新しく手に入れたあたしの念、『実現する幻想』。

小物とか衣類とかアクセとか、いろんなものに念を込める事でソレを念具に変えるシロモノだ。

付属する念の効力は注ぎ込む金額に比例して、元の物質の価値が高ければ高いほど、維持率も物持ちも良い。

更にソレが、自作のモノとか手作り一点モノだったりすると、その効果が何十倍にも跳ね上がる。





そんな『実現する幻想』で、コレでもかっっ!!てなくらい着てる服を念具化して重装備となったあたしと。

相も変わらず、切れ味大幅アップだけど持主の望むもの以外切らないって念だけ付加させた双剣『光牙』と『闇牙』を腰に下げるは。





毎度お馴染みの怪しいフードマントスタイルで、周りの人達にイヤンな目つきで見られていた。




 




 




 





 
新しい動きに呑まれた日。




 




 




 




 
観光バスに乗って小1時間。

ココで降りまーすって言ったらガイドさんに本気ですか!?と驚かれ。

他の観光客の皆様方にはやっぱコイツラ化け物だ、みたいな目で見られ。





ヲトメ心にダメージ受けながら、やってきましたパドキア共和国ククルーマウンテン。

目の前で、ででんっと構えるでっかい山への入口は圧巻だ。





「確かコレ、試しの門ってゆーんだよな」

「・・・・・・1の扉の重量が4トン、だっけ?」

「そうそう。で、開ける人間の力に応じて7段階まで重さが変わる、と」

「・・・・・・・・・・・・最高256トン、か。そんな怪力、この世にホントにいるの?」

「いるからこその扉なんだろ。てゆーか、むしろどうやって作ったのかが謎だよ」





コソコソとと話しながら、てくてくと近付く。

――――――したら、なんか横の小屋っぽいトコから呼び止められた。

あら。この髪の毛がサビシイ見た目何処にでもいる様なオジサンは。





「おい、お前達。賞金稼ぎか?」

「いや、違う。タダの何でも屋だ。荷物を届けに来た」

が身体ごとゼブロさんに向かって言ったら、ゼブロさんは細い目をほんの少しだけ開けて。

「荷物?聞いてないな、そんな話は」

あー。そうなんだ。聞いてないんだ。





「死んだ運び屋は確かにゾルディックって言い残しましたが・・・・・・コレです」

そう言って、あたしは懐からあの小さな箱を引っ張り出す。

ソレを見たゼブロさんは眉をひそめて、ちょっと待ってろ、って言い残して小屋・・・・・・守衛室へ戻ってった。

あたしとは、そんなゼブロさんの背中を見送って。





「・・・・・・ねえ、。思ったんだけど。コレ、ゼブロさんに預けるってのもひとつの手だよね」

「まあ、そうだね。俺達が実際に依頼を受けたんじゃないし」

「いくらお届け先ゾルディックってゆってもさ、繋ぎさえ付けてもらえればゾルディックの誰かんトコまで直接行かなくたってイイよね」

「確かにね。タダの運び屋無勢が本邸まで行けるワケないしね・・・・・・普通なら」





何ソレ。そのすっごくイヤンな予想。





でもあたしは決めた。今決めた!!

こんな物騒極まりない箱なんて、ゼブロさんにとっととノシつけて押し付けちゃる!!

そしてこんな危ないトコからはさっさとオサラバさ!!





意を決して守衛室へ一歩踏み出した時だ。

ひょこっとゼブロさんが受話器片手に顔を出した。






「確認が取れました。其処の扉を開けて中へ入って下さい」





「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・マジで?」

「あーやっぱ普通じゃなかったか。流石はゾルディック」





こらソコ!!

何感心なんてしてんのさ!!




 




 




 










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