。





「・・・・・・・・・・・・何だよ」

って、ガン飛ばされてもね。

「・・・・・・・・・・・・いや、お前は行かないのか?」

「は?何で俺が」

うん返事は解ってたけど。

「友達、なんだろう?」

「なっ、だっ、ばっ」

おお。すっごい慌てっぷり。

多分、『誰と誰がだ』と、ソレから『馬鹿』とでも言いたいんでしょうとも。





ちょっとイタズラ心を擽られたあたしは、更に突っ込んだ問い掛けをやってみた。

「違うのか?」

「・・・・・・・・・・・・ちげーよ。友達なんかじゃねぇ。友達、なんかじゃ」

うわイキナリ沈没?

――――――・・・・・・・・・・・・あー。そーいやこの子、その辺トラウマっぽいのあったよーな・・・・・・・・・・・・

ごめんよキルアさんちょっと反省しちゃうよ。でもね?

「だがあの子は、お前の事を友達だと思っているぞ?」





ばっ!!とキルアが顔を上げた。

ちょっとつり上がり気味だった目はまん丸に丸められて、ぽかん、とあたしを見上げる。

・・・・・・・・・・・・ちくせう。かいぐりしたくなるぢゃないか。

――――――・・・・・・・・・・・・イエローカード出されたくないからグッとガマンするけどさ。





「・・・・・・・・・・・・まさか。そんなハズない」

酷く細い声だった。期待しながら、有り得ないと決め付けて諦める、声。

「何故、言い切れる?――――――確かめてもいないのに」

「・・・・・・・・・・・・だって、ゴンは俺を知らないから。知ったら絶対、友達だなんて言わなくなる」

・・・・・・・・・・・・まあ、両親兄弟がアレだから、仕方ないっちゃー仕方ないんだけど。





「――――――想いは、時に何者をも凌駕する力になる」





隣で、呟く様にが、言った。

「想いは願いを生み、叶える為に人は考え、動く。動きは周囲をも動かし、やがて己が望む流れへと変える」

見つめたあたしとキルアの視線の先で。淡々と。静かに。だけど強く。





――――――ああ、そうだ。そうだったね、

想いは原動力だ。願いは希望だ。行動は努力だ。

例え全部が叶わなかったとしても、ほんの少しでも変わるなら。ソレは決してゼロなんかじゃないんだ。

たった一滴の雫の生んだ波紋だって、上手く続いて広がれば地平の彼方ででっかい津波にだってなれる。





「想いは時に、其れだけの力を有する――――――想いを抱き、願い、動け。其れはお前の望む形に繋がる事だ」

「お前が望めば、そして其の望みに沿って動けば。変わる事もある――――――まあ、取り敢えず先ず、あの子に確かめてみたらどうだ」





そう言って、くしゃり、と頭を撫でたあたしとに、キルアはふい、と顔を反らして――――――だけどその耳は、キレイに真っ赤に染まっていた。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・カワイイなぁこんちくしょう。




 




 




 










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